小学校高学年から中学生に読んでほしいおすすめしたい本【中学入試で出題された】兄弟・姉妹の物語10冊を紹介します。
『朔と新』
【著者】いとうみく
【出版社】講談社
『朔と新』はこんな本
- 主人公:朔(兄19歳)と新(弟高校1年生)
- 兄と弟の物語
- 兄弟それぞれの母親との関係性も読みどころ
2021年の中学受験で話題になった『朔と新』は兄弟のお互いの「心」が中心に書かれています。
物語は兄の朔が盲学校から自宅に帰ってくるところから始まります。
一昨年、兄弟二人が乗った高速バスが事故にあい、兄の朔は失目してしまったのです。
その事故にあった原因が自分にあると思い続けている弟の新は、久しぶりに兄と顔を合わせます。
ぎこちなさがのこる兄弟、家族は今まで通りにはいきません。
そんななか朔が「ブラインドマラソンに挑戦したい、新に伴走をお願いしたい」と言い出します。
『朔と新』はただ目が見えなくなった朔の前向きに生きる成長物語ではありません。
人間のいろんな心が交錯する物語です。
大人だって、子どもだって、強い人間、完璧な人間なんていない、弱い面や、いやらしい心、自分勝手ないやらしい面をもっているのに気づかされます。
『朔と新』中学入試メモ
『朔と新』は2021年ラサール中学、栄光学園中学、浦和明の星中学、淑徳与野中学入試で出題されました。
2021年浦和明の星中学校
出題された部分はココ!
①母親と新(弟)のぎこちない関係がわかるシーン
②ブラインドマラソン大会の開会式の後で朔と新が話すシーン
『家族シアター』
【著者】辻村深月
【出版社】偕成社
『家族シアター』はこんな本
- 7つの短編集 うち2編「1992年の秋空」「「妹」という祝福」が小学高学年生・中学生におすすめ
- 姉と妹の物語
- 家族っていいなと思いながら読める
家族って理解しているつもりで理解できていないことが多いし、わかっているだろうと甘えてしまったり、なにかをしても許してくれるという気持ちをもってしまったり。
外の世界とは違う自分が登場する世界でもあります。
外ではネコを被っている自分が、唯一、本性を表せる場所でもあるのかもしれませんね。
だからこそ家族の物語って楽しいのかなと思います。
小中学生におすすめの短編は、「1992年の秋空」「「妹」という祝福」です。
『家族シアター』中学入試メモ
『家族シアター』は2021年吉祥女子中学校入試で出題されました。
出題された部分はココ!
短編「1992年の秋空」姉(はるか)とうみか(妹)の物語
『タスキメシ』
【著者】額賀澪
【出版社】小学館
『タスキメシ』はこんな本
- 主人公:高校3年生の陸上部長距離選手、眞家早馬
- 兄と弟の物語
- 兄のつくるスポーツ飯・家庭料理も読みどころ
- 連作短編集
『タスキメシ』も兄弟の物語です。
おなじ家でずっと一緒に暮らしている兄弟だって、お互いのことを知り尽くしているわけじゃないんですよね。
大けがを負ってリハビリ中の陸上部、早馬くんは、調理実習部の同級生、都ちゃんに料理を教えてもらい料理に興味をもちます。
同じ陸上部にいる一ひとつ年下の弟・春馬は兄・早馬の復帰を切実に待っているのですが、早馬は自分に限界を感じ、競技からの引退を宣言してしまいます。
兄に駅伝にもどってほしい弟の春馬と、そんな弟の走りを料理面から支えようとする兄の気持ちはすれ違うばかり。
料理を通して兄弟ふたりは理解しあえるのでしょうか?
続編があり、さらに料理やあれやこれやにパワーアップした兄の早馬が登場します。合わせて読んでみてくださいね。
『タスキメシ』中学入試メモ
『タスキメシ』は2021年の私立横浜女学院中学校(A)の入試で出題されました。
出題された部分はココ!
早馬くんに料理を教える料理上手な高校生、都ちゃんの小学時代のはなし
『となりのアブダラくん』
【著者】黒川裕子
【出版社】講談社
『となりのアブダラくん』はこんな本
- 主人公:小学6年生の晴夜
- 兄と妹の物語
- 友情物語、成長物語でもある
- 児童書
表向きは空手を習う男前な晴夜は、実は人に言ったことのない秘密の趣味をもっている小学6年生の男子。
ある日、パキスタンからの日本語を話せないイスラム教の転校生がやってきて、晴夜は彼のお世話係になってしまいます。
宗教が違うし、文化も、見た目もちがうし、うまく言葉も通じないのに、どうしたらいいんだと悩む春夜だったが、アブダビくんと接するにつれて少しずつ晴夜の意識は変わっていきます。
この本のメインテーマは、アブダビくんとクラスのみんなの友情物語、晴夜の成長物語ですが、兄と妹の関係性にも注目して読むとおもしろいです。
『となりのアブダラくん』は、家のなかではごく普通の女の子なのに、学校では頼りがいのある妹の姿に兄の晴夜も奮起します。
一方でアブダビくんは、自分をさしおいても妹を守ろうとする兄として書かれています。
晴夜と妹、アブダビくんと妹、ふたつの兄妹の関係も読みどころです。
『となりのアブダラくん』中学入試メモ
『となりのアブダラくん』は2021年十文字中学校中学入試で出題されました。
出題された部分はココ!
友達の小吉くんと彼の家の仏壇屋さんで話すシーン、晴夜は自分の秘密を小吉に告白する
『ピアノをきかせて』
【著者】小俣麦歩
【出版社】講談社
『ピアノを聞かせて』はこんな本
- 主人公:小学6年生の響音ちゃん
- 姉と妹の物語
- 姉妹と親(特に母)との関係も読みどころ
- 児童書
音に対する感受性が豊かな小学校6年生の響音ちゃんは、ある日、素敵だった姉(中学2年)のピアノの音が変わっていることに気づきました。
その姉のピアノの音の変化は、家族に大きな影響を及ぼします。
響音ちゃんは得意としている「音」を表現することで、姉や家族を自分をもう一度つなげ合わせようと考えます。
姉や家族に、響音ちゃんの音は響かせることができるのでしょうか?
響音ちゃん一家は、みんなの音を聞きあうことで和をとりもどせるののでしょうか?
親や周囲のプレッシャーに押しつぶされそうになっている姉、そんな姉を心配する妹の心の内が手に取るように伝わる物語です。
『ピアノを聞かせて』中学入試メモ
『ピアノを聞かせて』は2021年晃華学園中学校入試で出題されました。
出題された部分はココ!
父の提案で、父母と別れて響音ちゃんと姉が、祖父母の家で暮らし始めるシーン
『サマータイム』
【著者】佐藤多佳子
【出版社】新潮社
『サマータイム』はこんな本
- 主人公:短編「サマータイム」 佳奈12歳、弟の進が11歳、近所に住む広一くん14歳
- 姉と弟の物語
- みずみずしい青春時代が輝く文章も読みどころ
短編「サマータイム」
佳奈12歳、弟の進が11歳の姉弟は、左腕と父親を失った少年進より2歳年上の広一くんに出会います。
大人びた雰囲気をもち、ピアノが上手な広一くんにふたりは感電したような衝撃をうけるのです。
そんな3人のひと夏の、自転車で坂道を駆け下りたくなるような夏のキラキラがほとばしる出来事が書かれています。
この本には表題「サマータイム」のほかに、「五月の道しるべ」(姉の佳奈が小学生になりたての頃の物語)、「九月の雨」(サマータイムから3年後の広一くんの物語)、「ホワイト・ピアノ」(サマータイムから2年後中学生の佳奈の物語)の三作が入っています。
『サマータイム』中学入試メモ
『サマータイム』は2022年城西大学付属城西中学校入試、2021年神奈川大学付属中学校入試で出題されました。
2022年城西大学付属城西中学校入試
出題された部分はココ!
「ホワイト・ピアノ」より
広一くんが引っ越した数年後、姉弟を訪ねてくるシーン
2021年神奈川大学付属中学校入試
出題された部分はココ!
「ホワイト・ピアノ」より
佳奈があこがれているピアノ調律師千田と白塗りのピアノについて話すシーン 千田がおばあちゃんの話しをする部分高校2年生の櫻井さんが書道教室で、恋心を抱く先生から”書”を教わる場面
『スコーレNo.4』
【著者】宮下奈都
【出版社】光文社
『スコーレNo.4』はこんな本
- 主人公:麻子ちゃん(姉)中学時代から社会人時代まで
- 姉と妹の物語
- ひとりの女性の成長記録物語
自分に自信のない麻子ちゃんは、仲良しの美人な妹の七葉ちゃんと、年の離れた妹の紗英ちゃんの3人姉妹です。
特に美人な妹を引き合いにして卑屈になることが多いのです。
勉強もできるし、努力家だし、わりと男性からももてるのに、なぜか自己肯定力がとにかく低い麻子ちゃんの中学時代、高校時代、大学時代さらには社会人生活までのストーリーです。
いつも一緒に過ごす家族へのコンプレックスって、キツイですよね。
『スコーレNo.4』中学入試メモ
2021年江戸川学園取手(第一回)中学入試で出題されました。
社会人になり靴屋に就職した麻子が靴のディスプレイの提案をするシーン
『金の角持つ子どもたち』
【著者】藤岡陽子
【出版社】朝日学生新聞社
『金の角持つ子どもたち』はこんな本
- 主人公:高校3年生の佳奈
- 兄と妹、兄と弟の物語
- 3つの短編集(受験生の母、受験生、塾の先生の物語)
- 涙がとまらない感動の物語
3つの短編のうち、短編2つ(「もう一度、ヨーイドン」(中学受験生俊介の母の物語)、「自分史上最高の夏」(中学受験生俊介の物語))は、兄俊介と耳に障害をもつ妹の関係が読みどころのひとつです。
中学受験をして難関中学に進学したい理由は”妹”のためという兄の想い、今まで自分を責めていたという兄の罪悪感には、読んでいて泣けてしまいました。
また3つめの短編「金の角持つ子どもたち」では、中学受験生俊介の塾の講師、加地36歳と加地と暮らしている弟(33歳)の物語になっています。
加地の弟は、過去に引きこもりだったため、今も上手に人生を歩めていないのです。
弟の存在を見ないものとし続けた自分を悔いている兄の加地が、真摯に弟に向き合う姿が描かれています。
だれもが必死に生きている。
そんな彼らの姿に心打たれる、感動の物語3つでした。
『金の角持つ子どもたち』中学入試メモ
2022年、専修大学松戸中学、山脇中学校、サレジオ学院中学校の入試で出題されました。
山脇学園中学校の入試問題の出題箇所はココ!
②「自分史上最高の夏」から出題されました。
中学受験生俊介が塾の講師加地と喫茶店で話すシーン
『ずっと見つめていた』
【著者】森島 いずみ (著)
【出版社】偕成社
『ずっと見つめていた』はこんな本
- 主人公:中学生の平林越くん(兄)
- 兄と妹の物語
- 新生活での成長物語
妹つぐみの化学物質過敏症が治らないため、埼玉県から山梨県に引っ越した平林一家の物語です。
多かれ少なかれ、兄弟間・家族間での誰かひとりのための決断は、だれもが経験したことはあるはずで、よくあることですよね。
なので子どもでも、妹のために大きく環境が変わった状況に、すっきりしない気持ちが強い兄の気持ちはかんたんに理解できると思います。
それでも山梨県に引っ越してきて、人生が思い通りにならないのは自分だけではないと気づいていく兄の成長ぶりは読みどころです。
『ずっと見つめていた』中学入試メモ
『ずっと見つめていた』は2021年香蘭女学校中等科入試で出題されました。
出題された部分はココ!
化学物質過敏症の妹のために引っ越しをした越くんが、妹のつぐみがミミズに興味を示すのを見て新しい生活を頑張れる気がしているシーン
『あめつちのうた』
【著者】朝倉 宏景
【出版社】講談社
『あめつちのうた』はこんな本
- 主人公:高校を卒業した社会人1年目の雨宮大地
- 兄と弟の物語
- 運動神経抜群の弟と比べられ自分に自信のもてない大地くんの成長物語
運動神経ゼロの自分とは正反対の弟、運動神経なしの大地など相手にしない父へのモヤモヤした気持ちから逃げるように大地は、実家を離れ、東京から大阪の甲子園のグラウンド整備を請け負う阪神園芸へと入社します。
負け犬精神のある大地は、家族から離れ成長できるのかがこの本の読みどころです。
さらに大地と一緒に働く仲間や高校時代のチームメイトなど、彼らの悩み多き生き方も重なり合い、読みごたえのある物語になっています。
ピュアな気持ちをもった弟の気持ちに兄の大地君は気づけるのでしょうか?
『あめつちのうた』中学入試メモ
『あめつちのうた』は2021年山脇学園中学入試で出題されました。
出題された部分はココ!
弟の高校が優勝した後、大地と父が話すシーン
【中学入試で出題された】兄弟・姉妹の物語10冊リスト
小学高学年から中学生におすすめしたい本、【中学入試で出題された】兄弟・姉妹の物語10冊を紹介しました。
なんだかんだあっても、そこはやっぱり家族!
お互いを想い合えるすてきな兄弟・姉妹の物語ばかりでした。
気になった本があったら読んでみてね
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