2022年中学入試で出題された物語本から厳選した!小学高学年・中学生向けの読書感想文におすすめ本 を紹介します。
小学高学年・中学生が気になる、友情・いじめ・家族・自分らしさ・成長・青春がテーマになっています。
中学入試に出題された本は、中学の先生たちが「いい!」と太鼓判を押している本です。
さらにその中でも子どもたちが楽しみながら、なにかを感じとり読める本を紹介しているので、ぜひ読んでみてくださいね。
『わたしの気になるあの子』
【著者】朝比奈 蓉子 (著), 水元 さきの (イラスト)
【出版社】ポプラ社
『わたしの気になるあの子』はこんな本
- 主人公:祖父の男と女の考えにウンザリ、小6年の瑠美奈ちゃん
- 小学高学年向け
- ジェンダー、多様性について考える
おじいちゃんの男と女への考え方にウンザリしている瑠美奈ちゃん。
そんなときクラスの転校生、詩音ちゃんが突然坊主頭で登校してきた!
からかう男子、引き気味の女子、ただでさえ独りぼっちだった詩音は、さらにクラスから孤立してしまいます。
詩音ちゃんはなぜ坊主頭になったのか?
詩音ちゃんの気持ちを知った瑠美奈ちゃんは驚きの行動にでます。
いろんな考え方の人がいる社会の中で自分らしく生きるのは難しい。
けれど、人と人と助けあいながら、自分を知ってもらい、相手を知って生きていく大切さをおしえてくれる物語です。
『わたしの気になるあの子』中学入試メモ
『わたしの気になるあの子』は2022年洗⾜学園中学校、浦和明の星中学校、桐朋女子中学校、成城中学校の中学入試で出題されました。
『スイマー』
【著者】高田由紀子
【出版社】ポプラ社
『スイマー』はこんな本
- 主人公:真剣に取り組んでいた水泳をやめてしまっている小学6年生の航くん
- 高学年・中学生向け
- 男の友情
小学6年生の航くんは、小さなころからスイミングに打ち込んできたのですが、記録が伸びるごとに仲間は離れていき、さらにレースで失敗したことでさらに仲間から孤立してしまい、水泳から遠ざかっています。
そんな航くんは、家族で佐渡へ引っ越します。
スイミングから離れられるとほっとしたのもつかの間、佐渡で同じクラスになった海人、龍之介、信司からスイミングのメドレーリレーに誘われます。
性格も違うし、家庭環境も違う4人は、お互いを助け合い、思い合いながらスイミングに取り組んでいきます。
まったくタイプの違う4人が仲間になり、県大会を目指す友情青春物語です。
自分とは違う友達の気持ちを想像し行動できることが友情の始まりなんだなと思いました。
『スイマー』中学入試メモ
『スイマー』は2022年京華中学入試で出題されました。
『みつばちと少年』
【著者】村上しいこ
【出版社】講談社
『みつばちと少年』はこんな本
- 主人公:発達障害を疑われている、中学1年の松井雅也くん。
- 小学高学年におすすめの本
- 自分の弱さと向き合う成長物語
発達障害を疑われ、思ったことを口に出すと友達が自分の周りからいなくなるため、友達がいない中学1年の松井雅也くんは、夏休みは北海道に住むおじさんの家そばの「北の太陽」で子ども5人と生活することになります。
「北の太陽」は事情があって親と一緒に暮らせない子どもたちがいます。
雅也は戸惑いながらも5人みんなの状況を知り、さらに自分の弱さをみんなにさらけだすことで5人の子どもたちと仲間になっていきます。
悩んでいるのは自分だけじゃないと気づき、自分の弱さとしっかり向き合うことを決心していく雅也の成長物語です。
苦しかったら外に出て、外を見てみよう!
自分で考えてもわからなかったことが、新しい出会いによって生まれる新しい考え方を生み出してくれるかもしれません。
自分らしく生きる楽しさを教えてくれる本でした。
『みつばちと少年』中学入試メモ
『みつばちと少年』は2022年成蹊中学入試で出題されました。
『たまねぎとはちみつ』
【著者】瀧羽麻子
【出版社】偕成社
『たまねぎとはちみつ』はこんな本
- 主人公:平均的な小学校5年生、千春ちゃん
- 小学高学年におすすめの本
- 普通の女の子の成長物語
周囲からも自分自身も平均的な子だと思っている(それに満足している)千春ちゃん。
ある日偶然出会った発明家のおじさんは、千春のよい友達になります。
両親や身近な人には言えないようなこともさらりと話せて、アドバイスをもらえる大人がいる。そんな発明家のおじさんが身近にいる楽しさは、千春を大きく成長させます。
子どもには千春の日常の毎日での悩み、学校生活の中の悩みに共感できるものがいっぱいあるはずです。(お友達の誕生日会、中学受験に対する価値観の相違、運動会のリレーのバトンが怖い、お母さんに自分の気持ちが上手に伝えられないなど)
今までの普通でいい、注目されたくない千春だったらあきらめてしまうこと、なんとなく流されてしまうことに対して、おじさんのアドバイスをもとに向かいあっていく千春の成長はとっても頼もしく、読んでるこちら方にもパワーをおすそ分けしてくれる本でした。
『たまねぎとはちみつ』中学入試メモ
『たまねぎとはちみつ』は2022年カリタス⼥⼦中学入試で出題されました。
『雪のなまえ』
【著者】村上由佳
【出版社】徳間書店
『雪のなまえ』はこんな本
- 主人公:小学5年生の雪乃ちゃん
- 小学高学年におすすめ
- いじめのトラウマを乗り越え成長する物語
いじめにあい学校に行けなくなった雪乃ちゃん。
仕事をやめた父親とふたりで父の祖父母(雪乃の曾祖父母)が住む田舎に引っ越しますが、そこでもいじめがトラウマになり学校に通う勇気がでません。
そんな雪乃をやさしく見守る家族と友達たち。
だけど学校に行けないのは”甘え”だという人もいます。
雪乃ちゃんが彼女なりにどう生きていけばいいのかを模索しつづける物語です。
だれかの当たり前が、自分には当たり前じゃないことだってある。
勇気ももって一歩踏み出したら違う世界が開けることもある。
雪乃ちゃんや、雪乃ちゃんの家族、友達にいろんなことを教えてもらえた本でした。自分の人生なんだから、自分で納得して生きていければいいなと思います。
『雪のなまえ』中学入試メモ
『雪のなまえ』は2022年海陽中学入試で出題されました。
『いいたいことがあります!』
【著者】魚住 直子
【出版社】偕成社
『いいたいことがあります!』はこんな本
- 主人公:中学受験をひかえた小学6年生陽菜子
- 小学高学年におすすめ本
- 自分で決める大切さを知る成長物語
小学6年生の陽菜子にはよくわからないことがたくさんある。
陽菜子には、家の手伝いをさせるのに、いそがしいという兄は家事をしなくていいし、中学受験もしたいんだかどうかわからないなどなど。イライラが募る陽菜子はある日、運命の出会いをします。
だれもが感じたことのある、親と自分の考え方の違いが生み出す葛藤が書かれています。
正しさはひとつじゃない。
大事なことに気づいた陽菜子ちゃんの成長物語です。
大人を神のように思っていた子ども時代からの脱皮の時期がきた!と思ったら、陽菜子ちゃんを参考にして上手く脱皮できるように、祈ります。
『いいたいことがあります!』中学入試メモ
『いいたいことがあります!』は2022年女子美術大学付属中学入試で出題されました。
『夜明けをつれてくる犬』
【著者】吉田桃子
【出版社】講談社
*アマゾンに試し読みあり
『夜明けをつれてくる犬』はこんな本
- 主人公:うまく話すことができない小学5年生の美咲
- 小学高学年におすすめ
- 周りの助けを感じながら自分の殻を破ろうとする成長物語
話すことが苦手な美咲ちゃんの心の支えは、いつもよりそってくれていた愛犬・レオンだったけれど、レオンは死んでしまった。10か月たってもレオンの死を乗り越えられない美咲ちゃんの物語。
レオンに似た花屋さんの犬、花屋のお姉さんとの出会い、保護犬との出会い、気づいた家族の優しさなど美咲ちゃんは周りの人たちの優しさで強く成長していきます。
美咲ちゃんの上手に話せない苦しさが伝わってくる表現など文章が心に響くので、涙をながしながら読んでしまう感動物語でした。
挿絵のかわいさもみどころです。
『夜明けをつれてくる犬』中学入試メモ
『夜明けをつれてくる犬』は2022年山手学院中学中学入試で出題されました。
『キャプテンマークと銭湯と』
【著者】佐藤いつ子
【出版社】角川書店
『キャプテンマークと銭湯と』はこんな本
- 主人公:中学1年生の周斗(しゅうと)
- 中学生におすすめの本
- 友情、青春、成長物語
中学1年生の周斗(しゅうと)は、ずっとつけていたサッカーのキャプテンマークを、他のチームから移籍してきた大地にあっさりうばわれてしまいます。
くやしい気持ちが空回りして、チームメイトから孤立してしまう周斗。
自分がいやになっていた周斗を救ってくれたのは、子どもの頃おじいちゃんと通った時代遅れの銭湯で交流するようになった人たちでした。
学校の友達でも家族でもない、いわば社会の大人たちとの交流は大人になる第一歩です。
今までとは違った世界がみえてくる大人の世界へ踏み出してみたくなる本でした。
『キャプテンマークと銭湯と』中学入試メモ
『キャプテンマークと銭湯と』は2022年専修⼤松⼾中学入試で出題されました。
『くちびるに歌を』
【著者】中田永一
【出版社】小学館
『くちびるに歌を』はこんな本
- 主人公:中学3年生の自閉症の兄がいるサトルと男嫌いのナズナ
- 中学生におすすめ
- いろんなことに悩む中学生の青春小説
長崎県西部にある五島列島の中学校が舞台です。
顧問の先生が産休に入り代わりに美人の音楽教師柏木ユリがやってきます。美人な先生目当てで男子中学生が入部したおかげで男女混合になった合唱部は、NHK全国学校音楽コンクールを目指します。
もちろん合唱部の活動・練習はすんなりいくはずもなく、いろいろな問題が勃発します。
それでも彼らはひとつになり合唱をするのです。
中学生になるとそれぞれの家庭環境が明らかになり、みんなが同じような環境で生きているわけではないことに気づきます。
子どもはどうしようもない環境で生きるしかない諦めを知りながら、どうしようもないことを忘れるくらい、のめり込み楽しめるものがあるなら、大変さを乗り越えられる秘めたパワーを子どもはもっています。
いろんな中学生の声や心がつまった合唱が聞こえてきこえてくる本でした。
『くちびるに歌を』中学入試メモ
『くちびるに歌を』は2022年千葉日本大学第一中学校入試で出題されました。
『はじめてだらけの夏休み』
【著者】吉野万里子
【出版社】あすなろ書房
『はじめてだらけの夏休み』はこんな本
- 主人公:小学4年生の葉太
- 中学生におすすめ
- 自分に自信をもっていく成長物語
心の病のために実家に帰ってしまった母親にかわり、今までほとんど家にいなかった録音技師の父親と過ごすことになった夏休みが書かれた物語。
葉太は、苦手な父親にとまどいながらも父とふたりの夏休みを過ごし始めます。
児童書ではないのですが、9歳の葉太の目線で語られる物語なので、子どもも読みやすい本です。
共感しながら読む子もいれば、葉太親子関係が信じられないと驚く子もいると思います。
葉太が周りの大人たちそれぞれの気持ちや立場を感じ取っていくようになり、それが葉太の夏休みの成長なのかと思うとちょっと切なくなりました。
『はじめてだらけの夏休み』中学入試メモ
『はじめてだらけの夏休み』は2022年筑波大学附属駒場中学入試で出題されました。
『教室に並んだ背表紙』
【著者】相沢沙呼
【出版社】集英社
『教室に並んだ背表紙』はこんな本
- 主人公:中学女子
- 中学生におすすめ
- 短編集
- 揺れ動く思春期からの成長物語
息苦しい中学校生活のオアシス図書室が舞台になった6つの短編集。
図書館にいろんな本があるように、学校にもいろんな生徒がいます。
表の姿とは違う本当の自分がいる。
だれにも言えないコンプレックス、妙な自意識の高さで自分という殻をつくってしまう女子中学生たちの揺れ動く繊細な心をもった思春期の物語です。
他人から見える自分が気になったり、自分らしさってなんだろうって悩んだり、素直になれなかったりする自分に嫌気がしたり。
まるで自分が主人公になったような気分になれます。そして、イヤな自分に悩んでいるのは自分だけではないと安心もできるはずです。
『教室に並んだ背表紙』中学入試メモ
『教室に並んだ背表紙』は2022年駒場東邦中学、慶應義塾普通部中等部、大妻嵐山中学校の中学入試で出題されました。
『世界は「」で満ちている』
【著者】櫻 いいよ
【出版社】PHP研究所
『世界は「」で満ちている』はこんな本
- 主人公:毎日が幸せだった中学1年生の由加
- 中学生におすすめ
- 「いじめ」の物語
中学1年生の由加は、ごく普通に友達と毎日を楽しく過ごしていたが、突然親友や友人たちから避けられるようになり、学校内で孤立してしまう。
世界は「楽しい」ばかりじゃない。
中学生にとって学校生活のメインは友達。
孤立は学校生活を一変させるものだと知っている子どもには衝撃的な物語です。
どんな時代にもなくならない「いじめ」
結局はそれに立ち向かう力強さがもとめられるのかもしれません。
『世界は「」で満ちている』中学入試メモ
『世界は「」で満ちている』は2022年桜美林中学入試で出題されました。
まとめ
【小学高学年・中学生向け】2022年中学入試出題本から厳選!読書感想文におすすめ本 友情・いじめ・家族・自分らしさを考える本を紹介しました。
中学入試に出題された本は、中学の先生たちが「いい!」と太鼓判を押している本です。
さらにその中でも子どもたちが楽しみながら、なにかを感じながら読める本を紹介しているので、ぜひ読んでみてくださいね。
気になった本があったら読んでみてね
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