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『両手にトカレフ』ブレイディみかこ 小学高学年・中学生におすすめ!朝読書・感想文向け本

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小学高学年・中学生におすすめ!朝読書で読んでほしい本、ブレディみかこさんの『両手にトカレフ』を紹介します。

【『両手にトカレフ』より 第15章の章タイトル】

『両手にトカレフ』は児童書ではありませんが、小学高学年・中学生の朝読書におすすめの本です。

主人公のミアは、育児放棄した母親のもとで弟と暮らしています。食べるものにも困るくらい貧しいのですが母親はまったくあてになりません。弟の世話もミアがしています。

子どもの自分にはどうにもならない親や社会を知ってしまっている、イギリスに住む14歳の少女の物語だからこそ、同じ年代の小学高学年・中学生に読んでほしいのです。

児童書、中学受験出題本にハマっている私が実際に『両手にトカレフ』を読んで、小学高学年・中学生の朝読書の本・読書感想文を書く本として向いているかを検証しました。

『両手にトカレフ』ブレディみかこ

【著者】ブレイディみかこ
【出版社】ポプラ社
*アマゾンに試し読みあり

  • 主人公:イギリスに住むミア14歳 育児放棄した母親と弟と3人暮らし
  • 長編小説
  • 本の長さ:271ページ
  • テーマ:親と子の関係 親の無関心という虐待 

朝読書おすすめ4つのポイント

<Q1>小学高学年生・中学生でも1冊丸ごと読める?

読めます。

【理由】
大人向けの本なのでページ数も多くボリュームのある本ですが、中学生でも読みこなせる内容だからです。
本を読むのに慣れた子なら、小学高学年生から読めます。

ただ露骨な書き方ではないのですが「性的な行為」「幼児虐待」「母親の薬物の使用」のシーンがあります。
子どもに読ませてもいいかは各家庭の判断でお願いします。

<Q2>どんな小学高学年・中学生おすすめ?

自分は社会的に恵まれていると思っている小学高学年・中学生
●将来に希望のもてない小学高学年・中学生
●親との関係に悩みのある小学高学年・中学生
●自分ではどうにもならない悩みを抱えている小学高学年・中学生

<Q3>読んだ後どんな気分になる本?

むなしさ半分将来への期待半分 時空を飛び越えた不思議さ  

<Q4>朝読書におすすめ度数は?

3段階【1.難しい 2.挑戦してみて 3.ピッタリ】のうち「2.挑戦してみて」

【理由】
ボリュームのある長編小説なので読み終えるのに時間はかかりますが、小学高学年・中学生にこそ読んでほしい本だからです。
年齢が同じくらいの主人公ミアの気持ちを想像して読む子もいれば、ミアと自分が似ていると思う子もいるかもしれません。
今の年齢の自分では、辛くとも自分の親や社会から逃げられない状況だと気づいている小学高学年・中学生に読んでほしいのです。

『両手にトカレフ』は、中学生の朝読書におすすめの本よ(本を読むのに慣れていれば小学高学年でも読んでほしいわ)

読書感想文おすすめテーマ5つ

『両手にトカレフ』の読書感想文を書くときにテーマになりそうなものを選んでみました。

『両手にトカレフ』は問題が大きすぎて、読書感想文を書くのは難しいかもね

  • 自分の親に対して困っていることはある?どう対処している?
  • 14歳のミアの生活状態や気持ちが理解できた?
  • 自分ひとりじゃ解決できない、どうしようもないことを相談できる人はいる?
  • 自分に似た登場人物はいた?
  • 大正時代のカネコフミコの人生は想像できた?

自分なりに感想文が書きやすいテーマを選んでみてね

あらすじ・感想

物語は14歳のミアのストーリーと、ミアが読んでいる本「金子文子(カネコフミコ)」の自伝物語が交互に書かれています。

現代のイギリス社会に住むミアと、明治末~大正時代を生きた日本人金子ふみこにどんな接点があるのでしょうか?

【出版社のあらすじより】

「ここではない世界」は、 今この場所から始まっていく――。 寒い冬の朝、14歳のミアは、短くなった制服のスカートを穿き、図書館の前に立っていた。そこで出合ったのは、カネコフミコの自伝。フミコは「別の世界」を見ることができる稀有な人だったという。本を夢中で読み進めるうち、ミアは同級生の誰よりもフミコが近くに感じられた。一方、学校では自分の重い現実を誰にも話してはいけないと思っていた。けれど、同級生のウィルにラップのリリックを書いてほしいと頼まれたことで、彼女の「世界」は少しずつ変わり始める――。

*リリックとは:一般的には「歌詞」を指す意味で用いられる表現。歌曲に乗せて歌われる言葉。特にラップ音楽の分野において「曲の歌詞」を指す語としてよく用いられる。【実用日本語表現辞典より】

見せないようにしているのか、見えないようにしているのか
子どもたちが親から受けるどうしようもない辛さが、見えにくい世の中になっている気がします

ミアはいつもなにかに追い立てられている
母親への心配、弟の世話、自分を守ること、食べること、今の生活を維持すること

学校の勉強や友人関係、部活でたいへんなのではなく、人間として生きていく最低限のことに必至な毎日なのだ

この物語はイギリスですが、イギリスで当たり前のようにミアがいるのなら、これが世の中で最近叫ばれる「資本主義の結果」なのでしょうか?
「みな中流」「みんな同じような暮らしをしている」という考え方をもつ日本の現実は、どうなんでしょうか?

この物語の結末は、親に恵まれなかったといって未来が暗いわけじゃない、そんな希望を与えてくれます。

ミアは親に恵まれていませんが、友達や近所の人など助けてくれる人がいたのです。

もちろんいい人ばかりではありませんが、助けてくれる人が一人でもいれば、子どもは違う世界がみられるのだと教えてくれます。

ヤングケアラーの物語を読むと結局自分にできることって何だろう?と思ってしまいます。

子どもにはどうにもならない親が存在するのは理解できますが、親の愛を知らない子どもが、親になって自分の子どもを苦しめてしまうなら(もちろんこのサイクルが全員にあてはまるわけではないけれど)
どこを断ち切れば、この不幸のサイクルは途切れるんだろうか?

親によって辛さを味わう子どもを無くすために、どうすればいいのかがわからない。
その辛さはだれの判断によるのか、子どもの主観なのか、大人から見た客観なのかもわからない。
助けてほしい子どもがどんなふうに助けてほしいのかわからない。
どこからか、子どもへの負担や辛さとされるのか基準もわからない。
お手伝いと家のことをしなくてはならないのは違う?幼い兄弟への面倒をみると可愛がるは違うの?

この子どもの貧困、ヤングケアラーの問題って家の中を見せたがらない日本人にはかなりハードルが高い問題だと思うのです。

難しい問題ですよね。

でもだからこそ、現実にそういう辛さを抱えている自分と同じ年齢の子がいることを知っておくだけでもいいと思うんです。

まとめ


ブレイディみかこさんの本『両手にトカレフ』『両手にトカレフ』は、朝読書で読み終えるのは日数がかかりますが、中学生の朝読書で読む本としても、読書感想文を書く本としてぜひ読んでほしい一冊です。

小学高学年・中学生には、リアの生活やカネコフミコの生活をリアルで感じられなくても、そういう問題があるんだ、良くも悪くも”自分の見えない世界”があるんだと知っておいてほしいなと思いました。

ブレイディみかこさんの本『両手にトカレフ』、ぜひ読んでみてくださいね。

今回紹介した本『両手にトカレフ』はこちら

ブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』は、中学入試でよく出題される本です。合わせて読むのをおすすめします

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』は、イギリスに住むブレイディみかこさんが見た、大人への階段を登っている息子くんの日常が書かれたエッセイです。

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