驚きの事実ですが、中学入試や高校入試では、発売されたばかりの本が出題されます。
2023年に発売された本が、2024年1、2、3月におこなわれる入試では、もう問題となり出題されるのです。
2024年の中学・高校入試で出題された本のなかには、まだまだ新刊本として本屋さんに並んでいる本がたくさんあります。
【2024年入試出題本】のうち、2023年に発売されたばかり、まだまだ新しい本で、中学生や高校生におすすめしたい小説を選んでみました。
魅力的な本ばかりで、どれから読もうか悩んじゃうくらい素敵なラインナップになっています。
人気作家の本や、本屋大賞ノミネート本といった話題になっている本が多く出題されているのにもビックリします。
『藍色ちくちく 魔女の菱刺し工房』
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【著者】髙森美由紀
【出版社】中央公論社
●あらすじ
連作短編集
南部菱刺しが家族をつなぎ、あたらしい家族のかたちを紡ぎ出す!
より子先生(おばあちゃん)の南部菱刺し教室「ひし形屋」。
ここに集まる悩みを抱えた人たちが、より子先生や仲間たちとともに、成長していく物語。
物語は、より子先生の人生物語を間にはさんだ2部構成になっています。
おすすめポイント
苦しいこと、悩んでいることを口にださなくても、「南部菱刺し」をとおして通じ合える仲間関係に癒されます。
2024年度、兵庫県・神奈川県・佐賀県の公立高校入試で出題された
『ゆうべの食卓』
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【著者】角田 光代
【出版社】オレンジページ
●あらすじ
11つの短編集
さまざま人生のひとコマ、暮らしの1ページを「食卓」というキーワードで紡いだ物語集。
新しい出発になる食卓、別れの食卓、ひとりの食卓、にぎやかな食卓。
どんな食卓であろうとも、食べることって「生きている」ことなんですね。
おすすめポイント
各短編には、それぞれのおいしそうな食事の風景が広がります。
2024年度、鷗友学園女子中学校の中学入試で出題された
2024年度、岡山県の公立高校の高校入試で出題された
【出題短編】「明日の家族」
『お菓子の船』
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【著者】上野歩
【出版社】講談社
●あらすじ
「おじいちゃんのつくってくれたどら焼き」を自分の手で再現したいと願う、女性和菓子職人の成長物語。
おじいちゃんのどら焼きを再現するため、いろいろと調べていくと、いままで知らなかったおじいちゃんの姿がみえてきます。
おすすめポイント
懐かしいどら焼きの味が教えてくれる、おじいちゃんの波乱万丈の人生や、「戦争」を知る、和菓子感動物語です。
2024年度、鷗友学園女子中学校の中学入試で出題された
『ナカスイ!海なし県の水産高校』
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【著者】村崎なぎこ
【出版社】祥伝社
●主人公
“脱普通”を目指す、高校生の鈴木さくら
●あらすじ
「普通」すぎる自分を変えるため、下宿までして、水産高校に入学した女子高校生の青春物語
●その他情報
続編あり『ナカスイ!海なし県の海洋実習』
おすすめポイント
主人公さくらの、「普通」すぎる自分への自虐ネタに笑えます。
入試にお使いくださった県内外の私立学校が複数あるようで、それも関係しているのか、ネット書店の在庫が無いようです。
間も無く再入荷されると思いますので、引き続きよろしくお願いいたします🐟#ナカスイ#祥伝社 https://t.co/dYLLNzfoUr— 村崎なぎこ (@utsunomiya1000y) February 17, 2024
『空とラッパと小倉トースト』
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【著者】オザワ部長
【出版社】学研プラス 音楽事業室
●あらすじ
福岡南部の山奥から名古屋にやってきた、高校生の天真爛漫な少女・天川美森(てんかわみもり)は、楽器未経験なのに、名門・愛知名晋高等学校吹奏楽部へ飛び込む!
えー、大丈夫なの?とおもいきや。
そこで驚くべきトランペットの才能に目覚めた美森は、それぞれ悩みを抱えた吹奏楽部の仲間達や、周りの人々たちとともに成長をしていくのです。
音楽の楽しさと苦しみが味わえる青春物語です。
おすすめポイント
トランペットを吹く天才少年・安曇響(あずみきょう)と、響にあこがれる美森。
ふたりの関係も気になります。
2024年度、長野県の公立高校入試で出題された
『水車小屋のネネ』
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【著者】津村 記久子
【出版社】毎日新聞出版社
●あらすじ
1981年、理佐18歳、律8歳のふたりの姉妹は身勝手な母親から独立して、新しい土地で新しい生活を始めます。
そこで姉妹が知るのは、人のあたたかさ、やさしい人たちとの交流、人の良心。
そんな彼女たちの40年にわたる人生物語です。
人生って捨てたもんじゃないな~と、しみじみ思えます。
おすすめポイント
ヨウムという鳥のネネが「いい味のある」キャラクターです。
2024年、豊島岡女子中学校の中学入試で出題された
『本売る日々』
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【著者】青山文平
【出版社】文藝春秋社
●あらすじ
3つの連作短編小説
時代は江戸時代後期。
主人公は、本屋「松月堂」を営む30歳半ばの平助です。
本屋の平助が月に1回、城下の店から外へ行商に出て、村の寺や手習所、名主の家を数日かけて回り始めると……。
お客さまを通じてなぜか不思議な事件に出会ってしまうのです。
江戸時代の言い回しや、江戸を生きる人たちの生活風景を想像するのはなかなか難しいのですが、慣れてくると物語のおもしろさに引き込まれます。
おすすめポイント
江戸時代後期を生きる人たちの生活、人生が、生き生きとよみがえる時代小説です。
2024年度、北海道の公立高校入試で出題された
出題短編:「初めての開板」
『勿忘草をさがして』
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【著者】真紀涼介
【出版社】東京創元社
●あらすじ
5つの連作短編集
熱中していたサッカー部を不本意なかたちでやめてしまった高校生の航大は、おしゃべりなお婆さんと、その孫の無愛想だが植物好きの大学生拓海と知り合い、植物に興味を持ち始めます。
植物とふれあいながら、今までの人間関係を見直し、自分と向き合い、前向きになっていく航大の青春物語です。
植物が絡んだ日常の謎を解決するミステリー仕立てになってます。
おすすめポイント
いきいきと育つ植物の「生きる力」、さらに植物を通じて感じる人の優しさに励まされます。
2021年度、栃木県・鹿児島県の公立高校の高校入試で出題された
『成瀬は天下を取りにいく』
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【著者】宮島未奈
【出版社】新潮社
●あらすじ
連作短編集
滋賀県大津市の女子高校生、成瀬あかりが、世間の当たり前や人の目は気にしない、自分で決めたことに全力で取り組む!
我が道をまっすぐに突き進む、女子高校生の青春物語。
●その他情報
続編『成瀬は信じた道をいく』あり
おすすめポイント
主人公、成瀬のしゃべり方や、自分らしさをつき通し、まっすぐに生きている姿勢がステキすぎて、愛おしくて、笑えます
2024年度、栄東中学校、豊島岡女子学園中学校、中央大学付属横浜中学校の入試で出題された
豊島岡女子学園中学校出題短編:「ときめき広州音頭」「線がつながる」
『すきだらけのビストロ うつくしき一皿』
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【著者】冬森灯
【出版社】ポプラ社
●あらすじ
7つの連作短編集
「芸術」のある場所に、期間限定で現れる、猫ぽいギャルソンと、シロクマのようなコックがいるキッチンカーのビストロ。
おいしい料理と、素敵な芸術が組み合わさった物語です。
新たな発見・知恵をくれたり、勇気や元気を与えてくれる、音楽、絵画、演劇といった芸術。
弱った心や体をあたため、栄養となり、生き返る元気を与えてくれるおいしい料理。
料理と芸術は、最強の組み合わせです!
ギャルソンとコックのふたり(兄妹)には秘密があったりと、ちょっとした謎も隠されています。
おすすめポイント
魔法にかけられたような、ファンタジーを楽しむような時間を味わえるステキな物語です。
2024年度、聖光学院中学校の入試で出題された
出題箇所はココ!
【出題短編】:「マエストロのプレジール」
『みつばの泉ちゃん』
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【著者】小野寺史宜
【出版社】ポプラ社
●あらすじ
連作短編集
片岡泉ちゃんの少女時代から大人になる(結婚する)までの人生物語です。
コンビニの店員さん、友だち、いとこ、恋人など、周りの人たちが、泉ちゃんについて語る設定になっています。(最後は泉ちゃんが語ります)
いい子でもなく、悪い子でもない、憎めない女子の泉ちゃん。
自分の分身のように感じてしまうかもしれません。
おすすめポイント
実は……。
泉ちゃんは、作者小野寺史宜さんの別の作品「みつばの郵便屋さん」シリーズに出ている人気登場人物です。
2024年度、広尾学園中学校の入試で出題された
『墨のゆらめき』
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【著者】三浦しおん
【出版社】新潮社
●あらすじ
老舗ホテルで働く実直な男、続(つづき)と、
自由奔放な書道家(イケメン)、遠田。
なにもかもが正反対の男ふたりの、友情×お仕事物語です。
老舗ホテルに勤める続力(ツヅキ チカラ)は、新しくホテルの筆耕士を依頼するため書家の遠田薫(秘密をもつ男)を訪ね、ひょんなことから遠田と二人で代筆業を請け負うことになります。
続(ツヅキ)と遠田、あまりにも正反対のふたりは素直にお互いを認め合えるようになるのか!
「書」の魅力もたっぷり味わえます。
おすすめポイント
笑いあり、涙あり、胸あつ、あり。
「小説っておもしろいな~」とつくづく実感できる物語でした。
2024年度、海城中学校の入試で出題された
『この夏の星を見る』
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【著者】辻村深月
【出版社】KADOKAWA
●あらすじ
連作短編小説
コロナ禍で、思い通り、例年通りにいかない生活に葛藤する中学生・高校生が全国の「天文部」の仲間たちとパソコンを通して交流し、顔すらみたことのなかった彼らは、星・宇宙を通じて友情を築いていきます。
人生は自分の思い通りに、計画通りに歩むことは難しいのですが、そんな人生をいかに楽しむのかを教えてくれます。
今、自分たちのできることを懸命に、前向きに楽しむ中高校生の青春物語です。
前評判通りに、2024年の中学・高校受験で多く出題されました。
おすすめポイント
中学高校生の必読本といっても過言ではありません!
2024年度、群馬県、埼玉県、東京都、愛知県、広島県の公立高校入試で出題された
2024年度、多数の中学入試で出題された
『ひとっこひとり』
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【著者】東直子
【出版社】双葉社
●あらすじ
12つの短編集
歌人(短歌をつくっている)の東さんらしい、言葉ひとつひとつを大切にしている物語が書かれています。
「大丈夫」「ごめん」「覚えてる?」「もういいよ」「なんで?」「ありがとうね」「きれい」などの、日常よく使う一言が短編タイトルに。
タイトルからは予想もつかない展開の物語もあり、つづきが気になる物語もあり。
笑い、感動、スリルもあり、飽きずに読めます。
言葉ひとつから、たくさんの想像をふくらませて読めるステキな物語集です。
おすすめポイント
朝読書におすすめの一冊です。
2024年度、海城中学校(帰国生)、滝川第二中学校の入試で出題された
『リラの花咲くけものみち』
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【著者】藤岡陽子
【出版社】光文社
●あらすじ
家庭環境に悩み、心に大きな傷を負っている少女、聡里(さとり)が、祖母とペットに支えられて獣医師を目指す!
北海道を舞台にした、涙なくして読めない感動たっぷり、少女の青春&成長物語です。
真剣に「命」と向き合うことで、動物たちや仲間が「生きること」を教えてくれます。
おすすめポイント
人生の不幸、壁にガンガンぶちあたりながら、自らの人生を変えてゆく少女のパワーに勇気をもらえます。
2024年度、山形県立高校の高校入試で出題された
『私たちの世代は』
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【著者】瀬尾まいこ
【出版社】文藝春秋社
●あらすじ
新型の感染症が広まったとき、小学3年生の女の子、岸間冴(きしまさえ)ちゃんと、江崎心晴(えざきこはる)ちゃん。
彼女たちは、別々の場所で、それぞれの悩みを抱えながら、まったく違う人生を送っています。
そんな少女二人が、大人になるまでの成長物語です。
感染症による社会生活の制限をから、経験したこと、生まれた感情はなんだったのか今でも覚えていますか?
我慢したこと、イヤなことだけではなく、あの時感じ、その後も続いている「愛」や「優しさ」がきちんとあったはずです。
そんな忘れてしまいそうな大事なことを、きちんと書きだしてくれています。
おすすめポイント
コロナ禍で感じたことって、あっという間に忘れちゃいそうな気がしませんか?
「忘れられない出来事、忘れちゃいけないこともたくさんあったよな」と感じている人におすすめの一冊です。
2024年度、東海中学校の入試で出題された
『百年の藍』
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【著者】増田実
【出版社】小学館
●あらすじ
国産ジーンズの聖地・児島(倉敷市)岡山デニムの物語です。
大正時代に起きた関東大震災から、現代2023年までの100年間にわたるジーンズの歩みが物語になった!
ジーンズだけでなく、ジーンズを取り巻く社会や文化、ファッションといった、日本の100年も同時に知れる近現代史物語としても楽しめます。
おすすめポイント
身近なファッションアイテム、ジーンズだからこそ興味しんしんで読めます。
2024年度、桜蔭中学校の中学入試で出題された
『八月の御所グラウンド』
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【著者】万城目学
【出版社】】文藝春秋社
●あらすじ
中編小説2編
①女子高校駅伝物語「十二月の都大路上下ル」
超絶方向音痴方向音痴の女子高校生、サカトゥーの物語
②野球物語「八月の御所グラウンド」
1日おきに早朝野球大会への出場する大学生の巧物語
●その他情報
続編あり『六月のぶりぶりぎっちょう』
おすすめポイント
歴史ある京都で体験する、不思議な現象物語です。
2024年度、田園調布学園中等部の中学入試で出題された
2024年度、山梨県・岐阜県・愛媛県の高校入試で出題された
出題箇所はココ!
どの学校も出題短編は同じでした
【出題短編】:「十二月の都大路上下ル」
☟作者の万城目学さんのつぶやき(どこの学校の問題なんだろうか?)
入試問題に採用された「十二月の都大路上下ル」、「まっすぐ進んで、一回だけ右!」と主人公がタスキを渡される場面で傍線が引かれ、ここでどんな問題が作れるの? と不思議に思って頁をめくると、駅伝コースマップが印刷され、主人公が走るコースはどれ? と選ばせる超アクロバティックな出題でした。
— 万城目学 (@maqime) March 4, 2024
『かたばみ』
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【著者】木内昇
【出版社】KADOKAWA
●あらすじ
本のぶ厚さに圧倒される!長編小説
第二次大戦中、戦後から高度経済成長期へと、考え方、生活、社会が大きく変わっていく、激動の昭和時代を生きた女性、悌子の生き方&家族物語です。
悌子をはじめ、登場人物ひとりひとりの生き方や考えが丁寧に書かれているので、いろんな人たちに感情移入しながら読みました。
人生はままならないけれど、「生きている」限りは誠実に生きたいと素直に思えるステキな本です。
おすすめポイント
500頁超の長編小説ですが、悌子の波瀾万丈の人生物語に入りこんで読んでしまいます。
2024年度、東京都立新宿高校の入試で出題された
『リカバリー・カバヒコ』
【著者】青山美智子
【出版社】光文社
●あらすじ
連作短編集
公園に置かれている、触ったところを治してくれるという都市伝説がある、カバの遊具・カバヒコをめぐる物語。
新築分譲マンション、アドヴァンス・ヒルに住む悩める住人がカバヒコに触ってみたら……。
カバヒコのパワーはいかほどか!?
おすすめポイント
読んでいると、自然と心が癒され、清浄されてい気がします。
これも「カバヒコ」効果なのかもしれません。
2024年度、甲陽学院中学校、芝中学校の中学入試で出題された
出題箇所はココ!
【甲陽学院中学校出題短編】:「勇哉の足」
『おあとがよろしいようで』
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【著者】喜多川泰
【出版社】幻冬舎
●あらすじ
大学進学で、群馬から上京した門田暖平は、とにかく自信のなく、今の自分が好きじゃない青年。
そんな彼が落語研究会に入って、忽那碧(くつなあおい)部長、部員たちと交流し落語の世界にハマり、成長していく青春物語です。
せっかく大学に入っても、やりたいこともないし、今の自分がイヤになるばかりの消極的男子が、明るい「落語」を聞き、語るようになると、どんどん前向きになっていきます。
巻末には本文中に出てくる落語の「演目」紹介があります。
おすすめポイント
「笑う」って、自分もだれかも元気にしてくれる最高のパワーです。
2024年度、東京都の公立高校入試で出題された
【入試出題本】中学生・高校生におすすめ 2023年発売 2024年入試に出た小説本リスト
【2024年入試出題本】から、2023年発売されたまだまだ新しい本で、中学生や高校生におすすめしたい小説を厳選しています。
読んだ後、友だちに紹介したくなる本ばかりです。
気になる本があったら、どんどん読んでみてね。
南部菱刺し教室物語
「食卓」物語集
和菓子感動物語
水産高校の青春物語
吹奏楽部の青春物語
40年にわたる姉妹&鳥の人生物語
本屋の時代小説
植物に勇気づけられる青春物語
我が道を突き進む、女子高校生の青春物語。
料理と芸術が組み合わさった物語
泉ちゃんの人生物語
正反対の男ふたりの友情×お仕事物語
今を生きる中高校生の青春物語
言葉を楽しむ物語
少女の青春成長、感動物語
感染症の時代を生きた少女の成長物語
国産ジーンズ物語
京都、不思議現象物語
昭和を生きた女性の生き方&家族物語
カバの遊具・カバヒコ物語
落語研究部、青春物語
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