「男女間に友情は存在するのか?」
男子とか女子とかを分ける必要や価値観がなくなりつつある今、こんな疑問もムダかもしれませんが。
「男子と女子にも友情は存在します!」
と大きな声で言いたくなる、男子と女子の友情物語を集めてみました。
せっかく本を読むなら、入試に出た本を読んでみませんか?
このブログでは、中学入試・高校入試で出題された本のなかから選んでいます。なぜなら……。

中学・高校受験出題本はとにかくおもしろい!
国語の専門家である国語の先生たちが選んだ本はどれも失敗なし!なのです。
『この夏の星を見る』

中学・高校生の男女
【女子】茨城 亜紗は高校2年生、天文部
【男子】東京・渋谷 真宙(まひろ)は中学1年生 学校で唯一の男子
【女子】長崎・五島列島 円華(まどか)は高校の3年生 吹奏楽部から訳あって天文部へ
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【著者】辻村深月
【出版社】KADOKAWA
●あらすじ
コロナ禍で、思い通りにいかない生活に葛藤する中学生・高校生が、全国の「天文部」の仲間たちとパソコンを通して交流し、顔すらみたことのなかった彼らは、星・宇宙を通じて友情を築いていく。
制限された生活のなかでも、中学高校生たちのキラキラ輝く青春は消せない!!
★おすすめポイント★
今、自分たちのできることを懸命に、前向きに楽しむのに男子と女子も関係ない!
人生は自分の思い通りにならないけれど、だからこそそんな人生を楽しめばいい。
毎日つまらないなと思っていたら、まずはこの本を読んでみてください。
『タスキメシ』

高校3年生男子と女子
【男子】陸上部で長距離選手だが、大けがを負い、長くリハビリに励んでる眞家早馬
【女子】たった一人で料理研究部として活動している井坂都
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【著者】額賀澪
【出版社】小学館
●あらすじ
2編の連作中編小説
前半は眞家早馬の物語で、後半は井坂都の小学生時代の物語。
陸上部の長距離選手だった高校3年生眞家早馬はケガで休部中のあいだに、料理という新しい楽しみを知ってしまった!
友情(ライバル)、兄弟愛がからみあう高校生の青春物語。
そしてスポーツに欠かせない、おいしくて栄養バランスのとれた料理がどんどん出てくるおいしい物語。
●その他情報
続編あり
2作目『タスキメシ 箱根』
3作目『タスキメシ 五輪』
★おすすめポイント★
挫折があったからこそ知れた、新しい自分と新しい世界。
それを教えてくれたのは同級生で家庭部の女子、都ちゃんのおかげで、早馬くんの料理の腕は上がり、心のモヤモヤも晴れていくのですが……。
ふたりの間には、早馬くんの陸上のライバルであり、都ちゃんの幼なじみの男子もいて。
都ちゃんと早馬くん、ふたりのあいだにあるのは友情だけなのか?!
『おいしくて泣くとき』

中学3年生の男女
【男子】『大衆食堂かざま』オーナーの息子・心也
【女子】同級生の夕花
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【著者】森沢明夫
【出版社】角川春樹事務所
●あらすじ
「こども食堂」を知っていますか?
家庭でご飯を食べるのが難しい子どもたちのために開かれている食堂です
「こども食堂」にご飯を食べにくる女子中学生と、その食堂のオーナーの息子。
同級生のふたりは、お互いが気になる存在ですが……。
子どもたちの、友達を思いやるやさしい気持ちがあふれる一方で、子どもにはどうにもならない厳しい現実。
弱い立場の人は我慢するしかないのだろうか?
涙なしでは読めない、ほろにがい物語の後半は、温かな奇跡を呼ぶ物語。
★おすすめポイント★
とにかく夕花を想う心也がカッコイイのです。
ふたりでいるときに悪い人にからまれたりといった”恋愛あるある”シーンがあったりと、胸がキュンキュンしちゃいます。
そしてこの物語には、時間を超えた、すてきなラストがまっています。
男子と女子の関係って「恋」だけじゃないんです。
☟映画化してます
『黄色い目の魚』

高校生の男女
【女子】16歳の高校生村田みのり
【男子】クラスメイト、絵を描くのが好きなサッカー部の木島悟
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【著者】佐藤多佳子
【出版社】新潮社
●あらすじ
連作短編集
みのりの幼少期から高校生まで
海辺の高校で、同級生として出会うみのりと木島。
学校や家庭にも居場所が見つけられない村田みのり。
そんなみのりがなぜか気になって仕方ない、木島悟。
ふたりの痛々しいくらいピュアな青春物語。
前半に、みのりの小学・中学時代の短編あり。
★おすすめポイント★
友情でもなく恋愛でもない。
ピュアで真直ぐな想いが痛々しくもあり、キラキラまぶしくもあり、もどかしくもある。
似ていないようで、似ている男女二人が、お互いをわかり合っている気持ちと、さらにわかり合いたいと思う気持ち。
でもそれを上手く相手に伝えられない……。
ちなみに、木島がみのりのことが気になりだすキッカケは何だと思いますか?
そのキッカケ胸キュンになるはず!!
『あこがれ』

小学生の男女
【男子】思春期直前の小学生 麦彦
【女子】麦彦のクラスメイト ヘガティー
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【著者】川上未映子
【出版社】新潮社
●あらすじ
「あこがれ」に対して興味しんしんの小学生、麦彦とヘガティー。
疑いを知らず、好きなものに一直線なのは、不条理に満ちた世界にまだまだ気づいていないから……。
でも彼らは、現実社会にはどうにもならないものがあることを知っていく。
子ども時代の終わりを告げるような物語
麦彦とヘガティーは子どもだけど、二人ともナイーブで、ところどころ、ふとみせる大人ぽい雰囲気が魅力的!
★おすすめポイント★
それぞれに〈あこがれ〉の対象を持ちながら、どうにもならない現実、その現実を淡々と受けいれるほかない。
でも、そんな現実を一緒に受け止めてくれる人がいたら。
相手のために一緒に行動したり考えてくれたり、傷ついたら一緒にそばにいてくれるのは、同性の友達とは限らない!
へんな奴かもしれないけれど、気の合う友達。
不思議な男子と女子ふたりの友情に引き込まれます
『スクラッチ』

中学3年生
【男子】美術部部長の千暁
【女子】千暁の幼なじみで同級生 バレー部キャプテンの鈴音
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【著者】歌代朔
【出版社】あかね書房
●あらすじ
連作短編小説
千暁と鈴音の物語
コロナ禍に翻弄された中学生が主人公となっている時代を反映した物語。
中学時代にしか経験できないこと、感じられないことをあっけなく奪われてしまった中学生たちの日常とは?
★おすすめポイント★
美術部の千暁くんも、バレー部鈴音ちゃんも「コロナ禍」という理由でいろいろな制限を受けた中学生活を過ごし、モヤモヤした気持ちでいっぱい。
コロナ禍だからこそ知った、人と人と関わり方。
それぞれの価値観の違いで傷ついた心は、男子とか女子とか関係なく共感しあえる。
共感できるなら仲間になれる!
『階段ランナー』

高校生
【男子】元水泳部の奥貫広夢くん
【女子】広夢の同級生 卓球部の三上瑠衣ちゃん
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【著者】吉野万理子
【出版社】徳間書店
●あらすじ
連作短編小説
高校2年生の男女ふたりの助け合いが、「諦めない」明るい希望をもたらしてくれる!
家庭の事情で水泳部を辞めてしまっている広夢くん。
とある理由から卓球をやめてしまっている瑠衣。
こころに傷をもったふたりは、互いの事情を理解し、互いの弱い面を指摘しあいながら、友情を深めていく物語。
★おすすめポイント★
自分ひとりではどうにもならない、お互いの苦しみを理解し、助け合うふたり。
ふたりだからこそ強くなっていくのに憧れ、うらやましくなる!
自分の弱い面をみせられる友達って、男とか女とかまったく関係ない。
そんな友達ってものすごく貴重ですし、そんな友達がいるってものすごく幸せです。
『世界は「」で沈んでいく』

中学2年生の男女
【女子】都会から海辺の町に引っ越した凛ちゃん
【男子】クラスメイトの和久井君
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【著者】櫻いいよ
【出版社】PHP研究所
●あらすじ
友達がいない、友達が少ないことはダメなんだろうか?
友達の多さがカッコイイし、良いと感じることが多いけれど、ほんとうにそうなんだろうか?
孤独を愛する人(子ども)、凛ちゃんの孤独への戦い物語。
★おすすめポイント★
自分の価値観は、みんなと同じじゃないといけないのかな?
こう書くとすごく難しい小説かと思いきや、友情のような恋のような男女二人の関係性をからませながら、孤独を愛する主人公の気持ちがていねいに書かれていて読みやすい!
クラスメイトたちの「友達が大切で必要」という態度や考え方にも納得できるし、「友達がいない・少ない」のがさみしいわけじゃないという凛ちゃんの価値観、どちらもわかりやすいと思います。
友達をつくらなくちゃと悩んでいる人に、ぜひ読んでみてほしいおすすめ本です。
そして、男女関係なく自分をわかってくれる人に「ビビビ」とくる運命にドキドキ!
「運命の相手」を感じてしまうキュンキュン物語でもあります。
『線は、僕を描く』

大学生の男女
【男子】青山霜介
【女子】「水墨画」の巨匠を祖父にもつ千瑛
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【著者】砥上 裕將
【出版社】講談社
●あらすじ
両親を交通事故で失い、生きる気力を失っている大学生の青山霜介をいきかえらせてくれたものは?
偶然出会った水墨画だった!
黒と白の「水墨画」の魅力がたっぷり
「水墨画」という、狭い世界のなかで繰り広げられるライバルとの争いや、才能への嫉妬、そしておもいどおりにいかない芸術の難しさ。
読みどころ満載の芸術、青春物語。
★その他情報
続編あり『一線の湖』
あれから2年 大学3年生になった霜介の物語
『一線の湖』は2025年度高校入試で出題されました
★おすすめポイント★
水墨画の巨匠、篠田湖山になぜか湖山に気に入られ、その場で内弟子にされてしまった霜介と、湖山の孫娘・千瑛との「水墨画」の関係が物語をおもしろくしてくれます。
同じ師匠をもつ内弟子同志。
「水墨画」のライバル。
「水墨画」を愛する仲間。
師匠の孫と弟子という関係。
霜介と千瑛ふたりのあいだには、いろいろな立場、関係が入り乱れます
けっしてドロドロしたものではなく、なぜか爽やかな空気感があり、そのなかには恋もあるのかな?
☟映画化されています
『檸檬先生』

同じ悩みをもつ男女
【男子】音や数字に色が見えたりする「共感覚」を持つため学校になじめない、小学三年生の少年
【女子】同じ悩みをかかる中等部3年生の少女 少年から「檸檬先生」と呼ばれる
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【著者】珠川こおり
【出版社】講談社
●あらすじ
音や数字、人に色がついて見える感覚ってわかりますか?
見るだけじゃ気づかない、話していても気づかない、理解してもらいにくい障害をもつ苦しみ、孤独ってわかりますか?
外側から見えない障害、他の人が理解しにくい障害をもつ少年を助けてくれたのは?
ラストに衝撃がありますが、希望は失われません!
★おすすめポイント★
クラスメートたちからいじめられ、孤独な日々を送っていた少年を助けてくれたのは、中学三年生の少女「檸檬先生」です。
実は、ふたりは同じ障害をもつ同志なのです!
心の痛みや孤独を共感できる友達に、男も女も、年齢も関係ないのです。
『バスを降りたら』

中学1年生
【男子】律(りつ)
【女子】奈鶴(なつる)
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【著者】眞島めいり
【出版社】PHP研究所
●あらすじ
奈鶴と律、交互にふたりの視点で書かれる物語
通学のバスで、顔見知りの中学生の男子と女子のお互いへの想いは?
お互いが気になるふたりだけど、相手にいだく気持ちは全く正反対のふたり。
でも、挫折感から抜け出せないやるせない思い、学ぶ意味、将来のこと、気になる人のことなどなど。
モヤモヤした気持ちをもっているのは同じ。
ふたりのモヤモヤは晴れるのか?
中学生ふたりの清々しい青春成長物語。
★おすすめポイント★
学校も違うし、どこに住んでいるかも知らない。ただ、顔だけ知っているだけなのに「なぜか気になる」人がいる。
そんな経験ありませんか?
通学のバスの中で会だけなのに、お互いの存在が気になる中学生の男女ふたりは、知り合いになるのか?友達になるのか?

なぜふたりはお互いが気になるのでしょうか?
『たまねぎとはちみつ』

小学校5年生クラスメイトの男女
★すべて平均くらいの千春ちゃん
★俊太くん
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【著者】瀧羽麻子
【出版社】偕成社
●あらすじ
ふつう”だから注目されない自分に不満はないけれど、もうちょっと成長したいなと思っている千春ちゃん。
近所に住むエンジニアで発明家のおじさんと知り合い、いろんなことを話すうちに、家族や学校しか知らなかった世界がどんどん広がっていくのです!
そして彼女を元気づけてくれるクラスメイトの男子も登場し……。
「よし、やってみよう」と自分の殻をやぶる勇気がでてくる物語。
●その他情報
続編あり『ひこぼしをみあげて』
千春ちゃんが中学生になります
★おすすめポイント★
学校生活での友達とのこと、クラス内の問題、家庭でのお母さんとのこと、日常生活で、たくさんのことにモヤモヤしているけれどはっきり言えない千春ちゃんが、まるで自分みたい!と思える物語でした。
モヤモヤ悩める千春ちゃんを助けてくれるのは、クラスメイトの男の子俊太くん。
クラスで一緒に勉強しているときには、まったく気にならなかった男子けれども、学校の外で会うと気づかいができる優しい男の子です。

千春ちゃんと俊太くん、ふたりの関係にちょっと胸がキュンとしちゃいます。
「言いたいことが言えない」「もうちょっと大人になりたいな」と思っている人におすすめ本です。
『むこう岸』

中学生の男女
★有名進学校で落ちこぼれ公立中学に転校した、裕福な家庭の和真
★父を事故で亡くし、母と妹と三人、生活保護を受けて暮らす樹希
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【著者】安田夏菜
【出版社】講談社
●あらすじ
まったく違う環境で育ったため、お互いを理解できずに苦手に思っていた和真くんと樹希ちゃん。
でも二人は、互いを知るにつれて、自分だけが今の状況に苦しんでいるわけではないと、相手を思い合えるようになっていきます。
そして二人は「貧しさゆえに機会を奪われる」ことの不条理に立ちっていくのです。
どうにもならない辛いことや悲しいこともたくさん出てくるけれど、何かに立ち向かうパワーや素直な気持ちがすがすがしい物語。
★おすすめポイント★
親からのプレッシャーや、家庭の貧困による”家庭の呪い”を感じたことありませんか?
呪われて、それに縛られて辛く悲しい思いをしていませんか?
だれにも話せない家庭の事情をわかってくれるのは、実は仲良しのお友達じゃないのかもしれません。
意外な人が、あなたの悲しみをわかってくれて、しかも助けてくれるのかも……。

「私とは正反対」「私のことぜったいにわかってくれない(だから苦手)」と感じる人、友だちがいたら、ぜひ読んでほしい本です。
『空と大地に出会う夏』

小学6年生の男女3人
★成績はかなりいいが、ムダがきらいで理屈ぽい。目立つタイプではない理一郎
★空気が読めないマイペースな不思議ちゃん女子で有名。目立つタイプの空良(みそら)ちゃん
★理一郎の幼なじみ、転校先で不登校になっている大智
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【著者】濱野京子
【出版社】くもん出版
●あらすじ
優等生だが、目立つタイプではない理一郎くんは、空気が読めないマイペースな女子の空良(みそら)ちゃんと知り合い話すようなる。
一方、幼なじみだった男友達の大智が転校先で不登校になっていると知った。
空良と大智と仲良くすることを母親はよく思っていないのだが……。
理一郎くんが、今までとは違う自分を見つけていく成長物語です。
★おすすめポイント★
いつもと違う友達と話してみたら……。
あれ?自分ってこんなこと話すんだっけ?こんな風に考えるんだっけ?と、新しい自分に驚くことってありませんか?
「自分ってどんな人なんだろう?」「優しい人なのか?」「だらしない人なのか?」「正直者か?」「真面目なのか?」「いじわるなのか?」
自分がよくわからない人に読んでほしい本です。

この物語は「良かったな」と思える理想的な終わり方でもないかもしれません。
でも「現実ってこうだよな」と思えるリアルな物語なので、現実的な人にもおすすめです。
男子と女子の友情物語 本リスト
中学・高校入試で出題された本のなかから、男子と女子の友情物語を集めてみました。
中学生・高校生におすすめの本です。

朝読書の時間などを利用して、気になる本があったら読んでみてくださいね
天文部でつながる中学生・高校生の男女
料理でつながる高校生の男女
あらがえない理不尽にたちむかう中学生の男女
似たものどうしの高校生の男女
子ども時代から脱却間近!の小学生の男女
コロナ禍にふりまわされる中学生の男女
互いを助け合う高校生の男女
なぜか惹かれあう中学生の男女
ライバルであり仲間、大学生の男女
同じ悩みをもつ小学生と中学生の男女
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