ここ数年の中学受験で出題された物語のなかから、音楽が好きな小中学生におすすめしたい本を紹介します。
『8分音符のプレリュード』
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【著者】松本祐子
【出版社】小峰書店
【出版年】2008年
- 主人公:中学2年生、優等生の果南
- 本の長さ:227ページ(単行本)
- 作者は松本祐子さん、聖学院大学児童学科教授であり児童文学作家。
『リューンノールの庭』で日本児童文学者協会・長編児童文学新人賞などを受賞している。
『8分音符のプレリュード』はこんな本(あらすじ・おすすめポイント)
『8分音符のプレリュード』は優等生の果南が、天才ピアニスト透子を真の当たりにして、自分と誰かを比べて優越感に浸っていた今までのちっぽけな自分に気づく成長物語です。
主人公の果南ちゃん、転校生の天才少女の透子ちゃんだけではなく、ムードメーカーの椎名君、ケチをつけてくる高木さん、態度を急変させる詩織ちゃん、生徒会長で吹奏楽部部長の小暮先輩など、彼らのナイーブな気持ちが絡み合う青春が楽しめます。
長編小説ですが、学校生活の物語なので登場人物の気持ちを理解しやすく、読みやすいはずです。
『8分音符のプレリュード』 中学入試メモ
2008年に出版された本ですが、10年以上たった今でも中学入試で出題されています。
2021年聖セシリア女子中学校の入試問題で出題されました。
【出題箇所はココ!】
天才少女といわれていた転校生の透子の音楽センスによって生まれ変わった吹奏楽部の演奏が大成功するシーン。
2022年江戸川女子中学校の入試問題で出題されました
【出題箇所はココ!】
果南が冷ややかな透子にぶちきれて、頬をひっぱたいてしまうシーン。
『アドリブ』
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【著者】佐藤まどか
【出版社】あすなろ書房
【出版年】2019年
- 主人公:フルートで音楽学院に通うユージ(10歳~15歳)
- 難しい漢字にフリガナあり
- 本の長さ:236ページ(単行本)
- 作者の佐藤さんはイタリア在住の作家さん
佐藤まどかさんの書いた、15歳の少年が主人公が椅子つくりに挑戦する『一〇五度』は2018年度「第64回 青少年読書感想文全国コンクール」の課題図書になっている
『アドリブ』はこんな本(あらすじ・おすすめポイント)
舞台はイタリアの小さな町
母親と二人で暮らす少年ユージ(母もユージも日本人)は、10歳の夏、フルートと電撃的な出会いをし、音楽院に入り憧れの先生に教わるようになる。
生活はキツキツ、学校と音楽院とダブル生活もたいへんなのだが、フルートに関しては順調に上達していくユージ。
フルートを憧れから始めて5年目
ユージは、プロになれるのはひと握りという音楽界のきびしさをひしひしと感じ、お金の心配や将来への不安、音楽との向き合い方、なにもかもに悩んでいた
自分の好きなことで生きていく難しさと楽しさの表裏一体
自分でどうにもならないとわかっていること(家庭の貧しさ)にどう向き合うのか
だれかと自分を比べてしまう人間の性(自分の魅力って?)
15歳のユージはどうするべきなのだろうか?
同世代のユージの生き方は、自分に似ているなと感じる小中学生もいるはずです。
『アドリブ』 中学入試メモ
2021年鷗友学園女子中、早稲田佐賀中の入試で出題されました
【2021年鷗友学園女子中の出題箇所はココ!】
14歳のユージが、夏休みを利用して有名なフルート奏者から2日間の特別レッスンを受けるシーン
『奏のフォルテ』
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【著者】黒川裕子
【出版社】講談社
【出版年】2018年
- 主人公:中学校2年生ホルン奏者、遠峰奏
- 本の長さ:242ページ(単行本)
- 難しい感じにはフリガナあり
- 作者の黒川さんの作品『となりのアダブタくん』(児童書)が有名
『奏のフォルテ』はこんな本(あらすじ・おすすめポイント)
中学校2年生ホルン奏者の遠峰奏は、音に対して天才的な才能をもつため、普通の中学生活を送るのが難しい。
さらに海外の有名音楽学校の受験に落ち、友達との衝突が繰り返され、家族の経済的問題が浮上し、彼を取り巻く状況が悪化していきます。
そんな中、新しい友達でありライバルがきっかけになり、彼の音楽への気持ち、生き方、人との接し方がどんどん変化していきます。
青春時代のみなぎるパワーと、それが空回りしてしまう虚しさ、でもそれがまた新しいパワーになっていく力強さを感じる物語です
「人と協調して生きるって難しい」と思っている人にもおすすめしたい本です。
『奏のフォルテ』 中学入試メモ
2020年成城学園中学校第1回の入試で出題されました
【2020年成城学園中学校第1回の出題箇所はココ!】
遠峰奏が、小学3年生の時に、仮入部で入ったブラスバンドクラブの練習を思い出す部分
『吹部』
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【著者】 赤澤竜也(著)
【出版社】角川文庫
【出版年】2016年
- 主人公:高校生の女の子、吹奏楽部部長の鏑木沙耶
- 本の長さ:292ページ(文庫本))
- 続編がある『吹部! 第二楽章』
『吹部』はこんな本(あらすじ・おすすめポイント)
ほぼ休部状態だった浅川高校吹奏楽部に強烈な顧問ミタセンがやってくる。
自分勝手ともいえるミタセンのパワーのもと、吹奏楽部の部長になった沙耶は部員集めから始めます。
そんなレベルの吹奏楽部なのにミタセンの目標は「全国大会出場!」だというのです。
え~!どうなるの吹部。
登場する高校生ひとりひとりのキャラクターがあり、それぞれが自分なりに吹奏楽と向き合う青春物語であり、仲間と一緒になにかを成しとげるたいへんさと楽しさが伝わってくる小説です。
高校生らしい?恋なのかしら?といった部長の沙耶と幼馴染の西大寺君の胸キュン物語でもあります。
音楽と可愛らしい恋、小中学生が楽しみながら読める本です。
『吹部』中学入試メモ
2019年春日部共栄中学入試で出題されました
【出題部分はココ!】
部長の鏑木沙耶がミタセンから部員集めを強要され、幼なじみの西大寺君を思い出すシーンから、ミタセンと西大寺くんのと会話まで
『よろこびの歌』
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☝ジュニア用もあります
【著者】宮下奈都
【出版社】実業之日本社
【出版年】2017年
- 主人公:高校生の女の子、有名なヴァイオリニストの娘、御木元玲
- 本の長さ:272ページ(文庫本)
- 宮下奈都さんの作品は中学入試国語出題本によく登場します
『よろこびの歌』はこんな本(あらすじ・おすすめポイント)
7つの連作短編集
新設女子校の2Bのクラスメイトたちの青春物語。
有名なヴァイオリニストの娘で、声楽を志す御木元玲は、当たり前のように受かると思っていた音大附属高校の受験に失敗し、新設女子高の普通科に進学します。
自分の音楽の才能に疑問をもち、挫折感から学校でも孤独になってしまうのだが、校内合唱コンクールで指揮者になることで、玲の高校生活が動き出します。
玲と同じように自分の現状、見えない未来にもがき、それぞれ自分なりの道を歩みだす玲のクラスメイトたちと、玲の成長が読みどころです。
『よろこびの歌』中学入試メモ
2017年吉祥寺中学校の国語入試問題で出題されました
2019年公文国際中学校Bの国語入試問題で出題されました
2019年愛知県の公立高校入試(Bグループ)で出題されました
【2017年吉祥寺中学校入試問題の出題箇所はココ!】
出題された部分は、挫折感から孤独を貫いている玲ちゃんが合唱コンクールの指揮者になるところから始まり、玲の圧倒的な音楽レベルにクラスメイトたちが引き気味になってしまう部分 そして高3への進級を前に合唱コンクールのリベンジをする部分
2024年大宮開成中学(第1回)でも出題されました!
『終わらない歌』
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【著者】宮下奈都
【出版社】実業之日本社
【出版年】2015年
- 『よろこびの歌』の続編物語
- 主人公:声楽を志して音大に進学した御木元玲とミュージカル女優をめざす原千夏
- 本の長さ:288ページ(文庫本)
- 作者の宮下奈都さんは、他にも音楽に関連した本を書いています。
ピアノ調律師の青年を書いた『羊と鋼の森』も、中学・高校入試問題になっています。
(次に紹介しています)
『終わらない歌』はこんな本(あらすじ・おすすめポイント)
このひとつ前に紹介した『よろこびの歌』の続編
連作短編集6編が1冊の本になっている
自分の未来がはっきり見えなかった高校2Bの彼女たちのさらなる物語です。
あれから3年(卒業して2年)たち、それぞれの人生を歩み始めたところ。
声楽を志して音大に進学したのに、さらに自分の才能に悩む御木元玲、ミュージカル女優をめざし劇団に入った原千夏など、馴染みのメンバーたちが続々登場します。
高校生の時とは違った人生の悩みに向かい、また新しい一歩を踏み出していく彼女たちの物語が書かれています。
音大生の玲と劇団員の千夏のストーリーなので、小学生にはちょっとお姉さん世代の物語になります。
『よろこびの歌』『終わらない歌』は、子どもから大人への階段を上る女の子たちの素直な気持ちが書かれた物語です。
自分の未来が不安になる気持ち、自分の明るい未来へ向かって歩き出そうという気持ちが表裏一体になっている青春がキラキラひかっていてまぶしかったです。
『終わらない歌』は、小中学生にとっては少し大人の話なので、小中学生がおもいっきり感情移入するのは難しい部分もあると思いましたが、『よろこびの歌』を読んだら、ぜひ合わせて読んでほしいです。
『終わらない歌』中学入試メモ
2020年富士見中学校の入学試験で出題されました。
2014年長野県の公立高校入試で出題されました。
【2020年富士見中学校入試問題の出題箇所】
玲が千夏に誘われて劇団のミュージカル公演に出演することになる。公演の練習時の出来事と、その帰り道での千夏と七緒(一緒に出演する仲間)との会話のシーン
『羊と鋼の森』
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【著者】宮下奈都
【出版社】文藝春秋社
【出版年】2018年
- 主人公:調律師の外村
- 本の長さ:274ページ(文庫本)
『羊と鋼の森』はこんな本(あらすじ・おすすめポイント)
主人公の外村は高校2年の時にピアノの調律師・板鳥に出会い、ピアノの調律に魅せられます。
ピアノをまともに弾いたことさえない彼は、調律師の道を進むことを決意し、専門学校を卒業後、憧れの板鳥と同じ楽器店に入社します。
自分自身にも、調律の仕事にも自信が持てない外村ですが、ピアノを愛する姉妹や、調律の先輩と恩師との交流を通じて、彼らしく静かにマイペースに成長していくのです。
第13回本屋大賞、第4回ブランチブックアワード大賞2015、第13回キノベス!2016 第1位、伝説の三冠を達成した本です。
小学生が「おもしろい!楽しい!」と読めるような本ではないのですが、自分に自信がもてない繊細なハートをもつ小中学生には、心に響く物語だと思います。
『羊と鋼の森』 中学入試メモ
2018年度筑波大学附属駒場中学校入試で出題されました。
2019年森村学園中等部(第一回)入試で出題されました。
2019年自修館中等教育学校(A-1)入試で出題されました。
2020年度青山学院横浜英和中学校A入試で出題されました。
【2020年度青山学院横浜英和中学校A入試の出題箇所はココ!】
先輩の柳さんと、双子のピアノを調律に出かけた日の部分
『蜜蜂と遠雷』
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【著者】恩田陸
【出版社】幻冬舎
【出版年】2018年
- 主人公:栄伝亜夜20歳ほか
- 本の長さ:<上巻>454ページ<下巻>508ページ(文庫本上下巻あり)
- 『第156回 直木賞』と『2017年本屋大賞』の史上初のW受賞した
『蜜蜂と遠雷』はこんな本(あらすじ・おすすめポイント)
国際ピアノコンクールを舞台にした4人の出場者を軸に描かれる青春小説です。
自宅に楽器を持たない不思議な少年、風間塵16歳。
天才少女としてデビューしながら突然の母の死以来、弾けなくなった栄伝亜夜20歳。
楽器店勤務のサラリーマン、高島明石28歳。
完璧な技術と音楽性をもつ、優勝候補マサル19歳。
本の中から、それぞれの個性が奏でる音が聞こえてくる臨場感ある小説です。
4人はライバルでもありながらも、音楽を愛する仲間なんですよ。
小学生が上下巻を読み通すのは難しいと思いますが、音楽好きならぜひ挑戦してみるのをおすすめします。
『蜜蜂と遠雷』 中学入試メモ
2020年茗渓学園中学校入試(第1回)で出題されました。
【出題箇所はココ!】
パリで行われている若手ピアニストのオーディション会場で、審査員の三枝子がカザマ・ジンに興味をしめすシーン
『ピアノをきかせて』
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【著者】小俣麦歩
【出版社】文芸春秋社
【出版年】2018年
- 主人公:小学6年生の響音ちゃん
- 長編小説
- 本の長さ:226ページ(単行本)
『ピアノをきかせて』はこんな本(あらすじ・おすすめポイント)
音に対する感受性が豊かな小学校6年生の響音ちゃんは、ある日、素敵だった姉(中学2年)のピアノの音が変わっていることに気づきます。
その姉のピアノの音の変化は、家族にも大きな影響を及ぼすことになるのです。
響音ちゃんは、姉や家族を自分を「音」で表現することで、もう一度つなげ合わせようと考えます。
姉や家族に、響音ちゃんの音は響かせることができるのでしょうか?
響音ちゃん一家は、みんなの音を聞きあうことで和をとりもどせるのか?
響音ちゃんはとってもいい子です。
でも、いい子だからこそ、ありがちな、心配事を親や大人に上手に伝えられず、それをまた自分が悪いと思ってしまうのです。
そんな響音ちゃんは、自分に似ているなと感じる小中学生もいるはずです。
響音ちゃんは、頼りになるはずの大人だって完璧な人間じゃないということに気づかされます。
おじいちゃんも、おばあちゃんも、お父さんも、おかあさんもだれだって初めてはあるんだし、失敗したらやり直してみればいいじゃないとみんなが語っているシーンが一番印象的でした。
『ピアノをきかせて』 は、児童書なので、小中学生でも十分に読みこなせる本です。
『ピアノをきかせて』 中学入試メモ
2021年晃華学園中学校入試(第一回)で出題されました。
【出題箇所はココ!】
父の提案で、父母と別れて響音ちゃんと姉が、祖父母の家で暮らし始めるシーン
『夏のカルテット』
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【著者】眞島めいり
【出版社】PHP出版
【出版年】2021年
- 主人公:中学1年生の霜村典 ツカサ(男子)
- 長編小説
- 本の長さ:208ページ(単行本)
『夏のカルテット』はこんな本(あらすじ・おすすめポイント)
中1の夏休み。
図書室当番で集まったクラスも部活もバラバラな4人(男3人女1人)、ツカサ、ササヤ、ミキ、カノ(女子)は、夏休みのグループ課題のためバンドを結成しようと思いつきます。
夏限定のバンドは、4人にとってかけがえのない場所になっていきます。
が、休み明け、SNSにアップしたバンドの動画映像を学校のみんなに見られたことが、思わぬ事件をひき起こします。
キラキラしたかけがえのない暑い夏を過ごした4人が、お互いを想い合う友情物語です。
『夏のカルテット』 中学入試メモ
2022年1月西大和学園中学の入試問題で出題されました。
【出題箇所はココ!】
夏休み明け、SNSで拡散したバンドの動画が学校で話題になる場面
『ソノリティ』
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【著者】佐藤いつ子
【出版社】KADIOKAWA
【出版年月】2022年
- 主人公:中学1年生の早紀、涼万、キンタ、岳
- 5つの連作短編集(クラスメイトが順番に主人公になっていく)
- 本の長さ:256ページ(単行本)
- 難しい漢字にルビあり
- 作者は中学入試で頻出の作家、佐藤いつ子さん
『キャプテンマークと銭湯と』『駅伝ランナー』などの人気本がある
『ソノリティ』はこんな本(あらすじ・おすすめポイント)
気弱な女の子早紀ちゃんが合唱コンクールの指揮者になり、クラスメイトたちとともに成長していく青春物語です。
父親にすら自分の気持ちを伝えられない、おとなしい早紀ちゃんが合唱コンクールの指揮者になり、クラスメイトと合唱をつくりあげていく
早紀ちゃんは合唱をとおして、思いがけない異性にときめいたり、逆にクラスメイトから恋をされたり、それまで交流のなかったクラスメイトと仲良くなったり、今までの早紀ちゃんの世界ではありえなかった世界が広がっていきます
この本の魅力は、早紀ちゃんだけではなくクラスメイト3人の目線から物語が語られる連作短編集になっていることです
クラスのリーダー的存在のキンタも涼万も岳も、実は自分に自信を失いかけているのです。
そして彼らも気になる相手がいて、その想いが空回りしてイライラしたりやきもちをやいたりするのです。
そう、この物語みんながそれぞれ恋心をもっているんだけど、全員片思いなんです。
恋も合唱も、いくら頑張っても結果がでないこともあるけれど、がんばったこそたどり着ける世界がある。
一歩ふみださなくちゃ、たどり着けない世界があるんだと教えてくれる物語です。
短編物語の主役にはならないピアノの天才音心(ソウル)くんが、クラスのみんなを繋いでいるキー男子です。
彼は音感もあり、みんなの良いところや悩みを見ぬく力もある、スーパーカッコいい男子でした。
自分への苛立ち、友達への嫉妬、異性へ恋の芽生えなど、子どもたちが共感しやすいテーマがたっぷりつめこまれているおすすめ本です
『ソノリティ』 中学入試メモ
2023年京華中学校(午前)、桐朋女子中学校(A)、学習院中等部(第一回)で出題されました。
【桐朋女子中学校(A)の出題箇所はココ!】
第2章 キンタの場合
クラスのリーダー的存在の女子金田晴美 オンチを気にしているキンタの物語より
『廉太郎ノオト』*文庫本あり
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【著者】谷津矢車
【出版社】中央公論社
【出版年】2019年
- 主人公:実在した音楽家、滝廉太郎
- 本の長さ:424ページ(文庫本)
- 第66回青少年読書感想文全国コンクール課題図書(高等学校の部)
『ピアノをきかせて』はこんな本(あらすじ・おすすめポイント)
教科書で学ぶ日本の音楽家といえば、丸ぶち眼鏡が印象の滝廉太郎を思いうかべる人が多いはずですが、滝廉太郎ってどんな人なのか知っていますか?
人間としての滝廉太郎を書き出した小説がこの本です。
音楽という芸術の道で生きていくたいへんさ、他人の才能や運をうらやましく思う自分の性格の悪さにイラッとくる廉太郎。
廉太郎や仲間たちといった芸術を極めようとする人たちの葛藤、青春時代のみずみずしい感性があふれ出た物語です。
今も昔も、女性だけじゃなく男性も自分の好きなことを貫いて生きるのはたいへんなんだなとしみじみと感じた本です。
『廉太郎ノオト』 中学入試メモ
2020年、兵庫県の公立高校入試問題で出題されました。
2020年、東洋英和女学院中学部の入試問題で出題されました。
2021年、桐朋中学校の入試問題で出題されました。
など
【兵庫県の公立高校入試の出題箇所はココ!】
欧米留学から帰ってきた教授、幸田延と会話をするシーン
『くちびるに歌を』
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【著者】中田 永一
【出版社】小学館
【出版年】2011年
- 主人公:中学3年生、自閉症の兄をもつひとりぼっち男子桑原サトルと、同級生の女子、父は家を出ていき母を亡くしたため祖父母と暮らす仲村ナズナ
- 長編小説
- 本の長さ:文庫本:316ページ
- 作者は中田 永一さん
ミステリー作家として有名な乙一(おついち)さんと同一人物
- 2015年、新垣結衣の主演で映画化されている
『くちびるに歌を』はこんな本(あらすじ・おすすめポイント)
五島列島の小さな中学校の合唱部に臨時音楽教師がやってきたのをキッカケに、合唱部には男子部員が加わり、いままで女の園だった合唱部に荒波が押し寄せます。
男子と女子のいざこざ、合唱部員たちそれぞれの悩み、産休に入っている顧問の松山先生への心配、中学生たちはいっぱいの不安で心を埋め尽くしているのです。
そんな彼らを一つにするのが歌!
いざこざを繰り返しや喧嘩をしながらも、お互いを知り、みんなで歌うことが好きになっていく彼らの青春物語。
特に主人公のひとり、サトルくんの成長は一番輝いていた
自閉症の兄をもち、今までどおり将来は兄のお世話をして一生を過ごすことが決められていると思っているおとなしい少年は、それが当たり前だと思う一方で、合唱部の仲間と関り知り合うことで、仲間の将来をうらやましく思う自分がいることに気づく
子どもは決して平等な環境で育っているわけじゃないし、いろんな家庭環境を子どもは選ぶことはできない。
だからその中で生きるほかなく、将来は今と変わらないと思っているかもしれない。
でもそんなことはぜったいにない。
大人になるっていうのは、自分の人生を選べるということでもあるんだよと教えてあげたい。
サトルくんがこれからどんな人生を選ぶのかなと、楽しみに思うような物語の最後になっていたのが救われた。
臨時の柏木先生のツンデレ系なのも、おもしろかった。
美しく優しくて穏やかで弱っちい先生ではないのですから(笑)
『くちびるに歌を』 中学入試メモ
2022年千葉日本大学第一中学校の入試で出題された箇所を調べてみました。
2022年 千葉日本大学第一中学校の入試で出題されました
【出題箇所はココ!】
ナズナちゃんが語る部分
合唱部に亀裂がはいった5月、女子の中に男子部員賛成派と反対派ができるシーン
『ラベンダーとソプラノ』
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【著者】額賀 澪
【出版社】岩崎書店
【出版年】2022年9月
- 主人公:小学6年生 ラベンダー色がトレードマーク 合唱部でアルトパートのリーダーをしている真子ちゃん
- 本の長さ:224ページ
『ラベンダーとソプラノ』はこんな本(あらすじ・おすすめポイント)
真子ちゃんは、がんばりやさんが集まる小学校の合唱部のアルトパートのリーダーだ。
合唱部は、毎年成績優秀なので、先生や親たちの期待度も高い。
でも、今年の合唱部は先生との折り合いも、先輩と後輩の折り合い、パートグループの折り合い、先生と親との関係などなど、何もかもが上手くいってないので、みんなの頑張りが空回りしている感じ。
部活の雰囲気も最悪だ。
合唱部のメンバーは、学校でいい気になっていると言われているし。
部長ともうまくいかないし、辛そうな後輩たちも守れない。
壁にぶつかった状態の真子ちゃんを助けてくれたのは、1学年下の朔君が紹介してくれた半地下合唱団だった。
学校以外のいろいろな人とふれあいながら成長していく女子小学生の物語です。
『ラベンダーとソプラノ』 中学入試メモ
2023年八雲学園中学校の中学入試で出題されました
『風を彩る怪物』
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【著者】逸木裕
【出版社】祥伝社
【出版年】2022年
- 2つの連作中編小説
- 主人公:音大浪人生の陽菜と、父とオルガン制作をしている芦原朋子
- 2023年の公立高校入試で注目された作品
『風を彩る怪物』はこんな本(あらすじ・おすすめポイント)
『風を彩る怪物』の最初の章は、コンクールで自分より格上の奏者たちに出会い自信を無くしてしまったことで音大に落ち、このままフルートを続けるかどうか悩んでいる陽菜が、姉の住む奥瀬見でオルガン制作をしている芦原さんと娘の芦原朋子にであう物語です。
次の章では朋子が主人公になり、オルガン制作を続けていくか悩む彼女の物語になります。
どちらも「人」と関わることで、新しい自分に気づき、前進していく女性二人の成長物語です。
『風を彩る怪物』 高校入試メモ
2023年千葉県立高校入試で出題されました。
【出題箇所はココ!】
陽菜の物語より
陽菜がフルートをやめたい理由や、オルガン制作をしたいと朋子と芦原さんに告げる場面
音楽が好きな小中学生におすすめしたい紹介本リスト
ここ数年の中学受験で出題された物語のなかから、音楽が好きな小中学生におすすめしたい本を紹介しました。
少女が自分と誰かを比べて優越感に浸っていた今までのちっぽけな自分に気づく成長物語
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音楽に真剣に向き合う少年の成長物語
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青春時代のみなぎるパワーの力強さを感じる物語
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高校生ひとりひとりのキャラクターがあり、それぞれが自分なりに吹奏楽と向き合う青春物語
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自分の現状、見えない未来にもがき、それぞれ自分なりの道を歩みだす成長物語
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高校生の時とは違った人生の悩みに向かい、また新しい一歩を踏み出していく彼女たちの物語
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自分らしく静かにマイペースに成長する物語
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本の中から、それぞれの個性が奏でる音が聞こえてくる臨場感ある小説
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響音ちゃん一家が、みんなの音を聞きあうことで和をとりもどしていく物語
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キラキラしたかけがえのない暑い夏を過ごした4人が、お互いを想い合う友情物語
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クラスメイト4人の目線から物語が語られる連作短編集
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廉太郎や仲間たちといった芸術を極めようとする人たちの葛藤、青春時代のみずみずしい感性があふれ出た物語
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いざこざを繰り返しや喧嘩をしながらも、お互いを知り、みんなで歌うことが好きになっていく彼らの青春物語
リンク
学校以外のいろいろな人とふれあいながら成長していく女子小学生の物語
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「人」と関わることで、新しい自分に気づき、前進していく女性二人の成長物語
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