小さなころから、ひとつの競技にうちこみ、世界をみすえ、たたかっている子どもたちがいます。
かれらの目標はオリンピックで金メダルをとること!
そんな子どもたちが主人公になっている小説を集めてみました。
感動あり、悔しさあり、うれしさありとスポーツにかけるさまざまな感情がいりみだれ、さらには、想定外の衝撃的な事件がおきたりと、飽きることなく楽しめる物語ばかりです。
気になるスポーツを選んで、読んでみてくださいね。
選んだ本の多くは、中学・高校入試で出題されています
『DIVE!!』上下巻
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【著者】森絵都
【出版社】文庫:KADOKAWA
★本の形
長編小説(4部構成)
★主人公
仲間でありライバルの中高生の3人 要一、知季、飛沫
★オリンピック種目
飛び込み
うわ!上下巻もある、長いな~と、本のぶ厚さに圧倒されてしまうかもしれませんが、心配いりません。
とにかく、おもしろいから!
物語は4部構成になっていて、要一、知季、飛沫が順番に主人公となっていきます。
あまりメジャーではない「飛び込み」という競技のおもしろさ、コーチの指導法への反発、恋もするし、競技や自分自身に対する悩み葛藤、そしてオリンピック出場をかけた代表選考決定への疑問、親友でありライバルとのたたかい。
青春のすべてが、ここにつめこまれているんです!
もう、どこを読んでいても、読みごたえたっぷりで、夢中になってしまいます。
オリンピックを目指す、要一、知季、飛沫という3人の男子たちの友情と青春のすがすがしいさを一緒に味わおう!
作者は中学入試の国語出題で、頻出作家のひとり、森絵都さんです。
この作品は人気のため、映画化やマンガ化、テレビアニメ化もされています。
近年では、2021年にテレビドラマ化され、HiHi Jets のメンバー、井上瑞稀さん、髙橋優斗さん、作間龍斗さん3人が出演しました。
『この銀盤を君と跳ぶ』
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【著者】綾崎隼
【出版社】KADOKAWA
★本の形
長編小説
★主人公
オリンピック出場を目指す二人の天才少女、瑠璃とひばり
天才少女たちを支える女性、朋香と泉美
★オリンピック種目
フィギアスケート
オリンピックに出場できる人数は決まっている。
だから、必ず国内でのオリンピック出場権争いは盛り上がり、応援する側にとっても、かなり見ごたえのあるものになる。
舞台はオリンピックの出場権をかけた全日本フィギュアスケート選手権。
物語は、ふたりの天才少女によるバチバチのライバル心あふれる争いではなく、フィギュアスケートの世界で生きる人たちの運命の過酷さがメインとなっています。
努力したから必ず成功するわけじゃない。
やればやっただけの成果がでるわけじゃない。
天性の才能や身体能力が大きなカギになり、運も必要になる。
スポーツのもつ残酷な現実をしりながら、それでも立ち向かう人たちの生きざま。
フィギアスケートの神さまに愛されなくとも、フィギアスケートを愛している女性ふたり朋香と泉美の生き方は、「自分を信じて」自分の得意なこと、自分が輝ける場所をみつけて生きてくのが大事なんだと教えてくれます。
そして一方では、天才といわれている少女ふたり、瑠璃とひばりの抱える運命の過酷さも描かれています。
天才もつらいんです……。
さまざまな人たちの想い、思惑が交差しながら、オリンピック代表が決まっていきます。
『パラ・スター 〈Side 宝良〉』
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【著者】阿部暁子
【出版社】集英社
●本の形
長編小説
●主人公
車いすテニス選手の宝良
●オリンピック種目
車いすテニス(パラリンピック)
●その他情報
親友の百花ちゃんが主人公の物語がある『パラ・スター 〈Side 百花〉』
車いすテニスって知っていますか?
日本が誇るレジェンド、国枝慎吾選手が活躍したスポーツです。
(国枝さんは2004年のアテネオリンピックから2021年の東京オリンピックまで、合計5回もオリンピックに出場し、男子シングルスで金メダルを3回も勝ち取っています)
『パラ・スター 〈Side 宝良〉』は、車いすテニスで世界に挑戦している高校生の女の子、宝良の物語です。
事故で車いす生活になり、失意のどん底にいた宝良ちゃんは、友達の助けにより立ち直り、車いすテニスに挑戦し始めます。
それはカンタンなことではなく、たくさんの壁にぶつかりますが、彼女は持ち前のガッツを発揮して、世界へ挑戦するまでの実力をつけていきます
物語の圧巻シーンは、強豪選手が勢揃いするアジア最高峰の大会、ジャパンオープンでの、迫力ある車いすテニスのシーン。
これは読みごたえたっぷりです。
競技に関わる人の多さに驚き、車いす生活の宝良の厳しい現実、母親の苦悩など、心が揺さぶられるシーンがたくさんあり、涙がとまりませんでした。
成長をしていく宝良ちゃんの物語としてだけではなく、スポーツ物語として楽しめる本なので、スポーツが好きな人におすすめです。
さらに、この本には『パラ・スター 〈Side 百花〉』という、宝良ちゃんの親友、百花ちゃんが主人公になった本もあるんです!
こちらは宝良ちゃんを助けたい!宝良ちゃんの役に立ちたいと願う、百花ちゃんが車いすをつくるようになり、どんどん成長していく物語です。
2冊合わせて読むと、互いに相手を想うふたりの優しい気持ちがよくわかって、何倍もこの物語がおもしろくなり、この2冊の本も、宝良ちゃんと百花ちゃんのことも大好きになってしまうはずです。
『Surf Boys(サーフボーイズ )伝説になった12歳の夏』
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【著者】南田幹太
【出版社】PHP研究所
●本の形
長編小説
●主人公
小学6年生の亮
●オリンピック種目
サーフィン
サーフィンの小説って珍しいからワクワクしちゃいます!
1960年の湘南を舞台にした、大波を制して「湘南のレジェンド」となった幻の小学生サーファーの、友情あり、青春あり、成長ありの物語
暑い夏に、熱い友情、熱い戦い。
小学6年生の夏はとにかく熱い!
そして、さらにはその伝説に憧れる地元少年たちの夏も書かれていて、過去と現代を“サーフィン”がつないでいます。
あ~、海に行きたい!
『競歩王』
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【著者】額賀澪
【出版社】光文社
●本の形
長編小説
●主人公
大学生の榛名忍
天才高校生作家デビューしたものの、今や作家として崖っぷち状態
●オリンピック種目
競歩
地味なスポーツだからこその、味わい、楽しみがある
物語は、リオオリンピックが終わりに近づいた2016年夏
崖っぷち作家で、大学生の榛名忍は編集者からの提案で、何となく競歩の物語を書くことになる。
調査のためおとずれた大学の陸上部にいたのは、長距離走を諦め仕方なく競歩を選んだ、やっぱり崖っぷちの選手八千代篤彦だけだった。
作家の忍と競歩選手の篤彦、崖っぷちコンビの物語です。
(二人とも大学生なので、子どもではありません。青年です)
競技者であれ小説家であれ、いい時もあれば、辛い時もまるし、苦しみがあれば、喜びもある。
懸命に取り組むからこそ味わえる達成感や、さわやかさがクセになる、スポーツの魔力の書かれています。
『5番レーン』
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【著者】ウン・ソホル
【絵】ノ・インギョン
【訳】すんみ
【出版社】鈴木出版
●本の形
長編小説
●主人公
韓国の小学6年生 少女カン・ナル
●オリンピック種目
競泳
『5番レーン』は、韓国の物語です。
小学生のころから、世界を目指す!
勝ち続ける楽しさと、辛さを知っている少女カン・ナル。
世界を目指し、日々を練習に費やし、戦うアスリート予備軍の彼女がスランプに陥った。
何をやっても勝てない……。
そして、事件は起きる!
自信がなくなると、人間って思いもかけないことをしちゃうもんなんです。
ひとりじゃ、スランプの沼から抜け出せなくとも、そこに、信頼できる仲間、家族がいれば……。
ライバルは自分自身なんだと、スランプから大きく成長していく少女の姿がまぶしい青春小説です。
そして転校生の少年、テヤンがカッコいい!
韓国のアイドルを想像しながら読むと、テンションアップします。
『向かい風で飛べ』
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【著者】乾ルカ
【出版社】中央公論新社
●本の形
長編小説
●主人公
中学生の理子とさつき
理子:小学生のころから天才スキージャンパーとして有名
さつき:小学5年生のとき転校してきて、理子に誘われスキージャンプを始めた
●オリンピック種目
スキージャンプ
高い場所から滑り勢いよく飛ぶ競技のスキージャンプは、オリンピックの花形競技のひとつです。
体験したことのないスポーツは、なかなか細かな部分(心理面など)の想像がしにくいと思いますが、『向かい風で飛べ』は、スキージャンプのジャンプを飛ぶ爽快さと、アスリートならではの苦しみ両方が上手に書かれているので、すぐに物語に入りこめます。
小学生の時に転校生してきたさつきちゃんは、理子ちゃんに誘われ始めたスキージャンプで才能を開花します。
一方で、オリンピックの有望選手候補といわれる理子ちゃんがは中学生になり、試練がおとずれます。
ふたりの少女の友情は、スポーツの魔力によって、こわれてしまうのでしょうか?
『向かい風で飛べ』は、二人の少女の友情、嫉妬、体の成長に伴い思うように飛べないいらだち、記録を伸ばすための奮闘、ふたりを見守る家族の愛、そして何よりも苦しさのなかにあるスキージャンプへの楽しさを描く青春スポーツ小説です。
世界に羽ばたくだろう天才少女たちの姿を見たいなら、ぜひ!読んでみてください。
『太陽と月 サッカー・ドリーム』
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【著者】はらだみずき
【出版社】小学館
●本の形
長編小説
●主人公
小学校6年生、サッカーのクラブチームに入っている月人くん
身長173センチで背が高いことが強みだけど、そんな体をもてあましている
●オリンピック種目
サッカー
●その他情報
続編あり『太陽と月ジュニアユース編』
ゆくゆくは世界へ羽ばたくことを夢みる!
プロのサッカー選手を目指す小学生たちが体験する、ライバルたちと競い合う合宿とは?
自分の良さを知っているうえに人の好さを見つけられる子や、人には負けない気持ちが人一倍強い子、文句なしにサッカー上手い子など、自分にはないものをもっているライバルたちと出会ったら。
負けていると落ち込むのか、プロの夢はあきらめるのか、それとも、自分も奮起するのか、ライバル出現にワクワクするのか。
世界とたたかうプロを目指すには、サッカーのテクニックや才能、能力のまえに、まずは自分自身が自分と向き合う必要なんだ。
厳しい目で自分を見て、自分はたたかう世界に負けないでいられるのか。
自分が月人くんだったら、どうする?
『天翔る』
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【著者】村山由佳
【出版社】講談社
●本の形
長編小説
●主人公
11歳の少女、岩館まりも
●オリンピック種目
なし
馬の長距離レース、エンデュアランス
おもいっきり、生きるための勇気がほしい!
そう思ったときに、読みたい本が『天翔る』です。
大事な人を亡くし、さらには、いじめられ不登校になってしまった、人生のどん底にいた少女まりもちゃんが、あたらしい世界にひきこまれていきます!
それはエンデュアランス!
なんじゃそれ?と思った人がいっぱいいそう(私もその一人)
エンデュアランスとは、数十キロにおよぶ長距離を数時間かけて馬と走る、過酷な馬のレース競技です。
過酷なエンデュアランスに挑戦する、少女まりもちゃんを支えてくれるのは、同じく心に傷をもつ人たちと、パートナーの馬サイファです。
15歳になったまりもちゃんは、渡米し、最長レース160キロのエンデュアランスに参加します。
感動のラストに向かって、馬と走るまりもちゃん。
なにがあってもまっすぐに前をむいて、上をむいて、純粋に生きる、まりもちゃんの姿から勇気がもらえます。
オリンピック競技ではないのですが、世界で堂々とたたかう少女の成長物語、おすすめです。
『サクリファイス』
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【著者】近藤史恵
【出版社】新潮社
●本の形
長編小説
●主人公
白石誓
●オリンピック種目
自転車ロードレース
●その他情報
続編あり『エデン』
『サクリファイス』は、自転車のロードレースのおもしろさが味わえるスポーツ小説でもあり、青春小説でもあり、恋愛小説でもあり、ミステリー小説でもある
そして、中学入試に出題されちゃう小説でもある!
元陸上選手で、大学卒業後に自転車ロードレースチームに所属している主人公の白石誓(チカ)。
(子どもではない、青年です)
自転車のロードレースは個人の競技とおもいきや、実はチーム競技というのに、まずはビックリします。
アシストが、犠牲になり、エースを勝たせていくのです。
頭でわかっていても、けっこうシビアです……。
なので、そこにはいろんな人たちのおもわくがめぐり、考え方や価値観の違いが現れてきます。
いろいろな思いがチームメンバー間で交差するなか、欧州遠征中に、とうとう悲劇が起きてしまうのです!
タイトルの『サクリファイス』の本当の意味を知ったときの衝撃!を味わってください。
『サイファー・ピース・ダンサーズ』
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【著者】国仲シンジ
【出版社】角川春樹事務所
●本の形
長編小説
●主人公
中学3年生の遊間悠一郎
●オリンピック種目
ブレイキン(ブレイクダンス)
ダンスバトルB-BOYで世界最強になったのに、自分には才能がないと思っちゃうなんて、ダンスを辞めちゃうなんて。
遊間悠一郎は、よくわからん。
でも読めば読むほど、悠一郎の複雑な気持ちがわかってくる。
でも、やっぱり、悠一郎にはもっとダンスつづけてほしいな~と思っていたら
転校した先の進学校で、つねにテストで一番を取り続ける日向あかりにダンスを教えるのをきっかけにふたたび、ダンスを始める悠一郎!
やった~!
友情あり、恋あり、そして迫力のダンスシーンが読みごたえありの、青春小説です
『頼むから、ほっといてくれ』
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【著者】桂望実
【出版社】幻冬舎
●本の形
連作短編集
●主人公
オリンピックを目指す競技者たち、その家族、コーチ、審判など
●オリンピック種目
トランポリン
どの競技でも同じように繰り広げられる代表権争い、トランポリン競技も例外ではない。
トランポリンってどんな競技なんだろう?と思ったら、ぜひ読んでみて。
少年の頃からライバルで仲間だった5人が競い合う2つの枠!
だれもが行きたいオリンピック、仲間だからと甘いことは言ってられない。
さあ、オリンピックに行けるのは誰なのか?
5人の競技者、コーチ、母親、審判員といろんな人の視点からみたオリンピックとは……。
オリンピックをめぐる喜びや挫折、人がもついやらしさ、そして優しさ、ライバル心と憧れなど、さまざまな感情があふれる小説です。
そして、オリンピックに行ったら、行けなかったら、それで人生は終わりじゃない!のが、この小説の読みどころです。
オリンピックを通して、人生を生きる楽しさや難しさを味わえます。
『彼方のゴールド』
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【著者】大崎梢
【出版社】文藝春秋社
●本の形
連作短編集
●主人公
スポーツ雑誌の編集部に勤める目黒明日香
●オリンピック種目
野球、水泳、マラソン、バスケなど
オリンピックを目指す子どもたちの小説ではないけれど、スポーツを愛する人にはぜひ読んでほしい本を紹介します。
スポーツが好きな人なら、読んだことのあるスポーツ雑誌
スポーツ雑誌から、スポーツへかける選手の熱い想いや、スポーツの楽しさを知った人も多いはずです。
そんなスポーツ雑誌の編集の仕事が物語になったのが、『彼方のゴールド』です。
東京オリンピックを想定した物語で、さまざまなスポーツにスポットを当て、独自の視点から取材を重ね記事にしていくスポーツ総合雑誌「Gold」編集の目黒明日香
彼女の仕事を通した成長物語なのですが、取材するスポーツのおもしろさも楽しめる一冊です。
アスリートへのリスペクトが高まる物語を、オリンピックに合わせてぜひ読んでほしいです。
【中学入試出題本が多数】世界でたたかう子どもたちスポーツ小説リスト
【中学入試で出題された多数】目指せオリンピック!世界をみすえてたたかう子どもたちが主人公のスポーツ小説を紹介しました。
小学高学年から中学生におすすめです。
まずは、気になるスポーツ小説から読んでみてくださいね。
気になる本があったら、どんどん読んでみてね。
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