中学・高校受験出題本のおもしろさにどっぷりにハマっている私が、おすすめしたい本を紹介します。
中学入試・高校入試で出題された柚木麻子さんの本を紹介します。
入試で出題されるから難しい本かと思いきや、柚木麻子さんの小説は、現実的で、自分が経験したような友情物語が繰り広げられます。
友情は、あなたにとって、かけがえのないもので、心を癒してくれること、励ましてくれることもあるかもしれませんが、一方では、人を傷つけ、心を病ませるほどの危険なもの。
そんな友情の良さと恐ろしさが表裏一体になった、柚木麻子の描く友情ワールドを楽しんでください。
私立の女子校、恵泉女学園中学校・高等学校の卒業生。『終点のあの子』がデビュー作。
【参考:柚木麻子wikipediaより】
『本屋さんのダイアナ』
●画像をクリックするとアマゾンへ
【著者】柚木麻子
【出版社】新潮社
●あらすじ
連作短編集
大穴と書いてダイアナと読む。
そんな、自分の名前が大嫌いなダイアナは、こんな名前をつけた母親が悩みのタネ。
小学校でも浮いた存在のダイアナは、本好きがキッカケで、自分とはまったく正反対の環境で育ったお嬢様育ちの優等生、彩子と親友になります。
ダイアナ(大穴)の小学校時代から社会人になるまでの青春・成長小説であり、本好きで仲良くなる彩子との友情物語です。
おすすめポイント
友情っていいなって素直に思える
2024年度、大妻多摩中学校の中学入試で出題された
出題短編:第1章「”ほんもの”の友達」
2021年度、千葉県の公立高校入試で出題された
出題短編:「呪いを解く方法」
本が好きな人には”たまらなく”もだえる物語です。
ダイアナと彩子を結びつけたものは「本」、二人とも本を読むことが大好きなんです。
小学生のふたりは『赤毛のアン』『秘密の花園』『おちゃめなふたご』『おてんばエリザベス』『ライ麦畑でつかまえて』『長くつ下のピッピ』など、本好きにはたまらない本たちを愛しています。
好きなものが同じなのが縁で、育まれていく友情がうらやましい!
成長してもふたりは本を愛していていますが、海外小説ジェーン・オースティンや「嵐が丘」がお気に入りの彩子、ダイアナは森茉莉、幸田文がお気に入りと趣味は異なっていきます。
そう、読書の方向性が変わっていくように、一度友情が生まれたからといってその友達と永遠に、いつも一緒の時間を過ごすは限りません。
友だち同志といえども、同じ人生・生き方を歩むことはありません。
それぞれにいろんなことが起きるし、それを友達だからすべてを共有するなんてできません。
それでも、好きなものを通して、一度築いた友情は消えることはない、ちゃんと存在していると思うだけで心強くなれると思いませんか。
『終点のあの子』
●画像をクリックするとアマゾンへ
【著者】柚木麻子
【出版社】文藝春秋社
●あらすじ
連作短編集
中高一貫の私立女子高校に通うクラスメイトたちが、順番に主人公になっていきます。
憧れ、嫉妬、自意識過剰。
女子心はいくつになっても、キラキラ、ドロドロと、いろんなものであふれている。
どの子にも、いろんな心の葛藤があるのです。
思春期真っ只中にいる彼女たちの、繊細なガラスのような心が上手に書きだされた青春物語です。
おすすめポイント
思春期女子たちの友情は難しい
2023年度、開成中学校の中学入試で出題された
出題短編:「フォーゲットミー、ノットブルー」
自分が思っていることと同じことを、クラスメイトたちも考えてるわけじゃない。
当り前なのに、クラスという一括りのなかにまとめられてしまうと、なんだか「みんなが同じ」のような気分になったことありませんか?
そこからはみ出る怖さ。
でも、そこのなかで「注目されたい」
でもでも、変に目立ってはいけない。
クラスという世界を必死に生きる女子たちの気持ちが、痛いほど心に突き刺さってきます。
友だちとの関わり方や距離感に悩んでいる人、違和感を感じている人にぜひぜひ読んでほしいです。
『らんたん』
●画像をクリックするとアマゾンへ
【著者】柚木麻子
【出版社】小学館
●あらすじ
女性教育者であり恵泉女学園の創立者、河井 道(かわいみち1877ー1953年)をモデルにした長編小説。
新渡戸稲造、津田梅子、平塚らいてう、山川菊栄、広岡浅子、村岡花子、さらには野口英世まで、次から次へと当時の有名人ぞくぞくと登場します。
そんな有名人たちと交流し、いろいろな考え方や思想を目にして、体験しながら、新しい女性教育に情熱を注ぐ河井道の人生物語です。
信念をもち、新しい女性の生き方を実現した河井道を生涯を支えた人はだれでしょうか?
おすすめポイント
友情が「生きる道しるべ」になる
戦争という争いが行われ、女性の社会的な権利(参政権)がなく、男子とおなじように教育を受け、自由に生きるのが制限されていた時代に生きた女性たち。
だからこそ、互いに助け合い、清らかに生き生きとパワフルに生きる女性たちの姿がまぶしのです。
とはいって、だから女の友情がカンタンに成り立つわけではありません。
同じように制約のある不遇な立場にいる女性でも、自分と違う考え方をもっている人も必ずいます。
でも、そんな女性同士の競い合いも、なぜかまた清らかなのです。
女性の友情は、ねっちりとしてウザイ、裏があるものと思っている人いませんか?
いえいえ、生涯にわたり欠けることのない尊い清らかな友情も確かに存在するんです。
『王妃の帰還』
●画像をクリックするとアマゾンへ
【著者】柚木麻子
【出版社】実業之日本社
●あらすじ
母親と二人暮らし、私立女子中の2年生範子ちゃん。
範子ちゃんはマイペースな仲間4人の地味グループにいたのですが、ある事件をきっかけにクラスの姫グループにいた王妃、滝沢さんが範子たちのグループに入ることになってしまいます。
中学女子の一大事!
女子のグループ問題が生み出す物語。
王妃、滝沢さんと、地味な範子ちゃんたちに「友情」は成り立つのでしょうか?
おすすめポイント
友だちグループが違うと友情は成立しないのか?
小学高学年、中学生といった思春期真っ只中のお年頃ともなると、学校のクラスといった世界のなかで、気の合う友達ができるか、一緒にいる友達ができるかが一番の心配ごとです。
大人になった私がようやく気づいたのは、客観的に考えれば、偶然に一緒になっただけの「クラス」という世界のなかで、気の合う友達を探すなんて奇跡に近いんということ。
だって、安心できるくらいのレベルの友達だって探すのは難しいと思いませんか?
自分が居心地のよいグループ・友達をみつけられたら、あなたはむちゃくちゃラッキーで、運がいい!くらいに思った方がいいです。
ちなみに、居心地のよいグループ・友達選びは、人にどう思われようとも関係ありません。
案外、第一印象では良さに気づかないことも多いです。
友だち関係にナイーブな気持ちになりがちな人に、ぜひ読んでみてほしいです。
『ナイルパーチの女子会』
●画像をクリックするとアマゾンへ
【著者】柚木麻子
【出版社】文藝春秋社
●あらすじ
バリバリ働く女性・志村栄利子(30歳)と、同い年の人気主婦ブログガー「おひょう」こと丸尾翔子との友情物語。
性格も生き方も正反対の二人だけど、お互いを助け合い、お互いを気遣い、心あたたまる友情が始まるのかと思いきや……。
恐ろしい友情物語へ!
おすすめポイント
「友だちがほしい」気持ちが、恐しさを生むなんて……。
「友だちがほしい」「友だちに気に入られたい」と思う気持ちが、空回りして、友情に失敗したことありませんか?
柚木麻子さんの本を読んでいると、友だちは自分の双子の片割れじゃないし、まして自分と瓜二つの人ではないという当たり前のことに「はっ」とさせられます。
自分と気が合うイコール、自分とそっくり同じ考え方や価値観をもっているではないのです。
すごく怖いけれど、認めたくない、信じたくないけれど、自分のなかに「友情失敗組」栄利子さんや翔子さんがいるような気がしてくるのです。
いや、ぜったいにいるはず!
「友情」が美しいものだと思っている人や、太宰治の「走れメロス」で友情物語の思考が終わっている人に、おすすめの一冊です。
そして「友だちがほしい」「友だちがいないとダメ」とずっと思っている人、必読本です。
☟テレビドラマ化しています
柚木麻子の描く女の友情物語 紹介した本リスト
中学入試・高校入試で出題された柚木麻子さんのおすすめ「友情物語」本を紹介しました。
お気に入りの本を見つけて、柚木麻子ワールドを楽しんでください。
あなたの好みの本を選んで読んでみてね。
友情の素晴らしさを知るなら☟
思春期女子の友情の難しさを知るなら☟
清く尊い女子の友情を知るなら☟
女子グループ問題を知るなら☟
友情が生み出す恐怖を知るなら☟
コメント