2021年の多数の中学入試で『朔と新』が出題された作家いとうみくさんの作品『ちいさな宇宙の扉のまえで』を紹介します。
タイトルからはわかりにくいのですが、『ちいさな宇宙の扉のまえで』は『糸子の体重計』の続編作品です。
『糸子の体重計』もつなげて読むと物語は何倍にも楽しめますので、2冊セットで紹介しますね。
中学受験に関係なしに、物語として面白い本だよ
『糸子の体重計』
【著者】いとうみく
【出版社】童心社
『糸子の体重計』はこんな本
- 主人公:小学5年生、クラスメイトの5人
- 同じクラスの5人が主人公になっていく連作短編集
- 『ちいさな宇宙の扉のまえで』の前作品
主人公になる同じクラス5人はこちらです。
①細川糸子
転校生をかばったらクラスの女子にからまれダイエットをすることになった天真爛漫な性格
②町田良子
友達を信じられないクラスの女王さま存在
③高峯理子
思ったことをはっきり言えない自分に自信がない
④坂巻まみ
町田さんの親友の座をキープし続けるために、他の友達が邪魔でしょうがない
⑤滝島径介
明るくて元気でクラスの人気者だが、実はお母さんのことで悩んでいる
子どもって元気いっぱいで無邪気にみえても、心のなかでは友達のこと、家族のこと、自分のことで悩みがいっぱいなんですよね。
糸子を中心にクラスの5人それぞれが、悩みから一歩踏み出し、成長していく姿はたくましくもあり「がんばれ!」と応援したくなっちゃいます。
「あ~、こんな子いるよな」「自分と似てるな」と思いながら読める物語です。
*第46回日本児童文学者協会新人賞
『ちいさな宇宙の扉のまえで: 続・糸子の体重計』
【著者】いとうみく
【出版社】童心社
【出版年】2022年5月
『ちいさな宇宙の扉のまえで: 続・糸子の体重計』はこんな本
- 主人公:小学校6年生 クラスメイトの5人
- 同じクラスの5人が主人公になっていく連作短編集
- 前作『糸子の体重計』と同じ子どもたちに再会できる
- 前作から読むと、続編は何倍も楽しめる
前作『糸子の体重計』から1年上級生、6年生になった糸子たちに再び会えます!
今回の主人公になる5人はこちらです。
①細川糸子
入院シーンから始まるが、ご心配なく。
相変わらずマイペースで元気いっぱいの糸子ちゃんだったけれど、転校生の日野さんのべったり態度にちょっとウンザリ気味。
②日野恵
転校生。親友をつくろうと必死な女の子。
③町田良子
プロのバレリーナ―を目指している良子ちゃん。バレエのオーディションと修学旅行が重なってしまった!どちらをとるのか?
④坂巻まみ
私って同性の町田さんに恋をしているのかな?
⑤滝島径介
中学受験をする友達にモヤモヤ。二人暮らしの大切なお母さんにもモヤモヤ。
前作で登場した、自分に自信がない高峯理子ちゃんは今回主人公ではないですが、物語にちょいちょい登場します。
高峯理子ちゃんは、人の気持ちを考えられて、さらに自分の気持ちや意見をきちんと友達に伝えられるほど大きく成長していました。
主人公にはなっていませんが理子ちゃんにも注目して読んでくださいね。
もちろん、今回も糸子ちゃんをはじめみんなが自分の悩みときちんと向き合って、人生を前進し続けています。
友達や両親からアドバイスをもらいながら、確実に大人に近づいている彼らが頼もしく感じました。
『糸子の体重計』もそうでしたが、『ちいさな宇宙の扉のまえで』でもクラスの先生の影がうすいのもこのシリーズの特徴かなと思います。
児童の問題を、友達どうしで上手く解決していくのです。
物語の最後は、町田さんが読む卒業式の答辞になっています。
あ~、このメンバーともお別れなのかと思うとさみしいです。
まとめ
【2023年中学入試で出題されそう】な本、『糸子の体重計』と続編『ちいさな宇宙の扉のまえで』を紹介しました。
どちらの本も5人の悩みを乗り越え成長していく姿が書かれています。
『ちいさな宇宙の扉のまえで』は、『朔と新』で2021年中学受験界に旋風をおこした、いとうみくさんの作品ですので、2023年以降の中学入試出題物語として大注目作品です。
(5月出版なので2023年度中学入試出題作品としてはギリギリかな?とも思いますが、ここ数年の傾向として直近に出版された作品はねらい目なので大注目しています。)
また物語自体もおもしろいので、【中学入試・中学受験】に興味のない小学高学年・中学生にもぜひぜひおすすめの本です。
悩めるクラスメイトたちは自分に似ていれば共感しながら読めますし、自分とまったく違えば「こんな人たちもいるんだ」「こんな風に考える人もいるんだ」と他の人(クラスメイト)の気持ちを想い合えるように読めます。
ぜひ『糸子の体重計』『ちいさな宇宙の扉のまえで』セットで読んでみてくださいね。
糸子が純粋でいい子なのよ
おもしろいから読んでみてね
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