【入試で出題された】おいしい小説を紹介します。
中学入試で出題されたというと、堅苦しい物語を思いうかべる人もいるかもしれませんが、意外にも「おいしい小説」がたくさん出題されています。
本を読むのが苦手でも、おいしいものが大好きな人におすすめの本です。
テスト中にお腹が減っちゃいそうな、おいしそうな物語を楽しんでみてくださいね。
せっかく本を読むなら、入試に出た本を読んでみませんか?
このブログでは、中学入試・高校入試で出題された本のなかから選んでいます。なぜなら……。

中学・高校受験出題本はとにかくおもしろい!
国語の専門家である国語の先生たちが選んだ本はどれも失敗なし!なのです。
『給食アンサンブル』児童書

給食メニュー
「七夕ゼリー」「マーボー豆腐」「黒糖パン」「ABCスープ」「ミルメーク」
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【著者】如月かずさ
【出版社】光村図書出版
●あらすじ
クラスメイトたちが順番に主人公になっていく連作短編集
主人公は悩める中学1年生の男女
給食をテーマにした、悩み多き中学生のリアルな姿がみえる物語。
●その他情報
続編『給食アンサンブル2』がある
①2021年度、和洋国府台中学校入試で出題された
出題された部分はココ!
短編「マーボー豆腐」
大人になるための努力をしている、辛いモノが苦手な桃ちゃんの物語
②2022年度、聖学院中学校入試で出題された
出題された部分はココ!
短編「七夕ゼリー」
お嬢様学校から公立中学に転校してきた美貴ちゃんの物語

おすすめポイント
毎日モヤモヤ、イライラしているのは自分ひとりだけじゃない!
周りから、家族からの自分への期待や評価は?
友達から自分はどう思われているのか?
本当の自分はどうなんだろうか?
心配しないでも、同じようにクラスメイトのみんなも「自分って?」と悩んでいます。
『給食アンサンブル2』児童書

給食メニュー
「アーモンドフィッシュ」「ハヤシライス」「ミートボール」「クリームシチュー」「くじらの竜田揚げ」「牛乳」
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【著者】如月かずさ
【出版社】光村図書出版
●あらすじ
クラスメイトたちが順番に主人公になっていく連作短編集
主人公は悩める中学2年生の男女
(前作から1学年進級しました)
前作に引き続き、給食をテーマにした、悩み多き中学生のリアルな姿がみえる物語です。
●その他情報
続編『給食アンサンブル2』がある
2024年度、青山学院中等部の入試で出題された
出題された部分はココ!
短編「アーモンドフィッシュ」
バスケ部をやめたことに悩んでいる大久保慎吾くんの物語

おすすめポイント
「自分ってなんだろう?」って悩み、自分に自信がないことに落ち込み、他のクラスメイトに嫉妬したり、自分の価値観を押し付けて孤立したり、恋をしたり。
悩んだこと、その時感じた想いは、中学生生活の思い出になり、大人になれば青春の1ページとなるはずです。
前作に出てきた何人かは『給食アンサンブル2』でも引き続き登場するので、成長した彼らに出会えます。
『天の台所』児童書

体にも心にも栄養になる毎日の食事
唐揚げ、玉子焼き、サバ缶入りトマトカレーなど
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【著者】落合由佳
【出版社】講談社
●あらすじ
長編物語
祖母が亡くなってしまい、現在は、父と弟と妹と4人暮らす小学6年生の天くん
「台所は、家の心臓なんだよ」
そんな、おばあちゃんの言葉から物語は始まります。
祖母が亡くなり、だれも料理をすることがなくなってしまった天くんのお家。荒れ放題の、うちのなかやおばあちゃんの台所。
天くんは、お隣に住む、ちょっと怖い「がみババ」から、厳しく料理を習い始めます。
生きるために、家族再生のため、おばあちゃんの台所を守るため料理をマスターしていく天くんの成長物語。
2024年度、普連土学園中学校の入試で出題された
出題された部分はココ!
お父さんと唐揚げをあげるシーン
運動会の日のシーン

おすすめポイント
生きるためには「食べる」のが必要です。
でも、ただ食べるだけなら「えさ」になっちゃう。
じゃなくて、「食べ物」は、おいしく、楽しく、幸せに、大切に食べるから、体にも心にも栄養になるんです。
料理とは、食材を調理するだけじゃなくて、台所に立ち、道具を駆使し、食材を選び、メニューを考え、洗い物といった後片付けもする、そんな一連の流れが毎日毎日繰り返されて、おいしい料理が食べられるのに気づく天くん。
天くんを通して、食事の大切さやありがたさをかみしめよう!
『殻割る音』

家庭料理
理想の朝食(フレンチトースト、ほうれん草と手作りベーコンのソテー、スクランブルエッグ、玉ねぎとじゃがいものスープ)
オムレツ
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【著者】中村汐里
【出版社】小学館
●あらすじ
中学受験間近なのに料理に興味をもってしまった!
さらに料理が苦手な母との間には確執が生まれ……。
さくらちゃんは無事に合格できるのか?
そしてお母さんと仲直りできるのか!
●その他情報
続編あり『天満つ星』
さくらちゃんが中学生になっています。
『天満つ星』は2025年度、長崎県の公立高校入試で出題された
2025年度、攻玉社中学校の中学入試で出題された

おすすめポイント
さくらちゃんの夢は、料理が苦手なお母さんと一緒に料理をつくることだけど、ほんとうのことを言ったらお母さんが傷つくかも……。
さくらちゃんの気持ち、お母さんの気持ち、お互いの気持ちのすれ違いに、ハラハラそしてウルリと心が揺さぶられます。
にしても、調理実習のときにクラスメイトが持参する”お父さんの手作りベーコン”、むちゃくちゃおいしそうでした。
『ひぐまのキッチン』

手料理
広島焼き風お好み焼き
オムライス
鬼まんじゅう
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【著者】石井睦美
【出版社】中央公論社
●あらすじ
6つの連作短編集
大学で応用科学を学んだ技術系女子のまりあは、就職活動に苦労したすえ、ようやく社長秘書として採用され働きだしたのだが……。
なぜか、秘書業務プラス、取引相手や社員、社長の友人に料理をふるまう!という、不思議な業務があったのだ!!
どうする?!まりあ。
●その他情報
ひぐまのキッチンとしてシリーズ化
続編に『から揚げの秘密』『もちじゅわ 中華まんの奇跡』がある
2021年度、石川県の公立高校入試で出題された

おすすめポイント
おいしい食べ物を共有すれば、仕事も人間関係もスムーズになる!
『すきだらけのビストロ』

芸術と組み合わされた料理
真鯛のグリエ、仔牛のポワレ、地鶏のコンフィ、自家製ソーセージ、ブイヤベース、伊勢海老と帆立貝のメダイヨン
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【著者】冬森灯
【出版社】ポプラ社
●あらすじ
キッチンカーのビストロ「つくし」で繋がる7つの連作短編集
今までありそうで、なかった!?
おいしい料理と素敵な芸術が組み合わさった物語。
舞台は、猫ぽいギャルソンと、シロクマのようなコックが迎えてくれる期間限定でオープンするキッチンカーのビストロ「つくし」。
悩める人たちを癒してくれるのは、ビストロ「つくし」で味わえる芸術と食べ物だった!?
魔法にかけられたような、ファンタジーを楽しむような時間を味わえるステキな物語。
2024年度、聖光学院中学校の入試で出題された
出題された部分はココ!
出題短編:「マエストロのプレジール」

おすすめポイント
音楽、絵画、演劇といった芸術は、その人自身を映しだしたり、新たな発見・知恵をくれたり、勇気や元気を与えてくれるモノ
同じように、おいしい料理も、弱った心や体をあたためて、あなたの栄養となり、生き返る元気を与えてくれるモノ
料理と芸術は、最強の組み合わせかも!
そして、キッチンカーでビストロをだしている猫ぽいギャルソンと、シロクマのようなコック(兄妹)には秘密があったりと、ちょっとした謎も隠されているのです……。
『お菓子の船』

どら焼き
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【著者】上野歩
【出版社】講談社
●あらすじ
長編物語
今まで食べてきたモノの中で、一番記憶に残っているものは何ですか?
製菓学校を卒業した樋口和子(わこ)は、忘れられない味、幼い頃食べた祖父のつくった「どら焼き」を再現するために、祖父のことを調べていくと……。
和菓子職人としての仕事への葛藤を続けるなかで、戦争によってほんろうされた祖父の波乱万丈の人生を知るのです。

おすすめポイント
「どら焼き」の表現描写が、ユニークで、とにかくおいしそう!
どんな味のどら焼きなんだろう?と気になります。
そして、祖父はどうやってその味を生み出したのかという謎、祖父の人生に隠されていた秘密にドキドキ、切なくしんみり……。
涙があふれます。
2024年度、鷗友学園女子中学校の中学入試で出題された
出題された部分はココ!
和子の老舗和菓子店での修行中シーン
『本日のメニューは。』

日常の食べ物
ラーメン、おむすび、唐揚げ定食、ロコモコ丼、ドミグラスソース
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【著者】行成薫
【出版社】集英社
●あらすじ
食べ物に関する人間ドラマが楽しめる5編の短編集
今まで味わったことのないおいしいものを食べたとき。
病気などで好きなものが食べられなくなったとき。
みんなで料理を楽しく食べた時、一人でさみしさを感じながら食事をしたとき。
貴重なものを味わったとき。
食べることは、人生のなかでとっても大事なことで、食べ物は、生きるうえで大事なモノだと気づく。
食べ物・食べることを愛する人たちの物語。
●その他情報
続編『できたてごはんを君に。』がある
2021年度、神奈川学園中学校の中学入試で出題された
出題された部分はココ!
短編:「おむすび狂誌曲(ラプソディー)」
母のつくったお弁当をめぐり、母と娘のいざこざに巻き込まれたおむすび屋さんの店主結女の物語

おすすめポイント
あなたの生き方を変えた食べ物ってありますか?
毎日の何気ない食事がキッカケで、生き方や考え方が変わってしまうなんて……。
ありえないようで、あるんです!!
食事や食べ物は、人の気持ちや人生すらを変えちゃうくらいのすごいパワーに驚きます。
『できたてごはんを君に。』

かつ丼、カレー、ラーメン、米粉パン
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【著者】行成薫
【出版社】集英社
●あらすじ
「食べ物」でつながる4つの短編小説集
前作『本日のメニューは。』に引き続き、食べ物・食べることを愛する人たちの人情たっぷり物語
●その他情報
前編『本日のメニューは。』
2024年度、神奈川学園中学校入試で出題された

おすすめポイント
”「美味しい」と「幸せ」がたっぷり詰まってます!
最高の“ごはん小説”誕生! ”
こんな本の紹介文が書いてあったら、「読みたい!」と食いしん坊さんは飛びついちゃいますよね。
おいしそうな食べ物の裏にある、それぞれの人生。
「食べ物」と「人生」、「食べること」と「幸せ」が結びついた、本の紹介どおり「最高のごはん小説」です。
『ショートケーキ。』

ショートケーキ
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【著者】坂木司
【出版社】文藝春秋社
●あらすじ
ケーキ屋さんで繋がる5つの連作短編集
性別も年齢も違うけれど、彼らが気になるのはいちごののった「ショートケーキ」
同じお店の、同じ見た目、同じ味の「ショートケーキ」だけど、彼らひとりひとりにとっては、どんな「ショートケーキ」なのか?
ショートケーキを愛する人たちの、それぞれの人生におけるショートケーキ物語。
2024年度、高輪中学校の中学入試で出題された
出題された部分はココ!
短編「ホール」
互いに母と二人暮らしの大学生、ゆかとこいちゃんの物語

おすすめポイント
あなたも「ショートケーキ」への思い入れはありますか?
誕生日、入学式・卒業式、合格祝い、就職祝い、成人のお祝い、快気祝いなどなど。
大事な日に大切な人と食べた、あなたのケーキの「想い」や「思い出」がよみがえるかもしれません。
『たそがれ大食堂』

デパートの大食堂メニュー
オムライス、クリームソーダ―、エビフライ、ナポリタン、プリン、お子様ランチ
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【著者】坂井希久子
【出版社】双葉社
●あらすじ
連作短編集
地方都市にある地域密着型のデパート、マルヨシ百貨店に勤める美由起。
そんなデパートにある、昭和レトロ感ただよう大食堂のマネージャになった美由紀におそいかかったのは、大食堂の存続の危機!
さらに、若社長のつれてきた新しい料理人の智子が、今までの大食堂の味を大きく変えようとして、料理人たちはバトルになるし……。
美由紀は、大食堂を守れるのでしょうか?
レトロ感たっぷりの食堂メニューがぞくぞく出てくる、おいしいお仕事小説。
2023年度、聖光学院中学校の中学入試で出題された
出題された部分はココ!
新しくデパートの食堂の料理長に就任した智子と、長年食堂で働いている中園と新オムライスをめぐる争い

おすすめポイント
デパートの大食堂って行ったことありますか?
大きな部屋に、たくさんのテーブルがあって、相席が当たりまえで、メニューには洋食も和食も中華もそろっていて、子どもも大人もワクワクしちゃうレストランなんですが……。
残念ながら、最近はめったにお目にかかれなくなってしまいました。
でもこの小説のなかでは、「懐かしい!」人も、「はじめまして」の人もデパートの大食堂の魅力に引き込まれてしまいます。
『月曜日の抹茶カフェ』

抹茶
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【著者】青山美智子
【出版社】共同通信社
●あらすじ
12か月ごとのショート・ストーリー集
喫茶店「マーブル・カフェ」が定休日の月曜日にだけオープンする「抹茶カフェ」。
訪れる人たちをやさしく迎えてくれる。
人と人との繋がりの温かさを、素直に感じられるすてきな物語。
●その他情報
前作『木曜日にはココアを』
2022年度、栄東中学校の中学入試で出題された
出題された部分はココ!
短編「拍子木を鳴らして」(皐月・京都)
祖母と孫娘の物語

おすすめポイント
自分の体や気持ちが、すーとキレイになっていくのを感じ、心がポカポカと温かくなり、自然と涙がこぼれたり、微笑んでしまったりする。
そんな体験をしたい人は、ぜひぜひ『月曜日の抹茶カフェ』を読んでみてください。
苦みと甘みが一体になった「抹茶」は、人生と似ているのかもしれません。
『宙ごはん』

「ふわふわパンケーキのイチゴジャム添え」
「かつおとこんぶが香るほこほこにゅうめん」
「あなたのための、きのこのとろとろポタージュ」
「思い出とぱらぱらレタス卵チャーハン」
「ふわふわパンケーキは、永遠に心をめぐる」
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【著者】町田そのこ
【出版社】小学館
●あらすじ
連作短編集
●主人公
宙ちゃん 子育てやら家事が苦手なお母さんと暮らしている
宙ちゃんは小学校に上がるとき、イラストレーターとして活躍してはいるが、家事や育児が苦手なお母さんと暮らし始める。
そんな母の代わりに宙を助けてくれたのが、ビストロで働く佐伯さんだ。
宙ちゃんは、佐伯さんから料理を教わり、そのレシピをノートに書き続けます。
『宙ごはん』は、2023年桐朋女子中学校の入試で出題されました。
出題された部分はココ!
宙ちゃんが保育園時代のシーン
宙ちゃんと佐伯さんの「初めまして」のシーン

おすすめポイント
佐伯さんの教えてくれる料理は、どれもおいしそうで、宙ちゃんがうらやましい!
そして、何よりも佐伯さんは、宙ちゃんに、料理のおいしさと、生きる楽しさを教えてくれるのです。
小学生から高校生になる宙ちゃん。
宙ちゃんの成長ごとに、家族の姿や、人の気持ちも違って見えてきます。
食べ物や食べることって、甘みも苦み、しょっぱさや辛みもあり、辛さも幸せも教えてくれる人生そのもので、人生の大切な思い出にもなります。
『女神のサラダ』

野菜
みずみずしいレタス、想いのつまったオリーブ、茄子、馬鈴薯、アスパラガス、レモン、チーズ、トマト
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【著者】瀧羽麻子
【出版社】光文社
●あらすじ
野菜・農業で繋がる8つの短編集
● 主人公:日本のあちこちで、農業にたずさわる女性たち
2022年度、白百合中学校の中学入試で出題された
出題された部分はココ!
短編「茄⼦と珈琲」

おすすめポイント
私は農家の女性たちと一緒に仕事をしていた経験があります。
彼女たちは、家を守り、家族の健康を考え、さらに農業という仕事、農産物の販売にも熱心に取り組んでいて、とにかくパワフルだったのを覚えています。
女性とか男性とかは関係ないのですが、女性ならではの視点や感覚がするどく、旦那さんより経営者向きだなと思う人にもたくさん出会いました。
そんな、すてきな彼女たちを思い出す物語をみつけました。
『サラダの神さま』には、それらの野菜を作り出す農家の女性たち、農業にたずさわる女性たちの生き方が書かれています。
もちろん、いいことばかりじゃない農業生活
自然を相手にする難しさ、体力も必要だし、家族で仕事をする大変さといった悩みや苦しみもあるけれど、野菜という生きているモノを作り出す楽しみや、家族一緒にその楽しみを味わえる幸せもあります。
本を読みながら、「わかるな~」と共感したり、「そうなんだ!」と驚いたり。
登場する女性たちと一緒に、泣いて、笑って、元気になれます。
『お弁当を作ったら』

手作りお弁当
お弁当のテッパンおかず、ハンバーグ、玉子焼き、ポテトサラダ
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【著者】竹下和男
【出版社】共同通信社
●あらすじ
「お弁当の日」をめぐる感動の8編の連作短編集
2001年に香川県のとある小学校で始まった「弁当の日」は、買い出しから調理、箱詰め、後片付けまですべて子どもだけで行った弁当を、給食の代わりに持たせる取り組み。
そんな「弁当の日」から、実際に生まれたエピソードをもとにした物語。
2022年度、頴明館中学校の中学入試で出題された
出題された部分はココ!
小学6年生のヒデトの話し
中学受験の勉強に忙しいヒデトが「弁当の日」に母親が作ったお弁当を持参したときのシーン

おすすめポイント
毎日の給食とはちがったお弁当には、新発見や、楽しみも悲しみも、おいしさも、失敗も成功もつまっています!
ふだんは食べるだけの子どもたちは、自分で自分のお弁当をつくることで、いろんなことに気づき。
先生たち大人は、お弁当で、自分の思い出を振り返る。
お弁当の魅力まんさいです。
『タスキメシ』

アスリート向けの栄養を考えた食事
アスパラと里芋と豚肉の照り焼き炒め、鯵のなめろう丼、ピーマンの肉巻き、カブと手羽元の煮物といった、偏食気味の弟のために作る料理
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【著者】額賀澪
【出版社】小学館
●あらすじ
一章「去る者」、二章「追う者」からなる2編の連作中編小説集
● 主人公:、
高校3年生の陸上部長距離選手の眞家早馬は、大けがを負ってリハビリ中。
そんな早馬は、調理実習部の同級生、都ちゃんに料理を教わり料理に興味をもち始めるのだが……。
兄に駅伝にもどってほしい弟の春馬と、そんな弟の走りを料理面から支えようとする兄の気持ちはすれ違ってしまう。
料理を通して兄弟ふたりは理解しあえるのだろうか?
●その他情報
シリーズ化している
2作目『タスキメシ 箱根駅伝』
3作目『タスキメシ 五輪』
2021年度、横浜女学院中学校の中学入試で出題された
出題された部分はココ!
二章「追う者」
早馬くんに料理を教える料理上手な高校生、都ちゃんの小学時代の物語

おすすめポイント
お腹いっぱいのおいしい食事と同じくらい、誰かを想う心の温かさを胸いっぱいにに感じられます。
特に、二章「追う者」に書かれている、早馬くんの同級生、都ちゃんの幼い頃の物語には号泣!
なんで都ちゃんは料理上手になったのか。
その謎が明らかになるのです。
こちらは、子どもの純粋な気持ちや、子どもながらに抱く「情け」をかけられたくないプライドがまざりあった、涙があふれる物語です。
『語らいサンドイッチ』

姉の笹子がつくるサンドイッチ
たまごサンド、キューカンバーサンドイッチ、フィッシュソーセージサンド、クラブハウスサンド、干し柿のジャムサンド、鶏つくねサンドなど
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【著者】谷瑞恵
【出版社】角川書店
●あらすじ
サンドイッチ店で繋がる連作短編集
姉妹二人が切り盛りする、公園のそばにある、レンガ色の壁と白いドア、軒の赤い屋根のかわいいサンドイッチ専門店を舞台にした物語。
困った人、悩んでいる人たちに寄り添い話を聞き、その人のために作るおいしいサンドイッチが、人々の悩みを解決してくれます。
●その他情報
シリーズ化している
1作目『めぐり逢いサンドイッチ』
2作目『語らいサンドイッチ』
3作目『ふれあいサンドイッチ』

おすすめポイント
心が軽くなる、温かくなる、そして前向きな人生が開けてくるサンドイッチを食べてみたいと思いませんか?
そんな魔法のサンドイッチが登場します!
甘い系サンドイッチ、総菜系サンドイッチどれも、悩める人たちの、思い出の具材を使い、思い出に寄り添ったサンドイッチなのです。
ちなみに、サンドイッチ店の姉妹二人と、常連客の小野寺さん、パン職人の川端さんといった男性陣との恋模様も読みどころ。
『語らいサンドイッチ』は2作目で、前作に『めぐり逢いサンドイッチ』があるので、こちらを読むとサンドイッチ店の姉妹二人の秘密や、恋模様がわかります。
2021年度、桐蔭学園中等教育学校の中学入試で出題された
出題された部分はココ!
短編「青い花火」
キューカンバーサンドイッチがキーとなる、高校生、三戸真哉くんと水野知花ちゃんの物語
『純喫茶パオーン』

喫茶店の看板メニュー
「おじいちゃんの特製ミルクセーキ」
「おばあちゃんの魔法のナポリタン」
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【著者】椰月美智子
【出版社】角川春樹事務所
●あらすじ
連作短編集
来人くんが小学校5年生、中学1年、大学1年の「純喫茶パオーン」にまつわる短編物語3編
「純喫茶パオーン」は、来人くんの祖父母が営む、創業して50年たつ昭和レトロな喫茶店。
そんなお店には、来人くんの小学時代からの友達、部活の先輩や仲間などなど、純喫茶「パオーン」には、ユニークな人たちが集まります。
そして、ちょっとこわかったり、おもしろかったり、ホロリとしたり、いろんな事件が起こるのです。
『純喫茶パオーン』は、2021年品川女子学院中等部の入試で出題されました
出題された部分はココ!
来人くんが中学1年の物語
小学校時代は仲良し3人組だった来人、圭一郎、琉生。琉生だけ別の中学校に進学し、なかなか会えなくなっていた。
そんなある日、来人の祖父母が経営する喫茶店パオーンで不思議な現象が続くようになります。

おすすめポイント
おじいちゃんとおばあちゃんは、色眼鏡をかけることなく、喫茶店を訪れるいろんな人たちのことを理解してくれる、とってもステキな人。
なんかイヤなことがあった日、不安なことがある日も、この本をよめば「家族っていいな」「友達っていいな」「社会にはいろんな人がいておもしろいな」と素直に思えます。
そして「純喫茶パオーン」に行きたくなる!
『雲を紡ぐ』

盛岡グルメ
小岩井牧場のチーズケーキ
盛岡土産で有名な”くるみゆべし”
黄精飴おうせいあめ
「福田パン」のコッペパン
白龍フェザン分店「じゃじゃ麺」
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【著者】伊吹有喜
【出版社】文芸春秋社
●あらすじ
長編小説
羊毛を手仕事で染め、紡ぎ、織りあげられた「時を越える布・ホームスパン」をめぐる、親子三代にわたる絡み合った家族の「心の糸」の物語。
いじめが原因で学校に行けなくなった高校生の美緒は、母と口論になり、岩手県盛岡市の祖父(ほとんど会ったことのない!)の元へ家出をしてしまいます。
美緒は、羊毛を手仕事で染め、紡ぎ、織る、ホームスパンの職人である祖父と一緒に暮らし、ホームスパン(織物)を教わることになるのですが……。
祖父との暮らしは、美緒にとっては本当の自分を取り戻せるきっかけになるのですが、一方で、学校を留年してしまうことが心配で仕方ない父と母の干渉は続きます。
最後に美緒が出した結末?
美緒の家族が出した結末は?
『雲を紡ぐ』は、2021年横浜雙葉中学校や本郷高校で出題されました。
出題された部分はココ!
①2021年横浜雙葉中学校の入試で出題
●出題された部分はココ!
学校に行けなくなっている孫の美緒が、祖父と語るシーン
②2021年本郷中学校の入試で出題
●出題された部分はココ!
美緒が家出をしてきた直後のシーン

おすすめポイント
美緒の繊細な心の内が痛々しくて、涙がとまらない物語の一方で『雲を紡ぐ』は、とにかく盛岡のおいしい食べ物がたくさん登場する、おいしい物語でもあるのです。
さらに、実際に存在する喫茶店「機屋(はたや)」「チロル」「クラムボン」、珈琲店「フララフ」、カフェ「カルタ」が登場し、そこでは美緒がおいしそうなコーヒーを飲んだり、ばらいろアップルジュースを飲んだりします。
すぐにでも『雲を紡ぐ』を参考に、盛岡に行って、おいしいものを食べたくなります!
『ゆうべの食卓』
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【著者】角田 光代
【出版社】オレンジページ
●あらすじ
11つの短編集
新しい出発になる食卓、別れの食卓、ひとりの食卓、にぎやかな食卓。
さまざま人生のひとコマ、暮らしの1ページを「食卓」というキーワードで紡いだ物語集。
2024年度、鷗友学園女子中学校の中学入試で出題された
2024年度、岡山県の公立高校の高校入試で出題された
【出題短編】「明日の家族」

おすすめポイント
各短編には、それぞれのいろいろな食卓の風景が広がります。
食事メニューは違っても、だれと食べても、ひとりで食べても、いつ食べても、どんな食卓であろうとも、食べることって「人生なんだ」としみじみ感じてしまいました。
『あつあつを召し上がれ』

思い出の味
かき氷
きりたんぽ
みそ汁
オムレツ
松茸のフライ
中華料理
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【著者】小川糸
【出版社】新潮社
●あらすじ
7つの短編集
食べ物が、苦くて甘い別れの思い出を包み込む。
懐かしさ、愛しさ、優しさ、せつなさを感じる物語。
2025年度、栄光学園中学校の中学入試で出題された
出題された部分はココ!
短編「バーバのかき氷」

おすすめポイント
食べ物は”おいしい”だけじゃない!
そして別れは寂しい、悲しいだけじゃない!
食べ物をだれかと一緒においしく食べた記憶は、心を温かくしてくれます。
大人が主人公の物語が多く、小学高学年、中高校生にはちょっと心の内を理解しづらいのですが短編「バーバのかき氷」は入試に頻出されるので、これだけでも読んでみてほしいです。
【入試で出題本】おいしい料理・食べ物小説リスト
【入試で出題された】おいしい小説を紹介しました。
意外にも多く出題される「おいしい小説」に、ビックリでした。
まずは好みの料理や好きな食べ物が出てくる、おいしそうな物語を選むのをおすすめします。

気になった本があったら読んでみてね
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