20年前って、どんな時代だったのか、想像できますか?
さらに30年前、2000年より前の1990年なんて、すごく昔に感じてしまいませんか?
でも、実は中学入試で出題される問題文のなかには、そんな1990年代頃~2005年頃の本が数多くあります。
それらの本は、30年、20年たった今でも、色あせることなく、子どもたちの心に響く名作本なんです。
1990年頃から2006年頃の初版本から、2020年代にでも出題された本を中心に、小学高学年生から中学生におすすめの本を選んでみました。
ページ数の多い本もありますが、長年愛されてきた本には、やはりなんともいえない魅力があるのです。
選んだ本はすべて中学入試で出題されています
『つめたいよるに』
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【著者】江國香織
【出版社】新潮社
★初版年
1989年
★本の内容
短編集
2001年センター試験「国語Ⅰ」で号泣者が多数でたという、伝説ともいえるセンター試験の問題文が江國香織さんの短編「デューク」です。
「デューク」は、『つめたいよるに』という本に入っている短編です。
この『つめたいよるに』は、出版から30年近くたつ今なお、毎年どこかしらの中学の入試で出題される”中学入試のテッパン中のテッパン”ともいえる本です。
『つめたいよるに』は短編集で、中学入試によく出る短編は決まっています。
ひとつが「僕はジャングルに住みたい」
中学入試では卒業を真直にひかえた小学6年生の男の子の、なんとなく落ち着かない日々が書かれているます。
そしてもうひとつが「南ヶ原団地A号棟」
同じクラスメイトで同じ団地に住む子どもたちが、それぞれに友達の母親をうらやまがる内容の作文を書くのです。
これは読んでいてクスっと笑ってしまう、「わかる!」と共感できます。
そのほかにも、子どもが主人公になったお話、ちょっと不思議なお話など、気になった短編をいくつか読むと、江國香織さんの描きだすステキな物語の雰囲気を心で感じられるようになると思います。
*中には、大人向けの短編もあるので、子どもが読む前に、親御さんに読んでほしくない短編をみてもらうのがおすすめかも。
「藤島さんの来る日」「冬の日、防衛庁にて」などは、子どもにはわからないはず。
(タイトルの”防衛庁”が時代を感じさせます!現在は東京ミッドタウンになっているので)
何十年もコンスタントに入試で出題されているのがわかる、子どもの感性にビビビと響く物語集です。
『本を読む女』
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【著者】林真理子
【出版社】新潮社➡集英社
●初版年
1990年
●本の形
長編小説
●主人公
小川万亀(作者林さんのお母様がモデル)
ここ数年いろいろな問題でニュースに取り上げられる日本大学の学長として改革に励んでいる林真理子さんの小説も、長く愛されています。
林さんのお母様がモデルになっているというこの作品。
大正から昭和時代を生きた、ある女性の半生の物語です。
大正生まれの小川万亀は、人生の岐路ごとに、父親の死や戦争、女性が好きなように生きづらい社会・考え方といった、たくさんの壁にぶつかりながらも、本を愛し、読書を心の支えとして、夢を持ちつづけ生きるのです。
「働かずに本を読んで暮らしたい」という子ども時代の万亀ちゃん。
本が好きな子どもはぜったい共感しちゃいます!
毎年のように、どこかしらの中学で出題されるのは、「人生を諦めないで!」と子どもたちへの応援の意味もあるのかもしれません。
お母様のたくましい生き方をみてきた林真理子さんにも、現実の壁に立ち向かってがんばってほしいです。
『サマータイム』
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【著者】佐藤多佳子
【出版社】新潮社
●初版年
1990年
●本の形
4つの連作短編集
●主人公
進と姉の佳奈、そして片腕の少年広一くん
『サマータイム』4つの短編は、主人公がそれぞれ異なります。
気持ちのやさしい進、女王様キャラの佳奈、片腕のない大人ぽい広一くんの3人の物語です。
短編②③④は、すべて短編①「サマータイム」につながっています。
短編①「サマータイム」ぼく(進)小学5年から17歳になる
短編②「5月の道しるべ」佳奈 小学生(広一くんと出会うまえ)
短編③「九月の雨」広一 16歳
短編④「ホワイト・ピアノ」佳奈 14歳
この物語で、小学高学年・中学生には、ビリビリする青春の心の「痛み」を味わってほしいです。
特に、大人ぽい小中学生の女の子におすすめしたい。
逆に、女ってよくわかんないしめんどくさいと思っている、好きな子にはちょっかいをだしてしまうようなお子ちゃま男子には、共感しにくい、わかりにくいかもしれない物語です。
「子どもにはわからない、佳奈の魅力」
あまのじゃく的な、女王様的な、でも繊細な佳奈の気持ち。
これがわかったら、精神的に大人レベルなのかもしれません。
そして、弟の進や広一くんの佳奈を受け止める心のゆとり、やさしさを理解できるかな?
短編「サマータイム」の最後のシーンは、キュンキュンきます!
読んでみてくださいね。
子どもだけど大人顔負けのナイーブな心をもつ彼らの痛みが伴うみずみずしい青春、決して戻れない「今」が書かれた、『サマータイム』は何年にもわたって、多くの中学校入試で出題されています。
『アーモンド入りチョコレートのワルツ』
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【著者】森絵都
【出版社】KADOKAWA
●初版年
1996年
●本の形
3つの短編小説
●主人公
中学生の少年少女
音楽が好きな子におすすめの本を紹介します。
シューマン、サティ、バッハの音楽と物語が融合したステキな小説になっています。
14、15、16歳の思春期真っ只中の彼らは、純粋なきもちのなかに、どこか邪悪な心ももっていて、何も考えていないようで、自分の立ち位置を理解していて、優しさのなかにずるがしこさをふくんでいる。
自分をコントロールする力加減が、まだまだできない。
なんとなく自分と似た子どもに出会えるはずです。
子ども自身も説明しにくい、自分でもなぜそんな気持ちになるのかがわからないような、子どもの奥底にある気持ちを、あらわに書きだしているこの本は、中学入試問題で、何十年にわたって、多くの学校で出題されています。
『ぼくは勉強ができない』
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【著者】山田詠美
【出版社】新潮社・文藝春秋社
●初版年
1993年
●本の形
連作短編集
●主人公
高校生の時田秀美
●その他情報
新潮社で出版しているが、2015年に出版された文春文庫版には書き下ろしの続編「四半世紀後の秀美くん」が掲載されている
初版は1993年ですから、今から30年!も前に出版された本なんて信じられません。
まず、この、タイトルがいいですよね~。
主人公の秀美君はけっして、勉強ができないと落ち込んでいるわけじゃなくて、「ぼくは勉強ができない(でも、それがなにか?)」っていう感じなんですよ。
そうなると「なんか、かっこいい」わけです。
そうです、秀美君はモテます!
高校生なのに、バーテンダーの年上女性と付き合っているのですから、なかなかのものです。
秀美君は、でも、悩める高校生なんです。
ふつうの高校生のように、勉強のこと、友達のことで悩んでいるわけじゃありません。
人や社会にはこびる価値観や偏見、そして「当たり前」という物差しで物事を押し付けられる学校生活を重苦しく感じ悩んでいるのです。
母親、祖父、サッカー部の先生、恋人、数人の友達といった秀美くんの理解者たちと、まったく秀美君を理解できない多くの先生や級友たちと、悩める秀美君との日々が物語になっています。
秀美君をカッコイイと思うかな、変人だと思うかな?
秀美君と友達になりたい、秀美君と付き合ってみたいと思うかな?
読んでからのお楽しみです!
*小学生、中学生にはちょっと過激な内容もあるので、先に親御さんに読んでもらってから、読み始めたほうがいいかな。
小中学生にぜったいに読んでほしい!短編は「眠れる分度器」です。
中学入試でも、ほとんどの学校で、この短編を出題しています。
毎年、どこかの中学校入試で必ずといっていいほど出題されている短編は「眠れる分度器」は、子どもが教えられずとも感じ気づく、「人と自分の違い」や、子ども同士でさえも暗黙の了解があることなど、見えにくい子どもの姿が書かれている名作です。
☟書き下ろしの続編「四半世紀後の秀美くん」が掲載されている文春文庫はこちら
『キッドナップ・ツアー』
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【著者】角田光代
【出版社】新潮社
●初版年
1998年
●本の形
長編小説
●主人公
小学5年生の少女、ハルちゃん
「夏休みの第一日目、私はユウカイされた」
衝撃の一文で物語は始まります。
え~!誘拐って、犯罪だよね。事件だよね。
ニュースになっちゃうような物語なの、としょっぱなから物語にひきこまれてしまいます。
誘拐犯は、なんと”お父さん”!!
誘拐されたハルちゃんの夏休みはどうなってしまうのでしょうか?
なぜお父さんは誘拐なんてしたの?
気になりますよね~?
さっそく読んでみてください。
『黄色い目の魚』
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【著者】佐藤多佳子
【出版社】鈴木出版
●初版年
1993年
●本の形
連作短編集
●主人公
村田みのり(小学生~高校生までが書かれている)
家族にも学校にも居場所がないと感じている、自己肯定能力が低く、そのため不器用にしか生きられない少女みのりちゃんの、小学生時代から始まり高校生になっていく姿が書かれた物語です。
メインは高校時代。
みのりちゃん、本当の自分を理解してくれる木島くんに出会うのです!
「俺、絵、描いているんだよね。村田さんの絵さ。」(村田さんはみのりのこと)
なんて、クラスメイトの男子に突然、声かけられたら、どうします!?
木島くんもみのりちゃんも、心に孤独を秘めていて、不器用に生きていて、傷つくことを恐れる繊細な心をもっています。
そんなふたりが、どこか似ている存在として、気になり、引き寄せ合い、仲を深めていくのです。
会うべくして会った、ふたり。
ふたりの仲は恋なのか?同志なのか?
恋人のようにもみえるし、仲の良い双子のようにもみえるし。
でも、ふたりでいれば本当の自分を見せられる安心さ、ふたりのまとう空気感に心地よさがあり、互いがどんどん大切な存在になっていくのです。
ちょっと、いや、かなりうらやましい、ステキな二人なんです。
きらめきとダークさをあわせもつ青春をともに過ごす二人に会ってみたいと思ったら、ぜひ読んでみてください。
*性的な行為を匂わせるシーンがあるので小学生が読むなら、事前に親の確認が必要だと思います。
自分の存在自体に自信のない、みのりちゃんと木島くんの青春・成長物語は、もはや、中学入試のテッパンともいえるほどに出題されています。
『西の魔女が死んだ』
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【著者】梨木香歩
【出版社】新潮社
●初版年
1994年
●本の形
長編小説
●主人公
中学生のまい
中学生になったばかりなのに、そうそうに学校に行けなくなったまいちゃん。
気分転換にと、魔女とよばれているおばあちゃんと住み、魔女になるレッスンをうけることになります!
「え、魔女になれるの?魔法をつかえるようになりたい!」「ハリーポッターの学校みたいなところかしら?」と思ったら……。
魔女になるための、その修行は「なんでも自分で決めること」でした。
ここで「な~んだ、ガッカリ」と思わないでくださいね。
なんと、魔女の修行をしたら、魔法の杖も、オウムも必要なしに、まいちゃんの人生は変わっていくのです。
自分の人生は自分しか生きられない。
当たり前だけど、なかなか気づけない大切なことを教えてくれるこの本は、大人になっても、何度も読み返したくなる宝物のような一冊になると思います。
『ぼんぼん』
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【著者】今江祥智
【出版社】岩波書店
*新装版が理論社から販売されています
★初版年
1995年
★本の形
長編小説
★主人公
大阪の裕福な家の”ぼんぼん”、洋(ひろし)
小学3~6年生まで
ページ数が500ページ近くもあるちょっと長めのお話しで、しかも物語の舞台は、昭和16年に日本が第二次世界大戦を始めてから、昭和20年に敗戦するまでの4年間の大阪という、小学生にはレベルが高い物語かもしれません。
ですので、この本を読みきれたら、新しい読書の世界がどんどん広がっていくと思います。
『ぼんぼん』は、小学3年生の少年が体験し肌で感じ取った戦争が、子ども目線で書かれている物語です。
戦争のなかで生きるということは、つねに「死」と隣り合わせになり、食べることにすら困り、人の気持ちや価値観を大きく変えてしまう生活にとまどいながらも、必死に生き抜くこと。
子どもだからこそ、素直に思うことや感じることが、よけいに戦争の恐ろしさを際立たせてくれます。
ですが、物語自体は、戦時下にあっても喜びやユーモアを忘れずに生きる少年の姿や、ほのかな恋心、頼りになる大人の存在など、恐ろ恐ろしいものではありません。
むしろ、戦争中のなかで、どうにかこうにか生活をして、生き抜き、成長をしていく洋くんが生き生きと書かれている青春物語といってもいいほどで、読みやすいと思います。
さらに大阪弁で話す洋くんが、いい味をだしています。
『きみの友だち』
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【著者】重松清
【出版社】新潮社
●初版年
2005年
●本の形
連作短編集
●主人公
小学5年生の和泉恵美ちゃん、恵美ちゃんの弟ブンちゃんほか
友だちって、大切だけど、重くのしかかるものであり、悩みのタネでもありませんか?
友だちは多ければ多いほどいいのか、いい人なのか?
親友がいない人は、イヤな人、ダメな人なんだろうか?
友だちが一人もいなくなったらどうしよう?
こんな風に、きっと考えたことがあるはずです。
友だちを含めて、人間関係は、子どものうちから始まり、大人になってもずっと続いていきます。生きている限り避けられないのです。
だからこそ、「友だちってなんだろうか」自分のこころのなかで、なんとなくでも答えをもっていたほうがいいと思います。
この本『きみの友だち』は、その答えをだすキッカケになるはずです。
本を読んで考えてだした「友だちってなんだろうか」の答えは、いろんな経験をして変わっていくと思いますが、それはそれでいいと思います。
なによりも、自分で考えて、自分で決めたことは、自信がもてるし、自分自身を保つ糧になるはずですから。
友だちのこと、イジイジと悩むくらいなら、まずは、この本を読んでみてください。
和泉恵美ちゃんの小学時代の短編からはじまって、短編ごとに主人公が変わっていきます。(主人公はすべて恵美ちゃんの周りの人たちです)
そして最終の物語では、恵美ちゃんは大人になっていきます。
恵美ちゃんはどんな女性になっているのでしょうか?そして、大人になった恵美ちゃんの友だちはだれなのでしょうか?
ページ数400ページ越えで、10編もの短編からなる、かなりボリュームのある本です。読むのはたいへんですが、心に響く、号泣間違いなしの本です。
そして、すべての短編にでてくる”なぞの人物”、主人公を「きみ」という呼ぶのはだれなのか?も、気になります!
『卵の緒』
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【著者】瀬尾まいこ
【出版社】新潮社
●初版年
2002年
●本の形
ふたつの中編小説
●主人公
「卵の緒」小学生の育生
小学生あるあるで「自分はおとうさんとおかあさんの本当の子どもではないんだ」と思うこと。
わりとだれもが、一度は本気で思ったことがあるのでは!
育生は、ずっと自分は捨て子だと思っています。
お母さんが育生のことを、ほんとうに愛してくれているのは知っているのですが、捨て子疑惑は常に育生の心にあります。
本を読んでいると、育生を愛しているお母さんの気持ちがとてもよく伝わってきます。
あたたかくて、やさしくて、強くて、心地よい。
そんな気分にさせてくれます。
20年も前に発表された物語ですが、いろんな家族のかたちがあって、それが当たり前になってきた今でも「家族ってなんだろうか?」と、新鮮な気持ちで読めます。
育生はどんな答えをだすのでしょうか?
『永遠の出口』
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【著者】森絵都
【出版社】集英社
●初版発行
2003年
●本の形
連作短編集
●主人公
紀子 小学生時代から高校生まで
小学生から高校生までのひとりの少女の成長。
大人になってから振り返れば、なんだあのこと」と思うような出来事も、その時は「大事件」のように感じていた。
子どもが読めば「あ~、わかるな」と共感できる「事件?!」ばかり!
友達とのことで悩んだり、恋をしたり、親のことを信用できなくなったり、たくさんのことを乗り越えて、大人へ近づいていきます。
今(子ども時代に)「心を痛めたこと」は、もう永遠に味わえない「痛み」なんだと思うと、ちょっと悲しくなっちゃいます。
*小学生にはちょっと過激な言葉もあるので、先に親御さんに読んでもらってから、読み始めたほうがいいかな。
『しずかな日々』
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【著者】椰月美智子
【出版社】講談社
●初版年
2006年
●本の形
長編小説
●主人公
母親と二人暮らしの小学5年生の光輝
忘れられない夏休みを過ごしたことありますか?
『しずかな日々』は、目立たず友達もいなかった光輝が過ごした、きらきら輝いていた小学五年生の夏の物語です。
母と離れて祖父とふたりで暮らし、初めてできた友達と遊ぶ、いつもひとりぼっちでいた毎日が一変した夏休み
大きな事件がなくても、光輝にとっては、宝物のような大切な思い出の夏休みになるのです。
大人になる一歩手前、少年たちの駆け引きなしのピュアな友情が、夏の太陽くらいまぶしくて、明るくて、読んでいると、自分も仲間に入ったような気分でワクワクしてしまいます。
今その時しか味わえない夏の楽しさを、おもいっきり感じられる本です。
中学入試では、しずかに、長い間出題され続けています。
『天のシーソー』
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【著者】安東 みきえ
【出版社】理論社
●初版年
2000年
●本の形
6つの連作短編集
●主人公
小学5年生のミオと妹のヒナコほか
小学5年生のミオちゃんと、妹のヒナコちゃんの姉妹を中心に、家族や友達、近所の人たちと過ごす小学生の日常が書かれています。
人と人と関わることは、いいことばかりじゃないです。
摩擦はさけられません。
それは小学生だって同じ。
ちょっとしたことにムカっときたり、イライラしたり、落ち込んだり。
子どもだって、子どもながらにナイーブにいろんなこと考えたり、思ったりしていることを、上手に書き出してくれています。
自分もおんなじような気持ちになったことあるよ!と、ちょっとうれしくなってしまうかもしれません。
2019年に麻布中学校の入試問題で出題された短編「明日への改札」は、2012年に発売されたポプラ文庫ピュアフルに入っている書き下ろし作品です。
残念ながら、この本は現在絶版になっています。
理論社から発売されている単行本には、短編「明日への改札」は入っていません。
☟理論社から発売されている単行本
☟ポプラ文庫ピュアフル(中古本)
『おんぶにだっこ』
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【著者】さくらももこ
【出版社】集英社
●初版年
2006年
●本の形
エッセイ
●主人公
幼少期のさくらももこ(ちびまる子ちゃんの作者)
なんとなく覚えている自分が小さい頃のことを思い出してしまう!
「まる子」(小学3年生)以前のさくらももこ幼年期をつづった自伝エッセイが『おんぶにだっこ』です。
さくらさんのエッセイの魅力は、さくらさんの文章って、目の前でそのことが起こっているように想像できる面白さがあることです。
さくらさんの体験した、幼少期のあれこれを読んでいると、あれ?こんなこと自分にもあったかも!?と思ってしまうから、とっても不思議です。
なにげない日常を、こんなにもおもしろく、こんなにも心をギュッとつかませる、こんなにも泣けてしまう、人生の一コマとして書き出してしまう、さくらさんの才能に驚かされます!
『小学5年生』
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【著者】重松清
【出版社】文藝春秋社
●初版年
2007年
●本の形
17つの短編小説集
●主人公
小学5年生の男の子たち
小学5年生って微妙な年ごろだとおもいませんか?
大人になるちょっと手前。
まだまだ親に甘えたい気持ちがある半面、友だちの前では「親なんて」とかっこつけてしまったり、親や先生が完璧な神様のような存在ではないことに気づき始めるころ。
社会が学校と家族(塾)と限られたなかで、それがすべてだと思いこんでしまう毎日に、閉塞感や憤りを感じ始める子もいます。
そんな自分の気持ちが、自分自身でもよくわからずに、どう対応していいのか、どう人と接したらいいのかと悩む子もいます。
小学5年生の人数分だけ、悩みの数、人生の数はあるのです。
小学5年生の「今」を、たくさんの小学5年生たちと一緒に味わってみませんか?
『そのぬくもりはきえない』
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【著者】岩瀬成子
【出版社】偕成社
●初版年
2007年
●本の形
長編小説
●主人公
小学4年生の波ちゃん
お母さんってすぐに「あなたのためだから」と言いませんか?
『そのぬくもりはきえない』は、お母さんから「あなたのため」と、なんでもいろんなことを決められてしまう波ちゃん(小学校4年生)の物語です。
お母さんは自分のためにしてくれること、決めてくれることが、自分はしたくない、興味がわかないことばかり。
でも、お母さんの気持ちがわかるから、はっきり「イヤ」と言えない……。
波ちゃんは、どうしたでしょうか?
不思議な体験をしながら、波ちゃんは成長していきます。
波ちゃんと自分がちょっとでも似ているかも!と思ったら、読んでみてほしいです。
波ちゃんの痛いほど「辛い」気持ちに共感してあげてください。
『風が強く吹いている』
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【著者】三浦しをん
【出版社】新潮社
●初版年
2006年
●本の形
長編小説
●主人公
箱根駅伝に挑戦する10人の個性ゆたかな大学生たち
「あ~、この小説ってもう20年近く前に出版されたのか~」と思うほど、今でもまったく色あせることなく、純粋に青春する大学生たちの姿を楽しめる本です。
毎年、かならずと言っていいほど、ドラマが生まれる「箱根駅伝」を小説にしたら!
『風が強く吹いている』は、ほぼマラソン素人(潜在能力は高い?)の個性ゆたかな10人が、箱根駅伝に挑戦をする小説です。
そもそも箱根駅伝に挑戦することから問題てんこ盛りのうえ、本選でもある箱根駅伝に出るには、記録会や予選会で結果を残さないと出場できないのですが……。
果たしてユニークメンバー10人は、箱根駅伝を走ることができるのでしょうか?
己とのたたかい、ライバル校とのたたかい、個人同士のたたかい、仲間とのたたかい。
いろんな人たちと競いあい、自分を高めていく彼らが、最後にみる世界はどんなものなんでしょうか?
なにかに必死に取り組んだ人だけがみることのできる世界を、見てみませんか?
友情あり、恋あり、成長あり、笑いあり、苦しみあり。
青春がすべてつまった物語です。
『しゃべれどもしゃべれども』
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【著者】佐藤多佳子
【出版社】新潮社
●初版年
2007年
●本の形
長編小説
●主人公
落語教室の話し方に悩みを抱える人たち
「落語」聞いたことありますか?
なんとなくわかっていても、実際に聞いたことある、見たことのある人は少ないかもしれません。
落語家がどんな人たちなのかを想像するのも、難しいかもしれませんね。
ちなみに落語家は、日曜夕方のテレビ番組『笑点』にでてくる、おもしろいおじさんたちです。
落語は、座って、扇子をもち、声(噺(はなし))と身振りと手振りのみで状況を表現して、一人何役をも演じながら、おもしろい噺(はなし)をする。
そして最後にオチがあるのです。
おもしろい話しの専門家、話し方のエキスパートともいえる落語家に、落語を習いに来るのは、話すことに悩みを抱える人たちです。
性別も年齢も違う彼らは、一緒に落語を習いながら、自分自身にいまいちど向き合っていきます。
中学入試でこの物語が出題されるわけは、落語を習うなかに、小学生の男の子がいるのです。
彼、村林くんは関西弁のためクラスでういていて、いじめられているのです。
村林くんが落語を習い始めて、どう変わっていくのか?
ページ数も多く、大人がたくさんでてくる物語ですが、村林くんになりきって、読むと、読みやすいと思います。
「落語」のおもしろさを知るキッカケにも、おすすめの本です。
挑戦してみてください!
佐藤多佳子さんの本はこれで3冊紹介しました。
この『しゃべれどもしゃべれども』が長くて、登場人物の多くは大人なので、読むのが一番難しいと思います。
【中学入試出題より厳選】名作特集!30年、20年近くたっても今なお出題され続ける小説 小学高学年・中学生におすすめ本12冊リスト
【中学入試で出題された多数】目指せオリンピック!世界をみすえてたたかう子どもたちが主人公のスポーツ小説を紹介しました。
小学高学年から中学生におすすめです。
まずは、気になるスポーツ小説から読んでみてくださいね。
気になる本があったら、どんどん読んでみてね。
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