好きなのかまだわからないけれど気になる人がいる
好きで好きでたまらない人がいる
嫌いなのに気になる~人がいる
好きな人も気になる人も登場していないよ!
現実の恋の状況はいろいろだと思いますが、朝読書の時間も”恋”にどっぷりとハマってみませんか?
中学生・高校生が共感しやすい同年代や年代の近い男女が主役になった恋愛小説なので、あなたの恋に役立つアドバイス、テクニックが書かれているかもしれませんよ。
児童書、ヤングアダルト(YA)ブック、中学受験出題本のおもしろさにどっぷりにハマっている私が、実際に読んでおすすめしたい本10冊を紹介します。
『9月9日9時9分』
【著者】一木けい
【出版社】小学館
*アマゾンに試し読みあり
- 主人公:バンコクからの帰国子女 高校1年生の漣
- 恋の相手:同じ学校の先輩朋温(ともはる)
- せつない恋
まずおすすめしたいのは、切ない恋の物語。
障害があるほど、恋って燃えるものです。
数年前に大騒ぎになった皇室の結婚騒動でも証明されているわよね~
表紙だけみると、子ども向けなのかな?と思う本なのですが、ストーリーが奥深いんです。
もし自分が漣ちゃんと同じ立場になったら、と思うと胸がはちきれそうになります。
切なさと虚しさ、でも好きな気持ちはどんどん大きくなるし。
ちなみに私は二人の恋の結末に納得できませんでした。
ただお互いに好きだからだけで付き合える、まして結婚できるわけじゃない。そういかない恋だって山のようにあるんだよな~としんみり考えてしまいました。
● 夫婦DVの辛い状況の描写あり
バンコクからの帰国子女である高校1年生の漣は、日本の生活に馴染むことができないでいた。そんななか、高校の渡り廊下で見つけた先輩に、漣の心は一瞬で囚われてしまう。漣は先輩と距離を縮めるが、あるとき、彼が好きになってはいけない人であることに気づく。それでも気持ちを抑えることができない漣は、大好きな家族に嘘をつくようになり……。忙しない日本でずっと見つけられずにいた、自分の居場所。それを守ることが、そんなにいけないことなのだろうか。過ぎ去ればもう二度と戻らない「初恋」と「青春」を捧げ、漣がたどり着いた決意とは。
『黄色い目の魚』
【著者】佐藤多佳子
【出版社】新潮社
*アマゾンに試し読みあり
- 主人公:家族や学校に居場所を感じられない、叔父だけに心を許している村田みのり(小学校時代から高校時代)
- 恋の相手:高校時代 絵を描くのが好きなサッカー部の木島悟
- どんな恋?:これが恋なの?芽生える相手を想う心に戸惑う恋
- 中学入試で出題されている作品
「恋っていいですね~」
そうつぶやいてしまう、ピュアな高校生二人の恋です。
自分の気持ちが恋なのかどうかわからない
そんな気持ちって経験したことありませんか?あの胸がキューンとするけれど、私大丈夫!?と自分で自分が心配になっちゃうような感じ。
そう、あの気持ちがあふれでた物語です。
一見、恋に慣れてそうな木島くんが、みのりを前にするとどうしていいかわからなくて、似顔絵を描くしかできなくなっちゃう。
「ヒマなとき何しているの?」とクラスメイトに聞かれた木島くんが、ごく自然に「みのりの絵を描いている」と答えるシーンなんて、ドキドキが止まりませんでしたよ。
『黄色い目の魚』は連作短編集のようになっていて、前半はみのりの小学・中学時代の物語です。みのりと木島くんが出会うのは高校生になってからです。
*性的シーンや、それを表すシーンがあり
『黄色い目の魚』は中学入試でも出題されている本です。
2021年は大宮開成中学校で出題されました。
出題箇所は、高校2年のみのりと木島くんの会話シーン。木島くんがみのりに、みのりの絵をずっと描いていると告げるシーンです。
海辺の高校で、同級生として二人は出会う。周囲と溶け合わずイラストレーターの叔父だけに心を許している村田みのり。絵を描くのが好きな木島悟は、美術の授業でデッサンして以来、気がつくとみのりの表情を追っている。友情でもなく恋愛でもない、名づけようのない強く真直ぐな想いが、二人の間に生まれて――。16歳というもどかしく切ない季節を、波音が浚ってゆく。青春小説の傑作。
『世界は「」で沈んでいく』
【著者】櫻いいよ
【出版社】PHP出版社
*アマゾンに試し読みあり
- 主人公:中学1年生の凛子
- 恋の相手:同じクラスの将輝(まさき)
- なぜか惹かれ合ってしまう恋
見た目も性格もぜんぜん違うのに、なぜか惹かれ合ってしまう二人。
恋する二人は、心のうちが似ているのを直感的に感じてしまうのでしょうか。
派手な見た目で友達も多くいて、いつも笑っている将輝だけど、本当はさみしがりや。
そんな将輝の姿を知ったら、凛子だけじゃなくても恋に落ちちゃいそうです。
見た目とのギャップは恋を生み出す一因であるのは間違いなし!
これって恋のテクニックになるかしら?
好んでひとりで過ごしていたのに「いじめられている」と誤解され、都会から海辺の町に引っ越すことになってしまった、中学1年生の凛子。家族を心配させまいと、今度こそ「友だち」を作ろうと努力するが……。
「友だちは本当に必要か?」悩みもがきながらも、自分なりの答えを探していく――。胸が締めつけられる青春小説。
『うさぎパン』
【著者】瀧羽麻子
【出版社】幻冬舎
*アマゾンに試し読みあり
- 主人公:高校1年優子
- 恋の相手:クラスメイトの高田君
- かわいい恋
- 物語は短めで読みやすいので、本を読むのが苦手な人におすすめ
とっても可愛らしい二人の、ほんわかしちゃう恋の物語です。
パンが好きな二人は、パンめぐりをしながらお互いの距離を縮めていきます。
好きなものが同じって恋に発展するのに、大きな要因ですよね。
つまり、好きな相手の好きなものを好きになれば、恋に発展する確率が高くなるってこと!
まずは気になる相手の好きなものリサーチから始めてみては。
継母と暮らす15歳の優子は、同級生の富田君と初めての恋を経験する。パン屋巡りをしながら心を通わせる二人。そんなある日、意外な人物が優子の前に……。
『おいしくて泣くとき』
【著者】森沢明夫
【出版社】角川春樹事務所
- 主人公:中学3年心也
- 恋の相手:クラスメイトで幼なじみの夕花
- どうにもならない恋
- 中学入試で出題されている作品
5冊目は男子が主役の物語です。
『おいしくて泣くとき』は、2022年東大生を多く輩出するので有名な「開成中学校」の入試問題で出題され話題になった本です。
入試問題では心也が同級生から嫌がらせを受けるシーン、父と息子の会話のシーンが出題されましたが、実はこの本は恋の物語なんです!
家庭に問題を抱えている夕花が気になっている心也。
ある日ふたりはわずかな間でも現実から逃げだそうと電車に乗り、逃避行をします。
お互いを思い合う気持ちは伝わっている。
けれど、夕花を助けてあげられないもどかしさと自分のふがいなさを感じている心也。
自分の家庭環境は、今の自分や心也では、どうにもならないとわかっている夕花。
ふたりの気持ちは、恋だけじゃなくて、どうにもならない気持ちでいっぱいなのです。
一番初めに紹介した『9月9日9時9分』の二人もそうだけど、好きという気持ちだけじゃどうにもならないことが生きていくなかではあるんですよね。
「せめて二人でいるこのときは幸せであってほしい」と願ってしまう若い二人の恋でした。
物語の結末にはビックリするので、ぜったい最後まで読んでください。
無料で「こども飯」を提供する『大衆食堂かざま』。
店のオーナーの息子・心也は、怪我で大好きなサッカーができなくなり、中学最後の夏休みを前に晴れない気持ちを持て余している。
また心也は、時々こども飯を食べにくる同級生のことを気にしていた。
一人は夕花。クラスから疎外され、義父との折り合いも悪い。もう一人は金髪パーマの不良、石村。
友情と恋心、夏の逃避行。大人たちの深い想い。
〈子ども食堂〉から始まる思いやりの連鎖が、温かな奇跡を呼ぶ
『潮騒』
【著者】三島由紀夫
【出版社】新潮社
- 主人公:母と弟と三人で暮らす貧しい漁師18歳の新治
- 恋の相手:お金持ちの娘、初江
- どストレートな恋
三島由紀夫なんて読みたくない!、読むの難しそうと思う人が多いはずです。
私も高校生の時に「金閣寺」を読んでさっぱり意味がわからず、三島由紀夫を諦めていましたが、大学生のときに『永い春』を読んで一気に三島由紀夫にハマりました。
『潮騒』は小さな静かな島が舞台になった、貧しい漁師の新治と、お金持ちの娘で海女の仕事もする初江の恋愛物語です。
主人公の新治と初江が小屋で、たき火をはさんで会話を交わすシーンはドキドキが止まらないはず。
今どきの草食男子にはかもしだせない、男の魅力たっぷりの新治の姿にうっとりしながら読んじゃいます。
二人の恋愛を邪魔する人が登場したり、家族に恋愛を反対されたりと、そう簡単にはいかない新治と初江の恋愛なのですが、だからこそ、ふたりの愛は深まっていくのです。
そう、現代物語では想い合っても報われない恋が書かれるのが多いのですが、『潮騒』は「恋に障害なんて通用しない!」といった、どストレートの恋愛物語なんです。
ただただ恋愛の美しさ、楽しさ、困難すら二人で乗り越えれば幸せといった恋愛の醍醐味をたっぷり味わえます。
三島由紀夫なんて」と思っている人にこそ、読んでほしい本です。
古代の伝説が息づく伊勢湾の小島で、逞しく日焼けした海の若者新治は、目もとの涼しげな少女初江に出会う。にわかに騒ぎだす新治の心。星明りの浜、匂う潮の香、触れ合う唇。嵐の日、島の廃墟で二人きりになるのだが、みずみずしい肉体と恋の行方は――。
困難も不安も、眩しい太陽と海のきらめきに溶けこませ、恩寵的な世界を描いた三島文学の澄明な結晶。
『読書嫌いのための図書室案内』
【著者】青谷真未
【出版社】早川書房
*アマゾンに試し読みあり
- 主人公:本を読むのが苦手な荒坂浩二
- 恋の相手:クラスメイトの本好き藤生蛍
- 好きな人をもっと知りたくなる恋
出版社を見て「あれ?」と思った人もいるはず。
そう、この本は、ミステリーも絡んできます。
純粋な恋愛物語じゃないけれど、一緒に過ごす時間が殖えれば増えるほど相手が気になりだし、相手をもっと知りたくなる、そんな二人の恋が楽しめる物語でもあります。
一緒にいればいるほど欠点やイヤなところが見えるという人もいますが、恋におちる二人にそんなことはありません。
一緒にいればいるほど、相手が大切で愛おしい存在になっていくのです。
自分とはまったく違うタイプの人に、想像を超えた行動をされたり、ビックリするようなことを言われたりすると、恋におちるか大嫌いになるかどちらかでしょうね(笑)
読書が嫌いな高校二年生の荒坂浩二は、ひょんなことから廃刊久しい図書新聞の再刊を任される。本好き女子の藤生蛍とともに紙面に載せる読書感想文の執筆を依頼し始めた浩二だったが、同級生の八重樫、美術部の緑川先輩、生物の樋崎先生から、執筆と引き換えに不可解な条件を提示されてしまう。その理由を探る浩二と蛍はやがて、三人の秘めた想いや昔学校で起きた自殺事件に直面し……本をめぐる高校生たちの青春と秘密の物語
『こうばしい日々』
【著者】江國香織
【出版社】新潮社
この本には中編小説がふたつ入っています。
どちらも恋の物語なんですが、ひとつは主人公が男の子で、もうひとつは女の子が主人公です。
連作にもなっていず、まったく関係のない物語ふたつが入っていると思いきや、実はふたつの物語の主人公はおなじ年代の男の子と女の子なんです。
ふたつの恋の物語を対比させて読むと、同じ年代の男女は恋に対してこんなにも違うのかと、さらに楽しめる本になっています。
- 主人公:11歳のダイ
- 恋の相手:クラスメイトのジル
- 恋って難しい
中編小説「こうばしい日々」は、アメリカが舞台です。
といっても、主人公の少年一家は全員日本人です。
積極的なジルに告白されるダイ、アメリカ人のデイビットと文句をいいながらも付き合っているおねえちゃん、ダイが通う学校の食堂で働く老婦人パーネルさん、ダイの年上の友達でおねえちゃんに好意をもっているウィル。
みんながみんな恋をしているけれど、ダイくんはジルが気になる存在だけど、実はまだ「恋って何だろう」と思っている。
そんなダイくんが可愛くもあり、一緒に「恋ってなんだろうねえ」と考えてしまいます。
それにしても「こうばしい日々」ってタイトル。
江國香織さんの抜群にいい言葉のセンスを感じませんか?
- 主人公:小学生から中学生になったみのりちゃん
- 恋の相手:おねえちゃんの元ボーイフレンド次郎くん
- 恋って難しい
もう一つの中編小説「綿菓子」は日本が舞台。
結婚したおねえちゃんの元ボーイフレンドだった次郎君に恋をしている少女みのりちゃんの物語です。
おねえちゃんが、なぜ次郎くんより冴えない風貌のサラリーマン島木さんと結婚したのが不思議でしかたないのです。
あなたなら次郎くんじゃなくて、島木さんと結婚したお姉ちゃんの気持ちわかります?
みのりちゃんもやっぱり「恋って結局なんなんだろうな?」と思ってしまうのです。
恋に遊びに、ぼくはけっこう忙しい。11歳の男の子の日常を綴った表題作など、ピュアで素敵なボーイズ&ガールズを描く中編二編。
『彼方の友へ』
【著者】伊吹有喜
【出版社】実業之日本社
- 主人公:憧れの雑誌をつくっている出版社で働くことになった佐倉波津子
- 恋の相手:出版社の主筆(責任者)の有賀
- 憧れから生まれる恋
憧れていた人に実は恋をしていた!
あまりにも手に届かない存在の相手だと、恋をしているのすら気づかない、そんなピュアな乙女ごころが書かれた物語です。
戦時中、言論統制化のなかで恋だ愛だなんて騒げなかった時代、社会に立ち向かうかのように仲間とともに出版の仕事にうちこむ波津子は、自分のなかにある「恋」に気づいたときは、好きな人は離れていってしまう時なのでした。
というか、離れることになって自分の気持ちに気づくのです。
もしかしたら好きかも、いや、そんなはずはないと好きな気持ちにフタをしていた波津子。
それはお相手の有賀主筆も同じだったのでしょう。
頑張り屋さんで素直でピュアな波津子を愛おしくも思っていても、言葉には決して出しませんでした。
戦争がなければ二人はふつうに恋におちて、結婚して、幸せになれたのか?
いま、恋をするのが当たり前にできることに喜びたいと思える本です。
「友よ、最上のものを」
戦中の東京、雑誌づくりに夢と情熱を抱いて――
平成の老人施設でひとりまどろむ佐倉波津子に、
赤いリボンで結ばれた小さな箱が手渡された。
「乙女の友・昭和十三年 新年号附録 長谷川純司 作」。
そう印刷された可憐な箱は、70余年の歳月をかけて届けられたものだった――
戦前、戦中、戦後という激動の時代に、
情熱を胸に生きる波津子とそのまわりの人々を、
あたたかく、生き生きとした筆致で描く、著者の圧倒的飛躍作。
『葡萄が目にしみる』
【著者】林真理子
【出版社】角川書店
- 主人公:高校生の岡崎乃里子
- 恋の相手:生徒会書記長の先輩、保坂?クラスメイトでラグビー部のスター岩永健男?
- 自意識高すぎ女子の恋
最後に紹介するのは、いまや日大の総長となった林真理子さんの若き頃の作品です。
え~、そんな古い本イヤだなという声が聞こえてきそうですが、自意識が高い」「周りの目が気になる」思春期真っ只中の中学生・高校生にぜひ読んでほしい本です。
自分は可愛くないと思っていながらも、実はモテるんじゃないかと思ってみたり、失恋しても、悲しむ自分の姿に酔ってみたり、誰も気にしてないのに、みんなが自分に注目していると思ったり、ばかばかしいと思いながらも、自分中心に世界がまわっていると思ってしまうお年頃。
そんな思春期の女の子の恋愛や自分自身との葛藤が書かれた物語です。
私は何回読んでも、彼女は結局だれを本当に好きだったんだろうか?と考えてしまいます。
たぶん、一番自分が好きだったんじゃないかな(笑)
バイタリティあふれる林真理子さん自身が、主人公の乃理子に見えてきますよ。
葡萄づくりの町。地方の進学校。自転車の車輪を軋ませて、乃里子は青春の門をくぐる。淡い想いと葛藤、目にしみる四季の移ろいを背景に、素朴で多感な少女の軌跡を鮮やかに描き上げた感動の長編。
今回紹介した本リスト
2022年秋に朝読書で読みたい!恋をしたい中学生・高校生におすすめ恋愛小説本を紹介しました。
中学生・高校生が共感しやすい同年代や年代の近い男女が主役になった恋愛小説なので、リアル感たっぷりに読めると思います。
恋をしている人もしてない人も、物語の中のステキな恋を楽しんでくださいね。
気になる本があったら読んでみてね。
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