自由研究のテーマとしておすすめ【原爆】をテーマにした本を紹介します。
2022年は大国ロシアが、隣国ウクライナに侵攻を始め、戦いが始まってしまいました。
日本でも、これをきっかけに核戦争、原爆について話題になることが増えました。
子どもたちの間でも、原爆や核爆弾、戦争について興味が高まっています。
そんな今だからこそおすすめした自由研究のテーマが【原爆】です。
【原爆】をテーマに一週間プランとして、7日間かけて読むおすすめ本を選びました。
子どもの自由研究用にとピックアップした本ですが、大人が夢中になって読んでしまう本でもあります。
子どもに原爆の事を伝えたいと思っても、なにをどんなふうに伝えたらいいのかわからない大人も、子どもと一緒に読んでほしいです。
『ドームがたり』
【著者】アーサー・ビナード スズキ コージ画
【出版社】玉川大学出版部
月曜日:頭と心をならす読みやすい本
まずは、擬人化した広島の原爆ドームを主人公にした絵本から読んでみませんか。
絵本といえども、原爆の恐ろしさがビシビシ伝わってくる大迫力の絵本です。
あまりの迫力に、怖さすら感じるスズキコージさんの絵ですが、ここで目を背けてはいけません。
これが現実におこったことなのですから。
原爆ドームはいまも広島の地で、原爆のアイコンとして残されています。
8月6日を境に大きく変わった広島の姿、日本の姿、世界の姿を原爆ドームは、今はどんなふうにみているのかな~と考えてみたくなる絵本です。
『はだしのゲン わたしの遺書』
【著者】中沢 啓治
【出版社】朝日学生新聞社
火曜日:興味しんしんになる本
中沢啓治さんは、自身が体験した広島の原爆を題材にしたマンガ『はだしのゲン』の著者として有名です。
原爆の恐ろしさを訴え続けてきた中沢啓治さんが、遺書として自身の半生を書いた本が『はだしのゲン わたしの遺書』です。
ところどころには、中沢啓治さんの描いた『はだしのゲン』のマンガがはさまっていて、読みやすい本です。
もちろん、ある程度の原爆の恐ろしさは覚悟をしてほしいのですが、マンガ『はだしのゲン』よりもグロテスクな絵は少ないので、怖くて原爆の体験本がなかなか読めないという子ども・大人におすすめです。
原爆体験の話を聞いて読んで感じる、その恐ろしさ、怖さを感じる気持ちも大事にしてほしいと、中沢さんが本の中で語っていたのが印象的でした。
”現実に起こったことを、なかったことにすることのほうが怖い”
現代に生きる私たちは、真剣に原爆に目を向ける覚悟が必要なのかもしれません。
『15歳のナガサキ原爆』(岩波ジュニア新書)
【著者】渡辺 浩
【出版社】岩波書店
水曜日:もっと読みたくなる本
週の半ばになり、原爆の恐ろしさ、体験談ばかり読むばかりではなく、【原爆を知る】には読む本を変えてみたいなと思ったのですが、広島のほかにもう一つ原爆が落とされた都市、長崎も忘れてはいけませんよね。
長崎が広島より被害が少なかったなんてことはなく、長崎も壊滅的な被害をうけ、民間人が大勢亡くなりました。
この小さな国、日本のなかで二つもの都市が原爆の被害にあっているのです!
世界で原爆を落とされたのは日本だけ。
この事実は今でも変わっていません。
私もそうなのですが、日本人は原爆を落とされた当事者なのに、原爆の被害がひどいから、怖いからと原爆について知ることをあえて避けてしまっていないでしょうか。
知らなくていいことなのか、知るべきことなのか、教えることなのか
親子で考えてみたいですよね。
『広島の原爆』
【著者】那須 正幹 (著), 西村 繁男 (イラスト)
【出版社】福音館書店
木曜日:これだけは読みたい本
この本は大型絵本なのですが、原爆について文字で詳細に書かれています。
大人でも、ここまで詳しく原爆について知っている人は少ないと思いますよ。
原爆の恐ろしい被害を知るだけでなく、原爆とはどういうものなのかがわかります。
太平洋戦争中の世界の状況から、マンハッタン計画について(核兵器の誕生)、核兵器の原理、放射線障害・原爆症についてなどが詳しく書かれています。(フリガナつき)
また戦後の人体実験や、核兵器開発競争によるヒバクシャ、原子力発電について、核抑止力と核軍拡についても書かれています。
特に核抑止力については、今の世界状況を考えるうえで参考になります。
この本が書かれた1995年から、まったく世界の核に対する意識は変わっていない状況にもウンザリするかもしれません。
人間って忘れやすい生き物ですから、せめて年に1回はこの本『広島の原爆』を手にとって、原爆について考えてみないとなと思いました。
作者の那須正幹さんは、小中学生ならきっと知っているあの『ズッコケ三人組』シリーズの作者です。
と知ると、小中学生でも手に取りやすくなる、読みたくなる一冊ではないかな。
『ある晴れた夏の朝』
【著者】小手鞠 るい (著), タムラ フキコ (イラスト)
【出版社】偕成社
金曜日:どっぷりハマる本
ところで、原爆をつくって日本に落としたアメリカでは、原爆についてどんなふうに考えられているのか気になりませんか?
このあたりでちょっと方向転換して、アメリカの高校生たちが「原爆投下の是非」について繰り広げる討論会が物語になった本を紹介します。
時代は1980年代、アメリカの8人の高校生が、広島・長崎に落とされた原子爆弾の是非をディベートをする物語です。
参加者は、日系アメリカ人のメイ(主人公)をはじめ、アイルランド系、中国系、ユダヤ系、アフリカ系と、人種や彼らのバックグラウンドが違う面々。
だからこそいろんな意見が飛び交います。
原爆の話をきっかけに、真珠湾攻撃、南京大虐殺など戦時中に起こったことについても取り上げられますし、人種の問題にも発展していきます。
ひとつの問題から、こんなにもたくさんの問題があふれ出てくるのかとビックリしますし、大人の私でも知らなかった出来事があるなと、自分の無知を恥ずかしくも思いました。
アメリカ人だからみんなが原爆投下に賛成しているわけではない。
原爆投下に賛成している人だって、戦争はしたくない、平和を願う気持ちは、日本人もアメリカ人も、世界中の人が望んでいるのだと思える本でした。
『太陽の子 GIFT OF FIRE』
【著者】樹島 千草 (著)
【出版社】集英社
土曜日:読みごたえある本
週末のお休みには、映画のノベライズ本『太陽の子GIFT OF FIRE』(柳楽優弥さん、有村架純さん、三浦春馬さんの共演作)を読んでみるのをおすすめします。
舞台は1945年の夏、日本。
金曜日に読んだ『ある晴れた夏の朝』は、戦後アメリカが舞台でしたが、『太陽の子GIFT OF FIRE』は戦時中の日本が舞台です。
軍の密命を受けた京都帝国大学で、原子核爆弾の研究を進めていた若き研究者・石村修。
戦地に行き、深い心の傷を負っている修の弟の裕之。
修と裕之の幼なじみの女性、朝倉世津。
死への恐怖や、未来への希望、自分の研究への疑問とそれぞれの想いをもつ若者3人に、運命の8月6日が訪れます。
戦争に翻弄された男女三人の青春物語です。
人ひとりひとりの人生を大きく狂わせる戦争の恐ろしさを感じられるはずです。
もし戦争がなかったら、彼らの人生はまったく違うものになっていたのですから。
『パンプキン! 模擬原爆の夏』
【著者】令丈 ヒロ子 (著), 宮尾 和孝 (著)
【出版社】講談社
日曜日:次につながる本①
最終の日曜日は、原爆について驚きの一冊を読んでほしいです。
広島と長崎に落とされた原爆はだれもが知っていますが、あまり知られていないパンプキン爆弾をしっていますか?
1945年7月から8月、原爆投下の練習のために、模擬原爆・通称パンプキン爆弾が日本各地に30都市、49発もが落とされていた事実があるのです。
49発もの練習……って、絶句です。
アメリカはこれだけの準備を重ねて広島と長崎の原爆投下を行ったという事実を、日本人として知っておくべきです。
日本がどんな条件をのもうとも、どんな状態にあっても、原爆投下は決められていたのでしょうか。
『バウムクーヘンとヒロシマ: ドイツ人捕虜ユーハイムの物語』
【著者】巣山ひろみ
【出版社】くもん出版
日曜日:次につながる本②
グルグルと、層が何層にも重なったバウムクーヘン、おいしいですよね。
でも、このバウムクーヘンってどこの国のお菓子なのか?いつ日本に伝わったのか知っていますか?
ひとりのドイツ人男性カール・ユーハイムさんの人生を通して、どうしてバウムクーヘンが日本に伝わったのかがわかる本が『バウムクーヘンとヒロシマ』です。
バウムクーヘンは戦争のおかげで、日本に伝わったという衝撃的な内容、甘くておいしいバウムクーヘンからは、想像もつかない悲しい物語。
タイトルどおり広島に落とされた原爆が絡んだバウムクーヘン物語は、涙とともに、戦争の恐ろしさと虚しさが心に残りました。
【原爆】紹介したおすすめ本リスト
原爆をテーマにした本を紹介しました。
これだけの本を読むと、それぞれの本で読んだ事実が、どんどんつながっていくおもしろさを感じられるはずです。
子どもの自由研究用にとピックアップした本ですが、大人が夢中になって読んでしまう本でなので、子どもに原爆の事を伝えたいと思っても、なにをどんなふうに伝えたらいいのかわからない大人も、子どもと一緒に読んでほしい本です。
これをきっかけに、親子で【原爆】について語り合えたらいいですね。
読みやすい本から紹介をしましたが、興味のある本1冊から読んでみてくださいね。
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