児童書、ヤングアダルト(YA)ブック、中学受験出題本のおもしろさにどっぷりにハマっている私が、実際に読んでおすすめしたい本を紹介します。
眠れない夜の醍醐味は「読書しながらヒンヤリすること」と思っている私が、実際に読んだ本のなかから「ヒンヤリする物語」おすすめ本を紹介します。
お気に入りの本を見つけて、ヒンヤリをたっぷり感じてくださいね。
紹介した本のなかには、中学生、高校生(本好きなら小学校高学年でも)も楽しめる本です。
が、ヒンヤリする衝撃的なシーンもあるので、まずは親御さんが読んでから、読めるかどうかの判断をおねがいします。
『笑うマトリョーシカ』
- ヒンヤリ具合:今までの物語がすべて「無」になるような結末に「ヒャー」と叫びたくなるようなヒンヤリ
- 主人公:四国・松山の名門高校に通う二人の青年 清家一郎と鈴木俊哉
- 長編小説
政治の世界が題材になった物語なんで、イヤらしい人間関係や裏切りが当たり前と思いがちだけど、この『笑うマトリョーシカ』は、主人公が高校生の頃からスタートするため、爽やかな青春小説を読んでいる気分になってしまう。
なんだけど、やっぱりそのまま終わるはずはなく……。
人が人をコントロールするのは簡単なことに思える恐ろしいヒンヤリが待っています。
『この世界、本当に誰が敵かわからないからね』(p.138)
人間関係によるヒンヤリって、「もっと違う生き方がなかったのか」と心が痛くなるわ
親しい人だけでなく、この国さえも操ろうとした、愚か者がいた。
四国・松山の名門高校に通う二人の青年の「友情と裏切り」の物語。
27歳の若さで代議士となった男は、周囲を魅了する輝きを放っていた。秘書となったもう一人の男は、彼を若き官房長官へと押し上げた。総理への階段を駆け上がるカリスマ政治家。
「この男が、もしも誰かの操り人形だったら?」
最初のインタビューでそう感じた女性記者は、隠された過去に迫る。
『イノセント・デイズ』の衝撃を越える、そして、『店長がバカすぎて』とも全然違う、異色の不条理小説が誕生。
『むらさきのスカートの女』
- ヒンヤリ具合:だれが正常なのか不安でいっぱいになるようなヒンヤリ
- 主人公:「むらさきのスカートの女」が気になる〈わたし〉
- 長編小説
ヒンヤリする物語を書くと言えばこの人、今村夏子さん。
『むらさきのスカートの女』は、芥川賞を受賞した今村さんの代表作です。
この物語は、たんたんと始まり、たんたんと進んでいくので、たんたんと読んでいると、途中で「あれ?なんか変じゃない」と思い始めたら最後、一気に「あれあれ?なんだかコワい!」と不安に包まれてしまいます。
もう今村ワールド全開で、読み終わった後も「だれが正常だったの?」とヒンヤリ。
登場人物が、身近にいそうな人たちばかりでそれがまた怖い。
ヒンヤリ満載の今村夏子ワールドを知るなら、まずはここから!
「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方のない〈わたし〉は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で彼女が働きだすよう誘導し……。ベストセラーとなった芥川賞受賞作。文庫化にあたって各紙誌に執筆した芥川賞受賞記念エッセイを全て収録。
『かくして彼女は宴で語る 明治耽美派推理帖』
- ヒンヤリ具合:明治時代にタイムスリップし、歴史上の人物が目の前に現れたような気分になるヒンヤリ
- 主人公:明治時代に実在したパンの会のメンバーたち
- 連作短編集 ミステリー
歴史の教科書に出てくる、北原白秋、石川啄木、与謝野晶子・鉄幹夫婦、森鴎外など明治時代の芸術家が、市中で起こった謎を解き明かそうとする物語。
明治時代の雰囲気、仲間うちでワイワイ謎を解いていく雰囲気が味わえます。
事件の内容は、乃木将軍への恨みから引き起こされるもの、浅草にあった凌雲閣の事件、ハンセン病の事件、上野でおこなわれた東京勧業博覧会での事件、台湾統治が引き起こす事件、ニコライ堂で事件といった、時代背景が大きく関わったものばかり。
まるで自分が明治時代にタイムスリップしたような気分になり、ヒンヤリしちゃいます。
鎖国した直後、大国との戦争が続く明治時代だからこそ起きる事件だけに、現代の感覚からするとヒンヤリするの
発売以来、続々重版!
王様のブランチ、朝日新聞、東京新聞、共同通信、AERA、週刊文春、週刊新潮など各媒体で話題沸騰! !
木下杢太郎、北原白秋、石井柏亭、石川啄木ら
若き芸術家たちが謎に挑む
傑作青春ミステリ
明治末期に実在した若き芸術家たちのサロン、
その名も「パンの会」。
隅田川沿いの料理店「第一やまと」に集った
木下杢太郎、北原白秋、石井柏亭、石川啄木等が推理合戦を繰り広げる。
そこに謎めいた女中・あやのも加わって――。
鬼才・宮内悠介の新境地!
『BUTTER』
- ヒンヤリ具合:実際に起こった首都圏連続不審死事件が重要なモチーフになった物語にヒンヤリ 連続殺人までを引き起こす女の自己顕示欲のスゴさにさらにヒンヤリ
- 主人公:梶井真奈子(カジマナ)
- 長編小説
2009年、木嶋佳苗被告による首都圏連続不審死事件が重要なモチーフになった物語です。
実際に起こった事件だと知っているとさらにヒンヤリ度は高まります。
木嶋佳苗被告をニュースで見た人は、事件と彼女の外見に違和感をおぼえた人も多いはず。
さらに、逮捕後、木嶋被告は3度も獄中結婚をしています。
とにかく、なにかしら魅力のある人物であるのは間違いないようです。
木嶋被告を思わせる『BUTTER』主人公の梶井真奈子も、考え方は独特で、自分への賞賛がハンパなく、イヤらしさを感じるほどなのですが、まわりをなぜか夢中にさせてしまうのです。
「ザワザワ、ヒンヤリ怖い」なんだかわからないけれど、同じ女として無性に怖いんです。
梶井真奈子に直接接触したら、自分も感化されちゃいそうで、さらにヒンヤリ度上がります
若くも美しくもない女が、男たちの金と命を奪った――。
殺人×グルメが濃厚に融合した、柚木麻子の新境地にして集大成。
各紙誌で大絶賛の渾身作がついに文庫化!!
男たちの財産を奪い、殺害した容疑で逮捕された梶井真奈子(カジマナ)。若くも美しくもない彼女がなぜ──。週刊誌記者の町田里佳は親友の伶子の助言をもとに梶井の面会を取り付ける。フェミニストとマーガリンを嫌悪する梶井は、里佳に〈あること〉を命じる。その日以来、欲望に忠実な梶井の言動に触れるたび、里佳の内面も外見も変貌し、伶子や恋人の誠らの運命をも変えてゆく。各紙誌絶賛の社会派長編。
本作着想の根底には、世に知られた事件があったのは確かだ。しかし物語が進むにつれて、事件からも犯罪者からも遠ざかる。独立したオリジナリティーに富んだ物語が展開される。進路を定めた羅針盤こそ、「女性同士の友情と信頼」である。
山本一力(本書解説より)
『おいしいごはんが食べられますように』
- ヒンヤリ具合:真面目に生きている頑張り屋さんには、イライラを通り越しヒンヤリ
- 主人公:がんばり屋の会社員、押尾さん(女子)
- 短めの中編小説
『おいしいごはんが食べられますように』は、今や世の中や会社では「ただ真面目にがんばる」ことが評価されるわけではない、と身にしみる小説です。
「がんばる」は「無理してがんばらない」に負けてしまうのか!
いえ、「がんばる」「がんばらない」は、もはやどっちが良い悪いじゃないのです。
コロナ禍を経て、さらに社会が変わっていくこのごろ。
自分の生き方もチェンジしなくちゃだなと、ヒンヤリさせられる物語です。
頑張り屋さんの押尾さんがイラッとする芦川さん、そして二人の間で宙ぶらりんの男二谷さんの三角関係もヒンヤリするのよ
『コンビニ人間』
- ヒンヤリ具合:「普通」って何さ?、普通、普通を押し付けてくる世間や人たちにヒンヤリする
- 主人公:18年コンビニで働く恵子36歳、独身、彼氏なし
- 長編小説
36歳で、18年もの間コンビニでずっと働いている恵子は「普通じゃない」なんて思わない!
恵子だって自分の生き方や人生にウジウジ悩んでいるわけじゃない。
だから、ところどころクスっと笑える物語になっている。
恵子の最後の決心だって「いいじゃないか」と思う。
それでも、恵子の取り巻く世間は冷たい。
その冷たさにヒンヤリする。
恵子に共感しちゃう人って、けっこういると思う
「普通」とは何か?
現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作
36歳未婚、彼氏なし。コンビニのバイト歴18年目の古倉恵子。
日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、
「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる――。
「いらっしゃいませー!!」
お客様がたてる音に負けじと、今日も声を張り上げる。
ある日、婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて、
そんなコンビニ的生き方は恥ずかしい、と突きつけられるが……。
累計160万部突破&39カ国語に翻訳(2023年7月現在)。
米国〈ニューヨーカー〉誌のベストブック2018に選ばれるなど、
世界各国で読まれている話題作。
『彼女は頭が悪いから』
- ヒンヤリ具合:肩書や見た目に弱い世間の声と、上級国民に潜む気色わるい意識にヒンヤリ
- 主人公:女子大生の美咲
- 長編小説
2016年に起こった東大生・東大大学院生たちによるわいせつ事件がモチーフになった物語。
事件を起こした彼らの学歴や家庭環境は、とっても恵まれているのに「そんな彼らが、まさか」と世間は思い、「エリートにひょいひょいついていったのは女のほうだ」という声すらあがります。
さらには、恵まれた人たち、優秀なエリートと世間では思われている加害者男性たちや、その家族の犯罪への気持ちは”自分勝手さ”で埋め尽くされるのです。
肩書や見た目で人を判断してしまう世間の怖さや、悪びれることなく当たり前に「自分たちは正しい・自分たちは特別だ」といったエリート意識の怖さが浮き彫りに。
読んでいるときから、読み終わっても気味悪いヒンヤリが漂います。
実際の人間性と、外見や世間での見方と違うのが一番怖いのよね
2019年に上野千鶴子さんの東大入学祝辞や様々な媒体で取り上げられた話題作が文庫で登場!
横浜市青葉区で三人きょうだいの長女として育ち、県立高校を経て中堅の女子大学に入った美咲と、渋谷区広尾の国家公 務員宿舎で育ち東大に入ったつばさ。偶然に出会って恋に落ちた境遇の違う二人だったが、別の女の子へと気持ち が移ってしまったつばさは、大学の友人らが立ち上げたサークル「星座研究会」(いわゆるヤリサー)の飲み会に美咲を呼ぶ。そ して酒を飲ませ、仲間と一緒に辱めるのだ…。美咲が部屋から逃げ110番通報したことで事件が明るみに出る。 頭脳優秀でプライドが高い彼らにあったのは『東大ではない人間を馬鹿にしたい欲』だけ だったのだ。さらに、事件のニュースを知った人たちが、SNSで美咲を「東大生狙いの勘違い女」扱いするのだ。
読み手の無意識下にあるブランド意識、優越感や劣等感、学歴による序列や格差の実態をあぶり出し、自分は加害者と何が違うのだと問いかけ、気づきを促す社会派小説の傑作!
『ミラーワールド』
- ヒンヤリ具合:男と女が逆転した世界にヒンヤリ
- 主人公:中学1年生の子どもをもつ、3つの家族
- 連作短編集
男女が逆転した世界へようこそ
女が外に出て働き、男が家事をして子育てをする、ミラーワールドでは当たり前とされている常識です。
男女が逆転しても結局は、「男のくせに」「女のくせに」「男なら」「女なら」というセリフが飛び交い、不平等や格差がある社会にヒンヤリ。
そして、男とか女で判断する、男と女という違いを盾にして問題をすりかえてしまう社会にもヒンヤリ。
男女の格差問題だけでなく、大人社会のいやらしさや、女性から男性への性的虐待、女性から男性へのパワハラのシーンといった暴力シーンもあり、ますます心はヒンヤリ。
「男とか女とか関係ないよ」って口で言うのはカンタン。
頭ではわかっているつもりでも、無意識に心や体はどう反応しているのか?
無意識に「男と女」を振りかざしている自分に気づいて、ヒンヤリしちゃうかも。
「自分は男女について先進的な考え方よ」と思っている人にこそ読んでほしい
『明日の食卓』著者が本当に描きたかった、心にささる男女反転物語。
「だからいつまで経っても、しょうもない女社会がなくならないのよ」
「男がお茶を汲むという古い考えはもうやめたほうがいい」
女が外で稼いで、男は家を守る。それが当たり前となった男女反転世界。池ヶ谷良夫は学童保育で働きながら主夫をこなし、中林進は勤務医の妻と中学生の娘と息子のために尽くし、澄田隆司は妻の実家に婿入りし義父とともに理容室を営んでいた。それぞれが息苦しく理不尽を抱きながら、妻と子を支えようと毎日奮闘してきた。そんななか、ある生徒が塾帰りの夜道で何者かに襲われてしまう……。
「日々男女格差を見聞きしながら、ずっと考えていた物語です。そんなふうに思わない世の中になることを切望して書きました」――椰月美智子
『罪の声』
- ヒンヤリ具合:昭和に実際に起こった未解決事件「グリコ・森永事件」をモチーフにした緊迫した物語展開と、永遠に謎のままなんだという未解決事件の闇にヒンヤリ
- 主人公:子どもだった自分が事件に関与していたのかと疑うテーラーを営む男と、事件を追う新聞記者
- 連作短編集
- 2020年、小栗旬と星野源主演で映画化された
怪人21面相、キツネ目の男などなど、劇場型といわれドラマティックに展開した、あの昭和の未解決事件「グリコ・森永事件」がよみがえる!
これだけでもヒンヤリ感たっぷり。
さらには、たくさんの証拠もあり、犯人との交渉も多いのにも関わらず未解決事件となる、この事件の謎や闇が浮かび上がり、ヒンヤリ倍増です。
ノンフィクションだけど、リアルすぎる物語展開にもヒンヤリがとまりません。
未解決事件ってテレビでもよく特集があるわよね
わからないことを想像するのって、興味がわく反面ヒンヤリ度も高いわよね
日本中を震撼させた未解決事件を描いた
感動ヒューマンミステリー大作!!
35年の時を経て蘇る哀しき宿命。
脅迫テープに使われたのは、幼きころの自分の「声」だった――
第7回山田風太郎賞受賞作。「週刊文春ミステリーベスト10」第1位、本屋大賞第3位。
圧倒的な取材と着想で、昭和最大の未解決事件を描いた傑作長編小説。
「これは、自分の声だ」
京都でテーラーを営む曽根俊也。自宅で見つけた古いカセットテープを再生すると、幼いころの自分の声が。それはかつて、日本を震撼させた脅迫事件に使われた男児の声と、まったく同じものだった。一方、大日新聞の記者、阿久津英士も、この未解決事件を追い始め–。
圧倒的リアリティで衝撃の「真実」を捉えた傑作。
『白夜行』
- ヒンヤリ具合:一つの出会いが人生を変えてしまう!見えそうで見えない、つかまえられそうでつかみきれない、長年にわたる閉ざされた亮司と、雪穂の関係性にモヤモヤしたヒンヤリ
- 主人公:被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂
- 長編小説
すでに20年も前の小説になっていることにビックリ!
東野圭吾という小説家をこの小説で知ったという中年世代の人も多いはずです。
今読んでも、20年前の衝撃的なヒンヤリ感は衰えません。
むしろ、最初から最後まで、こんなにもモヤモヤしたヒンヤリ感が続く小説を読み逃していたら、もったいない!
あと一歩で踏み込める、手が届くと思うとスルリと消えてしまう二人の間の闇へのヒンヤリ。
この闇がもっと早く消えていたら、ふたりの人生はまったく違っていただろうにと考えると、またまたヒンヤリします。
人生が一気に変わる!
そんなヒンヤリが最初から味わえる物語よ
愛することは「罪」なのか。それとも愛されることが「罪」なのか。
1973年、大阪の廃墟ビルで質屋を経営する男が一人殺された。容疑者は次々に浮かぶが、結局、事件は迷宮入りしてしまう。被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂――暗い眼をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別々の道を歩んでいくことになるのだが、二人の周囲に見え隠れする、幾つもの恐るべき犯罪の形跡。しかし、何も「証拠」はない。そして十九年の歳月が流れ……。伏線が幾重にも張り巡らされた緻密なストーリー。壮大なスケールで描かれた、ミステリー史に燦然と輝く大人気作家の記念碑的傑作。200万部突破!
『満願』
- ヒンヤリ具合:普通の人間がもつ暗闇に恐怖を感じる 落ち込み気味の人は避けた方がいい?!レベルのヒンヤリ
- 主人公:ふつうに社会に生きる人々
- 6つの短編集
女友達がいればいいと思っている人におすすめ
長編小説は重いなと思っている人におすすめの短編集。
ヒンヤリ度は物語の長さに比例しません!短編でも十分にヒンヤリできます。
気分が落ち込み気味のときには避けた方がいいかもしれないレベルのヒンヤリ度!
ぜひ体感してみてください。
日常にひっそりと潜むヒンヤリが怖いのよ
死にたい人たちのあいだで、随分評判らしいのよ。
磨かれた文体と冴えわたる技巧。この短篇集は、もはや完璧としか言いようがない――。驚異のミステリー3冠を制覇した名作。
「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが……。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、「夜警」「関守」の全六篇を収録。史上初めての三冠を達成したミステリー短篇集の金字塔。山本周五郎賞受賞。
『落下する夕方』
- ヒンヤリ具合:不思議な三角関係と、無意識系魔性の女の存在に、そして魔性の女がまとう闇に、魔性の女と現実とは思えない世界に入りこむ感覚にヒンヤリ
- 主人公:会社員の梨果
- 長編小説
長く付き合ってきたカップルの前に突然あらわれた魔性の女、華子。
華子、無意識に自然にふるまっているだけなのに、男という男がみな、とりこになってしまうという恐ろしい(笑)女なんです。
そんな華子に恋のライバルの梨果さえも魅了されてしまう。
『落下する夕方』は一見ふつうの恋愛小説なんですが、ヒンヤリが日常に押し寄せ、当たり前のように居座っていく恐ろしい物語なんです。
まず、華子が自分の人生に現れたらと思うと、ヒンヤリ!
そして華子にのめり込む男が、悲しくなるほどにダメダメになっていく姿にもヒンヤリ!
なによりも華子がもつモヤモヤした闇に、心が痛くなるほどヒンヤリします。
江國香織さんの静ひつな文章も魅力
華子がいる世界は現実じゃないような気分になる、独特のヒンヤリ感を味わってみてね
梨果と八年一緒だった健吾が家を出た。それと入れかわるように押しかけてきた健吾の新しい恋人・華子と暮らすはめになった梨果は、彼女の不思議な魅力に取りつかれていく。逃げることも、攻めることもできない寄妙な三角関係。そして愛しきることも、憎みきることもできないひとたち…。永遠に続く日常を温かで切ない感性が描いた、恋愛小説の新しい波。
今回紹介した本リスト
実際に読んだ本のなかから「ヒンヤリする物語」おすすめ本を紹介しました。
お気に入りの本を読みながら、ヒンヤリをたっぷり楽しんでくださいね。
あなたの好みの本を選んで読んでみてね。
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