2025年春から夏(4月〜8月)に文庫本になった作品のなかから、中学生・高校生におすすめの本を紹介します。
今回おすすめするのは、なんと――
入試で出題された本ばかり!
「えっ、入試に出る本って、なんか難しそう……」「おもしろくなさそう……」とがっかりした人にこそ、読んでみてほしいんです。
せっかく本を読むなら、入試に出た本を読んでみませんか?
このブログでは、中学入試・高校入試で出題された本のなかから選んでいます。なぜなら……。

中学・高校受験出題本はとにかくおもしろい!
国語の専門家である国語の先生たちが選んだ本はどれも失敗なし!なのです。
朝の読書時間や、時間のある夏休みにぴったりの一冊を探してみてください。
どの本も、軽くて持ち運びやすくて、値段もお手頃な文庫本ばかり。気軽に読めて、しかも入試対策にもなるなんて、読まない理由がないですよね!
①2025年4月から8月に文庫本になり発売(3月発売が1冊あり)
②そしてごく最近(2022,2023、2024、2025年度)の中学入試、高校入試、大学入試で出題された本
『天使のにもつ』

自分の小さなころを思い出す?!
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【著者】いとうみく
【出版社】双葉社
●あらすじ
「子ども相手にてきとうに遊んでればいいんでしょ」
安易な気持ちで、保育園での職場体験を決めた風汰を襲った保育園児たちの脅威とは!?
保育園児たちと関わる時間が、風汰の考え方や生き方に新しい風をふきこみます。
中学2年生の風汰くんが、保育園で職場体験をした5日間の物語。
●文庫本発売 2025年3月

おすすめポイント
かつて自分も小さな幼児だったこと――すっかり忘れていませんか?
そんなあなたにこそ、ぜひ読んでほしい一冊です。
園児たちにふりまわされて、右往左往する風汰くんの姿には思わず笑ってしまいます。
(…でも、読んでいるうちに「自分もこうなりそう」と感じてしまうかも!?)
子どものような、ピュアな気持ちを思い出させてくれる、心あたたまるステキな物語です。
2025年度、駒場東邦中学校で出題された
☟児童書(文庫本ではない)で読みたいならこちら
『風の港』

旅にでなくても……
空港を舞台にした物語で旅行気分が味わえる
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【著者】村山早紀
【出版社】徳間書店
●あらすじ
4つの短編集
広い滑走路から飛行機が次々と飛び立っていく、あの爽快な瞬間。
出会いのよろこび、別れのさみしさ。
旅立ちを前にした、不安とわくわく。
そして、現実に戻るときの、ほんの少しのさびしさ。
そんな気持ちが入り混じる特別な場所――空港。
夢に破れた男性、本屋で働く女性、33年ぶりに再会する女友達、奇術師の老婦人。
空港で交差する、大人たちのちょっと不思議で心に残る出会いの物語。
●文庫本発売 2025年5月
2023年度、海城中学校の中学入試で出題された
出題短編:「旅立ちの白い翼」
2022年度、宮城県公立高校の高校入試で出題された
出題短編:「旅立ちの白い翼」

おすすめポイント
中高生にとっては「大人の物語」かもしれません。
でも、人生につまずいた人たちの気持ちに、きっと寄り添えるはずです。
さまざまな人間模様や、いくつもの感情が交差するドラマチックな空港。
その中をふんわりと吹き抜ける、やさしい風のような物語が、あなたの心にもそっと届きます。
『空をこえて七星のかなた』

すっきりした青空、夜空をを見上げたくなる
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【著者】加納朋子
【出版社】集英社
●あらすじ
短編集
広い宇宙の片すみ、地球という小さな星の上で――
「運命的な出会い」や「心に残る素敵な出会い」が描かれた物語。
もうすぐ中学生になる女の子、有名人の親をもつ中学生、天文部の高校生。
それぞれの思いや悩みを胸に、日々を過ごしています。
私たち人間は、たくさんの出会いを通して、まるで数珠つなぎのように、少しずつつながっていくのです。
そして、最後の短編では――思いもよらない驚きの事実が明かされます!
●文庫本発売 2025年5月
2023年度、東京都市大学等々力中学校の中学入試で出題された

おすすめポイント
感動したり、笑えたり、不思議なSF(サイエンスファンタジー)だったりと。
短編一つ一つの完成度が高くて、どれも面白いのですが……。
なんといっても、最後の短編につがなる衝撃!が魅力です。
『はるか、ブレーメン』

文庫本で500ページ越えの長編なので、長い夏休みの読書におすすめ
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【著者】重松清
【出版社】幻冬舎
●あらすじ
3歳のとき、母に捨てられた小川遥香。
高校2年生になった今、――天涯孤独。
そんな彼女が始めたのは、なんと「走馬灯(=人が死ぬ間際に見る人生の情景)」をつくる、ちょっと変わった旅行会社〈ブレーメン・ツアーズ〉での仕事!
そこでは、いろんな人の「人生最後の物語」をお手伝いすることに。
さて、どんな走馬灯がつくられていくのだろうか――?
そんな中、ずっと会えなかった“あの人”から突然の連絡が届く。
それは、遥香を捨てた母だった。
“記憶”ってなんだろう?
“思い出”って変わってしまうもの? それとも、変わらない何かがあるの?
走馬灯をつくる旅行会社〈ブレーメン・ツアーズ〉での心を揺さぶる、不思議でちょっと切ない物語。
●文庫本発売 2025年5月
2024年度、湘南白百合学園中学校の中学入試で出題された

おすすめポイント
「あれ?こんな思い出だったっけ?」
そんなふうに、記憶がいつのまにか変わってたことってありませんか?
もしかすると、自分にとって都合のいいように思い出を変えて、それに苦しんでいることもあるのかもしれない。
自分の思い出をふりかえってみたくなります。
『ガラスの海を渡る舟』

休み中は一緒にいる時間が増える
兄弟、姉妹ってどんな人?
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【著者】寺地はるな
【出版社】PHP研究所
●あらすじ
大阪で「ガラス工房」を営む、何もかも正反対の兄と妹の10年間の物語。
兄の道はコミュニケーションが苦手で、人に協調することが難しいが、その分自分らしい生き方をしている。
一方の妹の羽衣子は、何事もそつなくこなせるが、兄とは違い「自分らしい何かがない」と個性のない自分に悩んでいる。
正反対の二人は、共にガラス工房を継いでも意見が合わず、お互いにモヤモヤが絶えない。
そんな二人の関係を変えるのは「ガラスの骨壺が欲しい」という依頼だった。
●文庫本発売 2025年5月

おすすめポイント
同じ親から生まれたのに、どうしてこんなにもわかりあえないんだろうかと思うことありませんか?
そんな人におすすめの物語です。
傷つけたくないのに、傷つきたくないのに……。
キライとか好きとかじゃない。
不器用な兄妹ならではの、すれ違う気持ち、ぶつけ合う想いに涙がでてきます。
2023年度、高槻中学校の中学入試で出題された
三輪田学園中学校の帰国生入試で出題された
『黒蝶貝のピアス』

友達とあまり会わない休み中……
女の生き方、付き合い方、友情とは?
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【著者】砂村かいり
【出版社】東京創元社
●あらすじ
25歳を目前に、2度目の就職活動中の環。
一方、かつてアイドルだった菜里子は、芸能界を引退し、自分の会社を立ち上げていた。
そんなある日、環は就職面接の場で――なんと、あこがれの元アイドル・菜里子と再会する!
実は環、昔は菜里子に憧れて、芸能界を目指していた過去があって……。
年齢も、立場も、環境も、これまでの道のりも違うふたり、環と菜里子。
だけどそれぞれの「過去・現在・未来」と向き合いながら、一歩ずつ進んでいく――
そんな、まっすぐな想いが胸を打つ、ふたりの女性の物語。
●文庫本発売 2025年5月
2025年度、私立大学の大学入試で出題された
☟作者の砂村かいりさんのつぶやき
文庫版『黒蝶貝のピアス』をさっそく手に入れてくださった方々、ありがとうございます🦋
ちなみに本書は今年、某私立大学の入試問題の現代文で使用されました。「いや、金取んのかよ」で始まるシーン。「バタ会」の語を使って答える問題もあったりして、稀有な経験となりました!#新刊 #読書 pic.twitter.com/O1TYxSlZeW
— 砂村かいり (@sunamura_novel) May 31, 2025

おすすめポイント
気持ちがうまく伝わらない。相手のことを理解するのって、なんでこんなに難しいんだろう。
そんな、人類の“永遠の悩み”ともいえる「人間関係」が描かれた物語です。
読んでいると、「わかる、わかる!」と共感したり、
「え、そうなの?」とちょっと反発したくなったり、
「それで本当に大丈夫なの?」とドキドキしたり……。
長めの長編小説ですが、いろんな気持ちが自分の中でぐるぐるしながら、気がつけば、物語の中にどっぷり入りこんでいました。
『本売る日々』

江戸時代にタイムスリップ
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【著者】青山文平
【出版社】文藝春秋社
●あらすじ
江戸時代を舞台にした連作中編小説3編
舞台は江戸時代後期――。
城下町で本屋「松月堂」を営む30代半ばの平助は、月に一度、行商に出かけます。
村の寺や手習所、名主の家などを巡る中で、彼は思いがけず不思議な事件に巻き込まれてしまうのです……。
江戸の人々の暮らしや思いが、平助の目を通していきいき伝わってくる時代小説。
歴史が苦手でも大丈夫。
ちょっとしたミステリーと人情味あふれる物語が、あなたを江戸の世界へ連れて行ってくれます。
●文庫本発売 2025年6月

おすすめポイント
江戸時代の人たちの生活風景が新鮮です。
いくつになっても学ぶことが好きで、知識を求める、インテリジェントな大人たちの世界、その世界にひそむ”謎”をのぞいてみたい人におすすめの本です。
2024年度、北海道の公立高校入試で出題された
出題短編:「初めての開板」
『中野「薬師湯」雑記帳(2)』

食事つき下宿での暮らしを楽しむ
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【著者】上田健次
【出版社】朝日新聞出版社
●あらすじ
連作短編集
大学に入学するため上京した男子、手塚蓮が住み込んだ場所は、中野にある銭湯「薬師湯」!
レトロ感ある銭湯「薬師湯」の、食事つき下宿を舞台にした物語のシリーズ第2弾!
蓮が空き部屋に誘った、同じ大学に通う文矢くん。
なんと彼、甲子園のエースだった……。
そんな彼が野球を辞めざるをえなくなった心の傷は、薬師湯でいやされるのか?
●文庫本発売 2025年6月

おすすめポイント
思ったように上手くいかないと、生きるのにもがいている人、心が弱っている人におすすめです。
あたたかい銭湯のお湯と、下宿の仲間たちのやさしさ、そしておいしい食事があれば、だれもが元気になれるはずです!?
1作目の『中野「薬師湯」雑記帳』が入試で出題
2025年度、東京都立青山高校の高校入試で出題された
☟第一弾はこちら
『夏の体温』

自分のほんとうの気持ちをはきだそう!
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【著者】瀬尾まいこ
【出版社】双葉社
●あらすじ
3つの短編小説がはいった本です。
「夏の体温」
夏休みなのに、検査入院が長引いている小学3年生、瑛介の物語。
「魅惑の極悪人ファイル」
内向的な大学生の早智の物語。
小説家として活動している彼女が、小説のモデルに選んだのは、腹黒いと有名な男子学生、倉橋だった……。
➡この作品が特におもしろい!!
「花曇りの向こう」
中学1年生の教科書に載った、転校したばかりの中学生女子の物語。
●文庫本発売 2025年6月11日

おすすめポイント
自分の本当の気持ちを言うのって、かんたんそうで難しい。
特に親や身近な人、友達には、心配かけたくない、大切な人たちの前だからこそ、いい子でありたいと思ってしまいがちになってしまいませんか?
子どもだってけっこう気をつかっています!!
モヤモヤがいっぱい、本当の気持ちを叫びたいと思っている人に読んでほしい本です。
2023年度、暁星中学校ほかたくさんの中学の入試で出題された
出題短編:「夏の体温」
『ななみの海』

自分とはちがう境遇で生きる子を知る
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【著者】朝比奈あすか
【出版社】双葉社
●あらすじ
児童養護施設で暮らす、高校生のななみちゃんの成長青春物語。
現実の厳しさのなかでも、自分らしく生きることを決して忘れない!
ななみちゃんは決して下をむかず、後ろを振り向かず、前へ前へと進んでいくのです。
●文庫本発売 2025年6月11日

おすすめポイント
配られた人生カードに負けない!
ななみちゃんの「運命は自分で変えていく!」パワーに勇気づけられます。
2023年度、桐光学園中学校の中学入試で出題された
『風を彩る怪物』

音楽のすばらしさを知る
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【著者】逸木裕
【出版社】祥伝社
●あらすじ
第一章
音大に落ち、このままフルートを続けるかどうか悩んでいる陽菜が、オルガン制作をしている芦原さんと娘の朋子に出会う物語。
第ニ章
オルガン制作を続けていくか悩む朋子の物語。
どちらも「人」と「音楽」に関わることで、新しい自分に気づき、前進していく女性二人の成長物語。
●文庫本発売 2025年6月12日
2023年度、千葉県の公立高校入試で出題された

おすすめポイント
苦しいけれど、辛いけれど、でも……、音楽が好き、音楽をあきらめられない。
「音楽」に携わる人たちの心の迷い、音楽への愛が手に取るように伝わってきます。
音楽を愛する人たちは、強いです!!
『氷柱の声』

自分自身とむきあってみる
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【著者】くどうれいん
【出版社】講談社
●あらすじ
東日本大震災が起きたとき、伊智花は盛岡の高校生2年生だった。
実は、それほど地震の被害は受けなかったのに……。
まわりから、被災者としてみられる現実に「居心地が悪い」「違和感がある」とずっと感じているのです。
そんな伊智花が、女性として成長していく10年間の物語。
●文庫本発売 2025年6月13日

おすすめポイント
主人公伊智花の「本当の私を見て、本当の私の絵を見て」という”自意識過剰”というほどの気持ちが強い……。
大人の私はちょっと怖さすら感じちゃいましたが。
中学生や高校生が読んだらどう感じるのかな?と知りたい本です。
2022年度、麻布中学校、海城中学校の中学入試で出題された
麻布中、海城中とも出題箇所はほとんど同じ、伊智花の高校時代の部分
『この夏の星を見る(上)(下)』

この夏をムダにしない……。
映画と一緒に楽しもう!
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【著者】辻村深月
【出版社】KADOKAWA
●主人公
コロナ禍にいる天文部の中学・高校生
●あらすじ
星がつなぐ、ぼくらの青春――
全国の天文部メンバーと出会った、特別な夏。
コロナで行事が中止、思い描いていた学校生活はバラバラに。
なんだかモヤモヤする毎日を過ごしていた中学生・高校生たち。
そんな中、パソコンの画面越しに全国の「天文部」の仲間たちと出会った。
遠く離れていても、星や宇宙が大好な知らない誰かが、少しずつ「仲間」になっていく――。
将来のこと、部活のこと、夢のこと。
人生って思い通りにいかないことばっかりだけど、それでも前を向いて、今できることを全力で楽しもうって思えた。
これは、星空がつないだ等身大のリアルな青春の記録。
●文庫本発売 2025年6月17日

おすすめポイント
ようやく文庫化です。
もはや中学・高校生の必読本といっても過言ではありません!
映画化もされるので、さらに注目は集まりそう。
今年2025年の夏の一冊といえばこの本にまちがいなしです。
前評判通りに、2024年度の中学・高校受験で多く出題された
2024年度、群馬県、埼玉県、東京都、愛知県、広島県の公立高校入試で出題された
2024年度、多数の中学入試で出題された
☟2025年7月映画になります
☟2025年6月11日児童向けつばさ文庫でも出版されます
『成瀬は天下を取りにいく』

”我が道”をつきすすむユニークな女子高校生に出会う!
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【著者】宮島未奈
【出版社】新潮社
●あらすじ
連作短編集
滋賀県大津市の女子高校生、成瀬あかりが、世間の当たり前や人の目は気にしない、自分で決めたことに全力で取り組む!
我が道をまっすぐに突き進む、女子高校生の青春物語。
●その他情報
続編『成瀬は信じた道をいく』あり
大学生になる成瀬あかりに会える物語
●文庫本発売 2025年6月25日

おすすめポイント
全国の書店員さんたちが選ぶ【2024年本屋大賞】をとった話題作が文庫化!
成瀬あかりのしゃべり方、自分らしさをつき通し、まっすぐに生きている姿勢がステキすぎて、愛おしくて、笑えます。
2024年度、栄東中学校、豊島岡女子学園中学校、中央大学付属横浜中学校の入試で出題された
豊島岡女子学園中学校出題短編:「ときめき広州音頭」「線がつながる」
『答えは風のなか』

社会の表と裏に目を向けてみる
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【著者】重松清
【出版社】文庫は新潮社から出版
●あらすじ
10つの短い短い物語集
その問いに、正解はあるんだろうか?
読んでいて「うーん…」と考え込んでしまうような、大切な問題が次々と投げかけられます
主人公は小学生。
けれど、描かれているのは、子どもだけの世界じゃありません。
学校の自分の立ち位置
新型コロナへの考え方の違い
原発関連施設をめぐる意見で分断された町
友だちの家族が受ける社会的な差別
そして、認知症のおばあちゃんのこと。
どれも、今の社会で私たちがふと出会ってしまう“モヤモヤ”ばかり。
あなたなら、どう考えますか?
自分が「正しい」と思っていることは、みんなにとって「正しい」とは限らない
一緒に立ち止まって、考えてみたくなる1冊です。
●文庫本発売 2025年6月25日

おすすめポイント
え、こんなかわいいミロコマチコさんのイラスト(しかもカラー!)と、短いお話で、ここまで考えさせられるなんて……。
最初は「ほのぼの系かな?」と思ってたのに、読んでみたら心にズンとくる。人生って、「これが正解!」って言えないことばかり。
それが当たり前だけど、でもちょっとしんどい社会にひそむオモテとウラの現実を、やさしく、でもしっかり突きつけてくる物語。
読み終わったあと、自分はこれからどう生きていくんだろうって、ふと考えてしまった。
学校で、友達との間で、家族の中で、社会の中で、いろんな矛盾に気づきはじめた、大人へ一歩ちかづいている人たちにぜひ読んでほしい本です。
2023年度、神奈川学園中学校の中学入試で出題されたらしい(未確認)
7/2文庫化予定『すきだらけのビストロ うつくしき一皿』

料理×芸術のコラボを楽しむ
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【著者】冬森灯
【出版社】ポプラ社
●あらすじ
連作短編集
ちょっと不思議で、あったかい。
芸術と料理が出会うビストロへようこそ!
「芸術」のある場所に、期間限定で現れるふしぎなキッチンカーのビストロ。
そこには、猫っぽいギャルソンと、シロクマみたいなコックさんがいて。
心もお腹も満たされる絶品料理と、忘れられない音楽や絵画が楽しめます。
失敗したって大丈夫。
人はちゃんと変われるから。
おいしい食事と、心にしみる芸術が、ちょっと立ち止まっている人の背中をそっと押してくれる。
悩みながらも前に進もうとする人たちに届けたい、やさしくて温かい物語です。
●文庫本発売 2025年7月2日

おすすめポイント
食と芸術が、人の生き方や考え方を変えてくれる、ステキな体験が本を通してできます!
しかも、ギャルソンとコックのふたりには“秘密”があって……?
ちょっとミステリアスな展開も見逃せません!
2024年度、聖光学院中学校の中学入試で出題された
出題短編:「マエストロのプレジール」
7/2文庫化予定『エヴァーグリーン・ゲーム』

マイナーなゲーム「チェス」のおもしろさを知る
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【著者】石井仁蔵
【出版社】ポプラ社
●あらすじ
連作短編集
自分の運命にウンザリしたことがある人におすすめです。
章ごとに登場する人物が、どんどんリンクしていくおもしろさ!
飽きることない、スピーディーな物語展開。
想定外の衝撃。
日本ではマイナーな「チェス」でつながる、マイノリティといわれる人たちの物語です。
「死」「暴力」「過酷な運命」がたえずつきまとうなかに希望はあるのか!?
●文庫本発売 2025年7月2日

おすすめポイント
タイトルからドラマの「トリリオンゲーム」みたいなちょっとコミカルな物語かな?と思って読み始めたのですが、読んでいて辛いシーンもあります。
決して暗い話ではないのですが、心が少し弱っているときに読むと、ちょっとつらく感じるかもしれません。
まるでドラマを見ているかのようにテンポよく展開していくストーリーで、飽きずにどんどん読み進められます。
2025年度、浦和明の星女子中学校で出題された
7/9文庫化予定『モノクロの夏に帰る』

戦争について考える
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【著者】額賀澪
【出版社】中央公論社
●あらすじ
連作短編集
戦争を知らない若者たちが、自分の目で「戦争」と向き合う。
セクシュアルマイノリティの書店員
保健室登校の女子中学生
家族にコンプレックスを持つテレビマン
アメリカから来た高校生と、福島から来た高校生――
彼らは、戦中・戦後の写真をカラー化した1冊の写真集『時をかける色彩』をきっかけに、それぞれの立場や視点から「戦争とは何か」を考え始めます。
現代を生きる若者たちが、「いま」の自分の目で戦争を見つめ、自分なりの答えを探していく――そんな4つの連作短編集です。
●文庫本発売 2025年7月9日
☟作者の額賀澪さんのインスタグラム
額賀さんのこの本への想いが書かれています。

おすすめポイント
戦争を体験したひとたちから直接戦争の話を聞くことは減り、戦争が歴史の1ページとなり、どんどん風化している今こそ読んでおきたいです。
「今」の自分で、現代から、戦争をみつめてみたら……。
「知ること」「考えること」「感じること」の大切さをかみしめたときに、それはきっと、今を生き抜く力になるはずです。
2023年度、神奈川学園の中学入試で出題された
7/29文庫化予定『らんたん』

明治~昭和初期を生きた女性の生き方を知る
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【著者】柚木麻子
【出版社】新潮社
➡文庫は新潮社から出版される
●あらすじ
女性教育に情熱を注いだ河井道――その生き方とは?
女性教育者であり、恵泉女学園の創立者でもある河井道(かわい みち/1877〜1953)をモデルにした長編小説です。
有島武郎、新渡戸稲造、津田梅子、平塚らいてう、山川菊栄、広岡浅子、村岡花子、そして野口英世まで――当時の有名人たちが次々と登場し、河井道の人生と交差していきます。
多くの人との出会いを通して、さまざまな考え方に触れながら、河井道は新しい女性の生き方と教育を切り開いていきます。
そのなかで彼女を支えた“大切な人”とは――?
信念と情熱にあふれた、ひとりの女性の人生に触れる一冊です。
●文庫本発売 2025年7月29日

おすすめポイント
女性に参政権も自由な教育もなかった、制限のある時代を、強く、しなやかに生きた女性たち。
助け合い、前を向いて生きた女性たちの姿は、とてもまぶしい!
でも、だからといって、女同士の友情がいつもスムーズなわけではありません。
考え方の違いにぶつかることもあれば、競い合うこともあります。
でも、そこには不思議と清らかさがあるのです。
「女の友情って、面倒くさそう」なんて思っている人にこそ読んでほしい。
一生続く、本物の友情がここにあります。
2024年度、森村学園中等部の中学入試で出題された
8/7文庫化予定『カレーの時間』

辛いカレーを食べよう
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【著者】寺地はるな
【出版社】実業之日本社
●あらすじ
不器用な祖父と孫、それぞれの視点で語られる心ゆさぶる物語。
桐矢(25歳・男性)は、小さいころから祖父が苦手。
口を開けば文句と悪口ばかり。
パワハラ・セクハラまがいの発言も多くて、時代錯誤もいいところ。
しかも家の中は信じられないほど散らかっていて、親戚や近所の人たちからも疎まれている存在――それが桐矢の祖父。
そんな祖父と、ある事情で一緒に暮らすことに!
「無理、無理」と思っていたのですが。
一緒に暮らし始めて少しずつ見えてきたのは、今まで知らなかった「本当の祖父の姿」でした。
そのきっかけは――カレー!?
●文庫本発売 2025年8月7日

おすすめポイント
意図せずだれかを傷つけてしまう、そして意図せず自分が傷ついてしまう。
そんな不器用な生き方しかできない、祖父と孫の関係を結びつけてくれるのはカレー。
読めば読むほど、カレーが食べたくなります。
2023年度、滝川高等学校の高校入試で出題された
【2025年春夏】文庫本になった入試出題小説
2025年春夏に文庫本になった入試出題本を紹介しました。

あなたの好みの本を選んで読んでみてね。
中学男子が保育園で職場体験をした5日間の物語
☟児童書(文庫本ではない)で読みたいならこちら
空港で交差する、大人たちのちょっと不思議で心に残る出会いの物語
宇宙につながる!「運命的な出会い」や「心に残る素敵な出会い」が描かれた物語
走馬灯をつくる!?旅行会社での不思議でちょっと切ない物語
「ガラス工房」を営む、なにもかも正反対の兄と妹の10年間の物語
年齢も、立場も、環境も、これまでの道のりも違うふたりの女性の物語
ちょっとしたミステリーと江戸に生きる人たちの人情味あふれる時代小説
レトロ感ある銭湯「薬師湯」食事つき下宿を舞台にした物語のシリーズ第2弾!
☟第一弾はこちら
人気作家瀬尾まいこさんの3つの短編小説集
児童養護施設で暮らす高校生のななみちゃんの成長青春物語
音楽をあきらめない女性ふたりの成長物語
東日本大震災で被災した女子高校生が女性として成長していく10年間の物語
星空がつないだ等身大のリアルな青春の記録物語
☟2025年6月11日児童向けつばさ文庫でも出版されます
我が道をまっすぐに突き進む女子高校生の青春物語
私たちがふと出会ってしまう“モヤモヤ”を考えてみたくなる1冊
芸術と料理がコラボしたビストロ物語
マイナーな「チェス」でつながるマイノリティな人たちの物語
現代を生きる若者たちがみつめる戦争とは?物語
信念と情熱にあふれた女性の人生物語
カレーでつながる不器用な祖父と孫の物語
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