小学高学年から中学生におすすめしたい、男子と女子の友達は今や当たり前!の本10冊を紹介します。
男子は男子、女子は女子でしか友情は成り立たないと思っていた昭和生まれからすると驚きの現象ですが、令和時代は、思春期の小学生・中学生であろうとも男子と女子が友情を築いていくのです。
同性同士では味わえない、友情の形を楽しめる物語を楽しんでみてくださいね。
児童書、ヤングアダルト(YA)ブック、中学受験出題本のおもしろさにどっぷりにハマっている私が実際に本を読んで紹介します。
『空と大地に出会う夏』
【著者】濱野 京子 (著)
【出版社】くもん出版
【出版年月】2022年7月
- 登場する男子と女子:小学6年生の佐合理一郎くん 成績はかなりいいが、目立つタイプではない。理屈ぽい男子
女子は、堀川海空良(みそら)ちゃん。理一郎の同級生(同じクラスではない)外見に特徴があるわけでもなく、スポーツができるわけではないのに目立つ。空気が読めないマイペースな子として思われている - 長編小説
- 小学中学年から高学年におすすめの本
- テーマ:家族・友達・自分探し
- 今まで自分らしくないと思っていたことに挑戦してみたら新しい発見があるかも
小学6年生の佐合理一郎くんが、今までとは違う自分、自分らしい自分を見つけていく成長物語です。
「ぜったいこの人とは仲良くなれないよな~」と思った人が、実は信頼できる人だったりします。
この物語は理想的な終わり方でもないかもしれませんが、リアルな物語展開なので、現実的だなと思う本でした。
「自分ってどんな人なんだろう?」と、自分について気になっている子どもに読んでほしい本です。
『スクラッチ』
【著者】歌代朔 (著)
【出版社】あかね書房
【出版年月】2022年6月
- 登場する男子と女子:男子は美術部でおとなしく優秀な中学3年千暁(かずあき)。女子は千暁の幼なじみで同級生、元気いっぱいバレー部部長の鈴音(すずね)。
- 男子と女子で主役が変わる連作短編集
- 小学中学年から高学年、中学生におすすめの本
- テーマ:コロナ禍・自分探し
- 自分らしさをみつけてくれる、気づかせてくれるのは、案外身近な友達かも。自分らしく未来へ向かって歩き出す中学3年生の青春物語。
コロナ禍に多くの子どもたちが感じたモヤモヤ感が上手く書かれた物語です。
いつか私たちはこのモヤモヤ感を懐かしく思う日が来るのでしょうね。
その時期、その時でしか経験できないことを奪われた中学3年生たち。
コロナ禍というなかで、友達・地域・学校と関わり合いながら自分自身のほんとの姿を見つけていく中学3年生たちの「生きるたくましさ」が頼もしいな~と感じます。
「これからどうしよう」「将来ってどうするの?」と思ったときに読んでほしい本です。
『階段ランナー』
【著者】吉野万理子
【出版社】徳間書店
【出版年月】2022年1月
- 登場する男子と女子:男子は家族トラブルで水泳部を退部した高校2年生、奥貫広夢くん。女子は広夢くんの同級生でイップスに悩む卓球女子、三上瑠衣ちゃん。
- 長編小説
- 小学中学年から高学年、中学生におすすめの本
- テーマ:家族・友情・自分さがし
- 相手を想うこと、相手を信頼すること、相手について考えることが、自分自身を助けることになるのかもしれない。人と人とのつながりが感じられる物語。
自分ひとりではどうにもならないほど、大きな悩みを抱えた男子と女子。
抱えた問題が大きくて、どんどん暗くなりそうな物語と思いきや、ふたりの助け合いが、明るい希望をもたらしてくれる物語へ変わっていき、物語はどんどんおもしろくなっていきます。
だれかのことを考えることが、自分自身を成長させて強くしてくれるんだなと思えます。
「なんだかうまくいかないな~」とモヤっとした時に読んで、スカっとしてほしい本です。
『ぼくのとなりにきみ』
【著者】小嶋 陽太郎
【出版社】ポプラ社
【出版年】2017年2月
- 2018年、2019年の私立中学入試問題で出題された本
- 登場する男女:中1男子、慎重で大人っぽいサク君と、スポーツ万能で天真爛漫なハセくんのコンビ。プラスクラスでも不思議ちゃん的女子の近田さんの男女3人組
- 長編小説
- 小学中学年から高学年向け
- テーマ:友情・家族
- お互い抱える家族状況を知り、相手を思いやる心をもてるようになる優しい男女三人組の物語
クラスでもちょっと外れものぽい男女3人組の物語です。
まったく性格の違うデコボコ三人組は、お互いを知るにつれて、互いを信頼しあい友情を深めていきます。
昭和時代なら男子3人、女子3人という組み合わせだったと思うのですが、令和時代は男女トリオが当たり前になりそうですね。
デコボコ3人組はそれぞれ家族問題を抱えています。
「自分だけが不幸だ、ついてない」と思っている子どもに読んでほしい本です。
『あこがれ』
【著者】川上未映子
【出版社】新潮社
【文庫出版年】2018年
- 2019年私立中学入試で出題された本
- 登場する男女:同じ学校に通う、どこか気の合う男女二人。麦くん(男の子)とヘガティー(女の子)の小学4年生、小学6年生の時の物語
- 連作中編2作集
- 小学校中学年から高学年、中学生向け
- テーマ:友情・家族
- 男女にも友達関係は成り立つのだろうか?異性だって、気が合う子がいたら友達になれるんじゃないかなと思える物語。
小学4年生、6年生の男子と女子二人が出かけたり、学校以外で会ったり、おしゃべりするなんて昭和生まれのおばちゃんには驚きなんですが、この男子女子二人にはまったく違和感やなく本を読めました。
大人には理解できない子どもならではの視点で気になることがある。
それを理解し合える二人の世界が広がります。
相手のために一緒に行動したり考えてくれたり、傷ついたら一緒にそばにいてくれるのは、同性の友達とは限らないさ!と思わせてくれる物語です。
「へんな奴かもしれないけれど、気の合う友達なんだよな~」って、友達を大事に思ったときに読みたい本です。
『with you ウィズ・ユー』
【著者】濱野 京子
【出版社】くもん出版
【出版年】2020年11月
➡2022年7月に講談社から文庫本が出版されています。
- 登場する男子女子:男子は家族に問題を抱える中学三年生の悠人。女子はどこか影のある表情の朱音。
- 長編小説
- 小学中学年から高学年生におすすめ
- テーマ:ヤングケアラー・兄弟への葛藤・家族・ほのかな恋心
- 2021年 青少年読書感想文全国コンクール課題図書 中学校の部
- 親に翻弄される子どもに注目した物語。そして気になる友達を少しでも助けてあげたいと思うことで、自分自身を見直しながら、社会へ目を向けていく成長をとげていく物語。
母親の介護に携わる“ヤングケアラー”問題を提起している小説として話題になった小説です。
優秀な兄や、家を出ていった父親、直人にばかり大きな期待をかける母親、といった家族のなかで、自分の存在意義を見出せないモヤモヤ感いっぱいの悠人が、影のある朱音(ヤングケアラー)との出会いや関りを通して、誰かを思う気持ちや、世の中の不平等に気づいていく物語です。
彼は、朱音との出会いにより大人の階段を登り始めるのです。
悠人がどんな大人になるのか楽しみだなと思いながら読み終えました。
家族に恵まれている子どもにこそ読んでほしい本です。
『たまねぎとはちみつ』
【著者】瀧羽 麻子
【出版社】偕成社
【出版年】2018年10月
- 登場する男子女子:女子は、小学校5年生のすべて平均くらいの女の子千春ちゃん。男子は、同じクラスの俊太くん。
- 連作短編集
- 小学中学年から高学年、中学生むけ
- ”ふつう”だから注目されない自分に不満はないけれど、もうちょっと成長したいなと思っている人におすすめ
- テーマ:成長
- 「よし、やってみよう」と一歩踏み出せる、前向きになれる物語
小学生の千春ちゃんは、近所に住むエンジニアで発明家のおじさんと知り合い、いろんなことを話すうちに、家族や学校しか知らなかった世界がどんどん広がっていきます。
日常の生活で、たくさんのことに悩む千春ちゃんに多くの子どもたちは共感できるはず。
自分を認めてくれる人には、素直に自分の弱い部分を見せて、助けてもらうのは、大人になる一歩なんだとおもえる物語です。
「言いたいことが言えない」「もうちょっと成長したいかな~」と思っている子どもたちに読んでほしい本です。
『むこう岸』
【著者】安田夏菜
【出版社】講談社
【出版年】2018年12月
- 2021年から多数の中学入試で出題されている
- 登場する男子女子:男子は、有名進学校で落ちこぼれ公立中学に転校した、裕福な家庭で育った和真くん。女子は、父を事故で亡くし、母と妹と三人、生活保護を受けて暮らす樹希ちゃん。
- 長編物語
- 小学中学年から高学年生におすすめ
- テーマ:親子関係・誰かを助ける気持ち・困難を乗り越える力・目に見えない辛さもある
- どうにもならない辛いことや悲しいこともたくさん出てくるけれど、何かに立ち向かうパワーや素直な気持ちが清々しくも感じる前向きになれる物語。
まったく違う環境で育った和真くんと樹希ちゃん二人は、お互いを疎ましく思っていたのだが、お互いことを知るにつれて、自分だけが現状の環境に苦しんでいるわけではないと、相手を思い合えるようになっていきます。
そして二人は「貧しさゆえに機会を奪われる」ことの不条理に立ちっていくのです。
貧しさは、将来をあきらめる理由になんてならないのだ!と前向きになれる物語。
恵まれている人にこそ、ぜったいに読んでほしい一冊です。
『世界は「」で沈んでいく』
【著者】櫻 いいよ
【出版社】PHP研究所
【出版年】2022年2月
- 登場する男子と女子:女子は、都会から海辺の町に引っ越した中学2年生の凛ちゃん。男子は新しいクラスメイトの将暉くん。
- 長編小説(連作短編集としても読める)
- 小学中学年から高学年、中学生向き
- テーマ:友達・孤独・家族・自己肯定・価値観の違い
- 孤独を愛する子どももいる。自分の価値観が、」みんなの価値観じゃないと気づかせてくれる物語。
友達がいない、友達が少ないことはダメなんだろうか?
学生時代は友達の多さがステータスのように感じることも多いけれど、ほんとうにそうなんだろうか?と疑問を投げかけてくる物語です。
こう書くとすごく固い小説かと思いきや、友情のような恋のような関係も書かれているし、孤独を愛する主人公の気持ちが丁寧に書かれているので、読みやすい本でした。
主人公の凛ちゃんの友達たちの態度にも納得できるし、「友達がいない・少ない」価値観も受け入れやすくなると思います。
友達関係で悩んでいたらぜひ読んでみてほしい本です。
そして、男女関係なく自分をわかってくれる人って「ビビビ」とくるのかもしれないと思わせてくれるのがこの本!
「運命を感じてしまう」のでは。
『黄色い目の魚』
【著者】佐藤多佳子
【出版社】新潮社
【文庫出版年】2005年
- 2021年私立中学入試で出題されました。
- 登場する男子と女子:女子は16歳村田みのり。男子はみのりのクラスメイト
- 連作短編集
- 小学中学から高学年、中学生以上におすすめ
- テーマ:家族・自分との向き合い方
- 子どもから大人への階段を登っていく青春物語
海辺の高校で、同級生として二人は出会う。学校や家庭にも居場所が見つけられない村田みのりが気になってなぜか気になって仕方ない、絵を描くのが好きな木島悟の青春物語です。
(本の前半はみのりちゃんの小学・中学時代の短編があります)
友情でもなく恋愛でもない。
ピュアで真直ぐな想いが痛々しくもあり、キラキラまぶしくもあり、もどかしくもあるのです。
似ていないようで、似ている男女二人が、お互いをわかり合える気持ちと、さらにわかり合いたいと思う気持ちが文章からあふれでている物語でした。
男子と女子の友情は今や当たり前!の物語本リスト
小学高学年から中学生におすすめしたい、男子と女子の友達は今や当たり前!の本10冊を紹介します。
思春期の小学生・中学生であろうとも、男子と女子が友情を築いていく令和時代の友情の形がわかります。
同性同士では味わえない、友情の形を楽しめる物語を楽しんでみてくださいね。
朝読書の時間などを利用して、気になる本があったら読んでみてくださいね
コメント