小学高学年から中学生におすすめしたい、【中学入試でよく出る元教師の作家】瀬尾まいこさんの本10冊を紹介します。
中学入試では毎年どこかの学校で出題されるのが恒例となりつつある瀬尾まいこさんの小説ですが、何冊もあって、どんな本を読んでいいかわからないと思っている小中学生にぜひ読んでほしい本をならべてみました。
どの作品も、家族、兄弟、友だちといった人と人との関わりあいのなかで「愛」がたっぷり感じられる物語になっているので、心をほっくりさせながら楽しんで読めます。
作者の瀬尾まいこさんは大学を卒業後、中学校の国語教師になり、勤務のかたわら執筆活動をスタートさせた、元教師の小説家です。
なので、瀬尾さんの小説には子どもたちの気持ちが素直に書かれています。
元教師の瀬尾まいこさんの描く子どもたちの世界を楽しんで読んでくださいね。
児童書、ヤングアダルト(YA)ブック、中学受験出題本のおもしろさにどっぷりにハマっている私が実際に本を読んで紹介します。
『卵の緒』
【著者】瀬尾まいこ
【出版社】新潮社
【文庫出版年】2007年
- 「卵の緒」の主人公:小学生の育生
- 「卵の緒」と「7’s blood」ふたつの短編小説
- テーマ:家族
- 中学入試で出題された
- 2001年坊っちゃん文学賞の大賞を受賞。小説家デビュー作品。
瀬尾まいこさんワールドを感じられる本といえば、まずはこの本をおすすめしたいと思います。
「卵の緒」は自分が捨て子じゃないかと疑っている育生くんの物語。
「7’s blood」は、ある事情から一緒に暮らす事になった異母姉弟、高校生の七子と小学生の七生の物語です。
普通とはいえない家族なんだとしても、家族は家族。
愛を感じることができるなら、血のつながりなんてどうでもいい。
血が繋がっていたって愛を感じない家族だって存在するし。
じゃ、家族ってなんなの?って聞かれたら、どう答えます?
どちらの物語も家族について考えさせられる、おすすめ物語です。
自分は「捨て子」かもしれないと思ったことのある子どもに読んでほしい本です。
『あと少し、もう少し』
【著者】瀬尾まいこ
【出版社】新潮社
【文庫出版年】2015年
- 主人公:中学駅伝部員6人
- 章ごとに主人公がかわっていく連作短編小説
- テーマ:成長・友情・青春
元いじめられっ子の設楽、不良の太田、頼みを断れないジロー、プライドの高い渡部、後輩の俊介、部長の桝井。寄せ集めの6人が襷をつなぐ駅伝大会。
デコボコなメンバーたちひとりひとりの想いがていねいに書かれた青春物語です。
自分と似ているなというメンバーがいるかもしれません。
「瀬尾まいこさんといえばこの本!」
というくらい小中学生に人気のある作品です。
毎日マンネリしているなと思ったときに読んでほしい本です。
『君が夏を走らせる』
【著者】瀬尾まいこ
【出版社】新潮社
【文庫出版年】2020年
- 主人公:『あと少し、もう少し』の駅伝部員、不良の太田君。高校生になっている
- 長編小説
- テーマ:成長・家族・自分さがし
- 『あと少し、もう少し』の続編
『あと少し、もう少し』で不良として登場した太田君が高校生になっています。
高校にはろくに通わずモヤモヤした状態の彼が、なんと先輩の子どもの面倒をみることになる!という「大丈夫なんかい!」と大きくツッコミたくなる物語展開が始まります。
とはいっても「家族の愛」を書いたら天下一品の瀬尾まいこさんの手にかかれば、幼児虐待じゃないかと心配になるような展開も、家族の愛、人と人との愛があふれる物語になってしまうのです。
「誰かを愛することで、自分も愛されていることを知る」
とってもステキなことを教えてくれる物語です。
お母さん、お父さんにイライラする反抗期シーズンに読んでほしい本です。
『夏の体温』
【著者】瀬尾まいこ
【出版社】双葉社
【出版年】2022年3月
- 2023年の私立中学入試問題で出題された本
- 短編「夏の体温」主人公:小学3年生の瑛介
- 「夏の体温」「魅惑の極悪人ファイル」「花曇りの向こう」3つの短編小説
- テーマ:友情・本当の自分
3つの短編小説がはいった本です。
小学生向きなのは、「夏の体温」と「花曇りの向こう」(中学1年生の教科書に載った作品)です。
中学生くらいなら「魅惑の極悪人ファイル」(主人公は大学生)もおすすめします。
自分の本当の気持ちを言うのって難しいんですよね。
特に親や身近な人、友達には、心配かけたくない、大切な人たちの前だからこそ、いい子でありたいと思ってしまいがち。
子どもって案外気をつかっているんですよ。
モヤモヤがいっぱい、本当の気持ちを叫びたいと思っている子どもに読んでほしい本です。
『温室デイズ』
【著者】瀬尾まいこ
【出版社】角川書店
【文庫出版年】2018年
- 主人公:みちる(女の子)小学6年生、中学3年生
- 連作短編集
- テーマ:いじめ
一冊まるごと「いじめ」で埋め尽くされた本です。
ちょっとしたことがきっかけで、クラスで異質なものとして扱われるようになってしまう恐ろしさ。
いじめの輪廻から抜け出せない怖さ。
だれがターゲットになるか想像できない恐怖。
実際の学校生活と照らし合わせながら、「学校生活ってどこかホラーの世界だよな」と思いながら読めるはずです。
本にでてくる校内暴力は、ひと昔前の感じが否めないのですが、今どきの子どもたちにも読んでみてほしいなと思います。
学校生活にお疲れ気味のときにに読みたい本です。
『戸村飯店 青春100連発』
【著者】瀬尾まいこ
【出版社】文芸春秋社
【文庫出版年】2012年
- 主人公:戸村飯店の二人の息子、高校を卒業した兄のヘイスケと、一年年下の弟のコウスケ
- 連作短編小説(主人公が交互に変わる)
- テーマ:兄弟・成長
- 2008年坪田譲治文学賞受賞
瀬尾まいこワールドで笑いたいなと思ったら、この本をおすすめします。
大阪弁が飛び交う、笑える物語であり、心が温まる物語。
兄弟っていいよな~、人と人とのつながりっていいよな~って思えます。
兄弟や姉妹と喧嘩中の子どもたちに読んでほしい本です。
『幸福な食卓』
【著者】瀬尾まいこ
【出版社】講談社
【文庫出版年】2007年
- 主人公:佐和子ちゃん 中学2年、中学3年、高校1年生
- 連作短編集
- テーマ:家族・友情(恋)・兄妹
- 2005年吉川英治文学新人賞受賞作
本を読むのが好きな小学生くらいからおすすめの本です。
ちょっと普通から外れている佐和子ちゃんの家族の物語。
そこに坂戸くん、大浦君、小林ヨシコといった人たちが絡み合い佐和子ちゃんはいろんなことを学んでいきます。
この物語の良さは、どんなことがあっても「愛」が感じられる物語であること。
人生って、けっして幸福なことばかりじゃないけれど「愛」があればどうにか生きていけるなと思えます。
家族、人生にめぐまれている子どもたちにこそ読んでほしい本です。
*自殺シーンがあるので読みたくない人は注意です。子どもが読む場合は、先に確認するのをおすすめします。
『僕の明日を照らして』
【著者】瀬尾まいこ
【出版社】筑摩書房
【文庫出版年】2014年
- 主人公:中2の隼太
- 長編物語
- テーマ:親子関係・虐待
母子ふたりで暮らしてきた隼太くんに新しいお父さんができるのですが、そのお父さんは優しくもありながらDVをする父だったのです。
どうする!隼太くん。
中学生とは思えない態度でDV父さんに対応する隼太くんをどう思う?、自分ならどうしよう、と思いながら読んでみてくださいね。
優しい両親と暮らしている子どもに読んでほしい一冊です。
『強運の持ち主』
【著者】瀬尾まいこ
【出版社】文芸春秋社
【文庫出版年】2009年
- 主人公:占い師ルイーズ吉田の元を訪れる人たち
- 4つの物語 連作短編集
- テーマ:悩みを解決するのは結局自分
悩みを抱えた人たち、父と母のどちらを選ぶべき?という小学生男子、占いが何度外れても訪れる女子高生、物事のおしまいが見えるという青年、そしてルイーズ自身の物語4編が入っています。
自分じゃ決められないから占いにくる、身近な人には話せないから占いにくる。
占いって当たっても当たらなくても自分次第でどうにでもなるけれど、一歩を踏み出すのに背中を押してくれるものでもあるんですよね。
私も明日から頑張ろうっと元気になれる物語です。
なんだか元気のないときに読みたいおすすめ本です。
『その扉をたたく音』
【著者】瀬尾まいこ
【出版社】講談社
【単行本出版年】2022年
- 主人公:29歳、ミュージシャンを目指して無職の俺、宮路
- 長編小説
- テーマ:生き方
- 2022年高等学校の部の課題図書
これから新しい生活に踏み出す人たちに読んでほしいな、と思う本を最後に紹介します。
高校生の課題図書ですが、本を読むのが好きな子なら小学高学年生でも読める本です。
夢を追いかけ続けている俺が、老人ホームを利用する高齢者たちと親しくなることで、人生について考え始める物語。
夢をもつこと、夢を追いかけることは大事ですが、それは独りよがりになっていないか?夢を追いかける自分に満足していないのか?自分はなんのために夢を追いかけているのか?
人間はひとりでは生きられないからこそ、自分が社会のなかでどんな役割があるのかを、ふと考えたくなります。
何かに夢中になっている、頑張っている子どもにおすすめの本です。
【中学入試でよく出る作家】瀬尾まいこ 小学高学年・中学生におすすめ本リスト
小学高学年から中学生におすすめしたい、【中学入試でよく出る作家】瀬尾まいこさんの本10冊を紹介しました。
どの作品も、家族、兄弟、友だち、「愛」がたっぷりの人と人の繋がりを楽しめる物語です。
元教師ならではの目線でみてきた子どもたちの姿を書いた、心温まる、前向きになれる瀬尾まいこワールドを楽しんでみてくださいね。
朝読書の時間などを利用して、気になる本があったら読んでみてくださいね
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