「沖縄に遊びに行きたい!」という人はとても多いと思いますが、観光地としてではない「沖縄」について考えたことってありますか?
2022年は、1972年5月15日に沖縄の施政権が日本に返還されてから50年という記念すべき年です。
これをきっかけに、学校でも深く学ぶことのない沖縄について親子で一緒に学んでみませんか?
沖縄の絵本『だるまちゃんとキジムナちゃん』
【著者】加古里子 (著), 加古 里子 (イラスト)
【出版社】福音館書店
ステップ1:頭と心をならす読みやすい本
まずは加古さんのだるまちゃんシリーズで沖縄の雰囲気を味わいましょう。
日本の他の地域とはまったく違う歴史と文化、自然が存在する沖縄をだるまちゃんが訪れます。
だるまちゃんが出会ういたずらっ子のキジムナちゃんは、ブナガヤ、ブナガイ、マジムン、カナマザ、フルファガなどの名前で、それぞれの島の民話に登場する生き物(妖怪)だそうです。
絵本には沖縄らしい言葉がたくさんでてきます。
メンソーレ
ガジュマルの木の後ろの岩にある穴に住んでいるキジムナちゃん
ばけものハブ
ニライカナイのかみさまへのお礼のおどり
メンソーリョ
意味、わかりますか?
沖縄の自然を冒険する!児童書『菜の子ちゃんとマジムンの森』
【著者】富安陽子 (著), 蒲原 元 (イラスト)
【出版社】福音館書店
● 自分で読むなら: 小学中学年から
● ページ数:144ページ
ステップ2:興味しんしんになる本
沖縄の楽しさを感じた後は、沖縄の伝説をとおして、沖縄の雄大な自然を感じられる不思議な児童書を読んでみましょう。
沖縄本島の北部に広がるやんばる(山原)の森に住む、マジムン(妖怪)という赤い髪のブナガヤの落とし物を拾った菜の子ちゃんと同じクラスのユージ。
ふたりは菜の子ちゃんが用意した赤と青のシーサーにのって冒険へ出発します。
ユージやブナガヤの話す沖縄の言葉の意味を知りながら読むと100倍楽しめます。
巻末に「沖縄県・やんばるのこと」を書いた作者解説があります。
ここで、ステップ1で読んだ『だるまちゃんとキジムナちゃん』にでてきたキジムナーについての説明もありました。
沖縄に住む小学生たちの日々 児童書『月と珊瑚』
【著者】上条 さなえ
【出版社】講談社
● 対象:小学上級以上
● 178ページ
ステップ3:もっと読みたくなる本
主人公は沖縄で祖母と二人で暮らす、小6女子の珊瑚ちゃんです。
勉強ができないことを恥ずかしいと感じ始めた珊瑚ちゃんは、日記を書き始めます。
珊瑚ちゃんの日記に描かれるのは、エイサーを見に行ったこと、辺野古への抗議をする友達のひいおばあちゃんのこと、戦闘機の音を聞き分けられるクラスの男の子のこと、戦闘機の音が怖くて仕方ないクラスの女の子のこと、東京から引っ越してきた月(ルナ)ちゃんのことなど、普段のなにげない毎日のことなんですが。
珊瑚ちゃんの日記からは、沖縄の子どもの貧困、東京からきた子どもとの学力の差、沖縄文化の継承、そして米軍基地問題など、沖縄の子どもたちが、目にして、感じて、体験していることが浮かび上がってきます。
沖縄は美しい海をもつ観光地として知られていますが、そこで実際に暮らす人たちの生活は、なかなか見えていないと気づかされます。
沖縄の現状をガツンと突きつけられる物語です。
沖縄の歴史『琉球という国があった』
【著者】上里 隆史 (著), 一ノ関 圭 (イラスト), 富山 義則 (写真)
【出版社】福音館書店
● オールカラー
● 児童書:(たくさんのふしぎ傑作集)シリーズ
ステップ4:これだけは読みたい本
ステップ1~3までで、3つの物語を読んで、ユニークな文化と自然・言葉を持つ沖縄を楽しみました。
でも「どうして沖縄って、同じ日本なのにこんなに違うんだろう?」と不思議に思ったはずです。
実は、もともと沖縄は琉球王国という国だったのです。
そんな沖縄の歴史をひもとく本(児童書)が『琉球という国があった』です。
2000年にユネスコの世界文化遺産に登録された、沖縄県の「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の話題から本は始まります。
恥ずかしながら、私は「グスク」って何?レベルから、この本で学びました。
壮大な美しい自然とユニークな文化の背景にある沖縄の歴史をひも解きましょう。
沖縄を戦争をとおして学ぶ『琉球王国から沖縄県へ』
【著者】安斎 育郎 (著, 監修)
【出版社】新日本出版社
ステップ5:どっぷりハマる本
ステップ4で、沖縄は、貿易で栄えていた一方で、薩摩藩からの支配されるという波乱万丈の歴史があることを知りました。
ステップ5ではさらに、日本の沖縄県となった歴史を「戦争」をとおして、もっとほりさげて調べてみましょう。
薩摩藩からの突然攻められ、日清戦争後には「日本人化」され、太平洋戦争では戦地として大被害を受けた沖縄の姿が見えてきます。
教科書で学ぶことだけが現実ではない。
いい年齢の大人になるまで、沖縄の歴史にきちんと目をむけてこなかった私に「しっかり学ばなくちゃな」と思わせてくれる一冊でした。
沖縄からのメッセージ『希望をつくる島・沖縄―キミたちに伝えたいこと』
【著者】野本 三吉 (著)
【出版社】新宿書房
● 出版は2015年
● 利用対象:中学生 高校生 一般 がんばれば小学高学年くらいから読める
ステップ6:読みごたえある本
さらには戦後もずっと「戦争」から逃れられていないことを教えてくれる本を、ステップ6で読みましょう。
この本は沖縄に住む沖縄大学の教授(著者の野本三吉さん)から、横浜に住む中学生へ向けた手紙(12通)形式の本になっています。
ステップ3で読んだ児童書(小説)『月と珊瑚』では、リアルな沖縄の子どもたちの毎日を読んだときにも、米軍基地とともに暮らすたいへんさがわかったはずです。
沖縄で暮らすたいへんさ、危険さ、戦争と隣り合わせの日々を、以前から何度も沖縄県に住む人たちは訴えて続けてきましたが、それに対して政治は、日本は、きちんと向き合ってきたのかを問われている気がします。
沖縄といえば美しい自然を持つ観光地であり、太平洋戦争中は戦地となり大きな被害を受けた土地で、戦後1972年まで日本に復帰できなかったことくらいしか知らない日本人が、今もまだ残されている沖縄のさまざまなな問題に目を向けるきっかけにもなる本です。
特に、必ず政治選挙の争点になる沖縄米軍基地の問題について、もっと知りたいなと思いました。
沖縄が舞台の青春小説『楽園ジューシー』
【著者】坂木 司 (著)
【出版社】KADO
KAWA
● 中学・高校生くらいから読める
● 424ページ
● 読書感想文の書きやすい本
ステップ7:次につながる本
最後に現代の沖縄を舞台にした青春小説を紹介します。
主人公は大学生のザック。
小学校時代は、残念な天然パーマで、色白で太っていて、さらにさまざまな国の血が混じったミックスのため、ふつうとは違う外見のために暗い小学・中学時代を過ごしたザック。
大学生になったザックは、ふとしたことから沖縄の安宿・ホテルジューシーでバイトをすることになります。
時間にルーズで適当なオーナー代理や、癖のある宿泊客たちと関わり合うことで、自分にまったく自信をもてないザックはどんどん成長していく青春物語です。
沖縄料理や、沖縄の文化、生活習慣、観光地などが物語に登場するので、ザックと一緒に沖縄にいったような気分になれる一冊です。
やはり実際に沖縄へ行って、現地の空気のなかでいろいろな問題を抱えている沖縄について考えたくなります。
まとめ:自由研究のテーマにおすすめ【沖縄】について親子で考える本7冊
自由研究のテーマにおすすめ!【沖縄】について親子で考える本7冊はいかがでしたか?
沖縄の知らなかった過去、歴史を知った人もいるはずです。
また、大国ロシアのウクライナ侵攻をキッカケに、戦後からずっと問題化されていきた【沖縄】の問題に、私たちはもっと真剣に向き合う時期になっている気します。
親子で【沖縄】について学んで、いろんな話をしてみてくださいね。
気になる本から読んでみてくださいね。
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