『答えは風のなか』は、小学高学年から中学生の朝読書・読書感想文におすすめの本です。
自分が「正しい」と思っていることは、みんなにとって「正しい」とは限らない
学校で、友達との間で、家族の中で、社会の中で、いろんなことに気づきはじめる、大人へ一歩ちかづいている小学校高学年・中学生にぜひ読んでほしい本です。
児童書、ヤングアダルト(YA)ブック、中学受験出題本のおもしろさにどっぷりにハマっている私が、実際に『答えは風のなか』を読んで紹介します。
『答えは風のなか』重松清
【著者】重松清
【出版社】朝日出版社
*ルビつき
*ミロコマチコさんのカラーイラスト多数!
- 主人公:いろんなことに悩む小学生の男女
- ページ数:288ページ
- テーマ:家族 成長 「正しいこと」とは? 「幸せ」とは?
朝読書おすすめ7つのポイント
<Q1>文章量・形式・注意シーンは?
- 物語の形式:短編小説
- 物語のボリューム:短め小説が10編
- 注意シーン:なし
短編小説なので、短い朝読書タイムに読みやすいです。
<Q2>小学校高学年向き?中学生向き?
小学高学年から読めます。中学生にもおすすめです。
<Q3>主人公はどんな子?
小学生の男の子、女の子
学校の自分の立ち位置、コロナ禍での人の考え方、地域の人たちのいろいろな考え方、認知症になった祖母の幸せとは?など
日常にふとわきあがる悩みにぶつかった、大人へ向かって歩き出した子どもたち
<Q4>作者はどんな人?
作者は、重松清さん
【代表作】
1999年『ナイフ』で坪田譲治文学賞を受賞。
1999年『エイジ』で山本周五郎賞を受賞。
2000年下半期『ビタミンF』は直木賞を受賞
多数の作品がある。
小中学生向けの作品も数多く書いている。
中学入試では毎年必ずといっていいほど、重松清さんの作品から出題されます。
2022年の中学入試では『カレーライス』の「バスに乗って」、『日曜日の夕刊』の「さかあがりの神様」、『小学5年生』の「友だちの友だち」、2021年には『ステップ』といった作品が出題されました。
<Q5>読書中や読んだ後どんな気分になる本?
いろんなことを考えちゃう
自分ならどうしよう
「正しい」って何だろう?
<Q6>どんな小学高学年・中学生おすすめ?
●本を読むのに慣れていない・本を読むのが苦手な小学校高学年・中学生
●社会のいろんなことに興味がある小学校高学年・中学生
●最近、大人の行動が気になる・疑問に思う小学校高学年・中学生
<Q7>朝読書におすすめ度数は?
3段階【1.難しい 2.挑戦してみて 3.ピッタリ】のうち「3.ピッタリ」
いろんな立場の子どもや大人の気持ちが丁寧に書かれている物語が集まった本です。
社会の一員になる一歩手前の小学高学年・中学生にぜひ読んでほしい本です。
『答えは風のなか』は、小学高学年・中学生の朝読書におすすめの本です
読書感想文のテーマ
『答えは風のなか』を読んで読書感想文を書くときにテーマになりそうなものを選んでみました。
- 自分と近い体験をしている子どもはいた?
- ひとつの物語を選んで、自分だったらどんな行動をするか?どう思うか?を考えてみよう
- 一番気になった作品は?それはどうして?
- 気になった物語について親と友達と意見を交わしてみて。同じ考えになるかな?
- 1年後、3年後、5年後、10年後と節目の年にまた読んでみて。考え方がちがっているかな?
自分なりに感想文が書きやすいテーマを選んでみてね
あらすじ・感想
日常の生活のなかで、ふいにぶつかる「あれ?」という疑問や悩み。
ちょっとしたことこそが、実は簡単に答えがでない難しい問題だったりするのです。
①「いいヤツ」
主人公:小学5年伊藤くん
クラスの人気者中村君から「いいヤツ」といわれて嬉しかったけれど、あれ?いいように利用されている?と思い始めた 頼りにされる、頼られるの違いって何だろう
②「おばあちゃんのメモ」
主人公:小学6年ミドリちゃん
コロナ禍の話 おばあちゃんのお財布の中に入っていたメモ「延命治療はいらない、治療薬や高度医療は若い子へ譲る」を見つけて悲しくなる孫のミドリちゃん
③「ふるさとツアー」
主人公:小学6年カズキくん
原発関連施設「お城」をめぐる意見で分断された町に住む どっちが正しいのかわからない
④「ぼくらのマスクの夏」
主人公:小学6年ハルヒコくん
コロナ禍の話 行事がすべて中止 野球の試合も中止 ウィルス感染に対する考え方の違いななにが正しいのかわからない
⑤「しあわせ」
主人公:小学生の翔太くん
修学旅行のお土産をホームにいるおばあちゃんに渡しにいく 認知症のおばあちゃんは幸せなのか?と考えてしまう
⑥「いちばんきれいな空」
主人公:小学生のヒロシくん
自信作の空の絵を先生から書き直す?と聞かれる
⑦「ケンタの背中」
主人公:小学3年ケンタくん
再婚によって母になった新しいお母さんが知る、ふだんはいい子のケンタくんにある闇
⑧「おねえさんが教えてくれた」
主人公:小学5年凜々花ちゃん
お正月の親戚の集まりに母が行きたくないと言いだした
⑨「タケオの遠回り」
主人公:小学6年ヒロシくん
友達のタケオくんが帰り道を遠回りするようになったのには理由があった 「あっちの国」の人が関係しているみたい 普段はやさしい商店街のひとたちの差別に驚く
⑩「あきらめ、禁止。」
主人公:小学6年の臨時担任になったテツヤ先生
子どもに決めさせた目標をめぐって大騒ぎになる
【出版社のあらすじより】
この気持ちは、なんだろう?
はじめて感じる胸のモヤモヤ。
過ぎ去ってしまったあの頃のこと。
いま、心のなかにある感情は
これからどこに行くのだろう。家族、友だち、社会。
胸がぎゅっと苦しくなったとき。
頭でも、心でも、わからなくても、きみといっしょに考える。
この世界を、ずんずん歩いていくために。『きみの町で』に続く10の物語。
自分の「正しい」が、みんなにとって「正しい」とは限らない
「あ~、さすが重松さん」とつぶやいてしまう物語集です。
子どもの気持ちを上手に書いています。
「自分のことだ!」と思ってしまう子どももいるはずですし、大人が読むと、「あ~こんな風に思ったことあったな」と必ず思うはず。
物語には、なにが「正しい」とは書いていないから、自分で自分の気持ちや考えを自由に決めればいいようになっています。
「正しいこと」は時代や年齢とともに変化するかもしれないし、決められないならそれでいいし、人の意見を聞いて考えを変えてもいいと思います。
何よりも、とにかく考えてみること、自分とは違う考えの人もいることを知っておくだけでもいいのではないでしょうか。
一年に一回、人生の節目ごとにこの本を読んでみると、自分の成長によって考え方が変わっているかもと思うとおもしろいです。
まとめ
重松清さんの『答えは風のなか』は、朝読書タイムに読む本、読書感想文を書く本としておすすめです。
いろんなことに気づきはじめる、大人へ一歩ちかづいている小学校高学年・中学生にはぜひ読んでほしいです。
自分が「正しい」と思っていることは、みんなにとって「正しい」とは限らない
『答えは風のなか』は、社会のなかで生きていくのに知っておくべきことを教えてくれる本でした。
今回紹介した本『答えは風のなか』はこちら
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