瀧羽麻子【入試出題本】『たまねぎとはちみつ』からはじまる千春ちゃんシリーズ

中学・高校入試で頻出される作家瀧羽麻子さんの”千春ちゃんシリーズ”を知っていますか?

本のタイトルからシリーズものとはわかりにくいのですが、千春ちゃんというひとりの女の子が主人公となっています。

普通の子でいい、だけど実はそんな自分に自信がない女の子、千春の小学時代、中学時代、高校時代がシリーズ化されているのです。

悩みながら成長をしていく千春ちゃんは「自分みたい!!」と思いながら読めるシリーズ作品です。

1作目、2作目ともに中学・高校入試で出題されています。
2025年には3作目が出版されました。

中学・高校受験出題本はとにかくおもしろい!
国語の専門家である国語の先生たちが選んだ本はどれも失敗なし!なのです。

瀧羽麻子”千春ちゃんシリーズ”とは?

主人公の千春ちゃんってどんな子?

●公立小学校に通う5年生

●クラスの中で目立ちもしないし問題もないごくごく普通の女の子

●周囲からも自分自身も平均的な子だと思っている(それに満足している)

●友だちのこと、両親のことを気づかえる優しい女の子

●ひとりっこ。両親にはむかうこうこともなく家族の中でも問題なしの素直な子

●よく言えば手のかからない子、悪く言えば存在感のうすい子

普通でいればクラスで目立つこともないし、期待されたりすることもないし、変な目で見られることもないから、安心。
でも、周りのみんなはどんどん変わっていく気がする。
千春はちょっと不安になっています。

シリーズの順番

どの本から読んでも大丈夫ですが、主人公の千春ちゃんの成長を楽しむなら、1巻から読むのがおすすめです。

①『たまねぎとはちみつ』
②『ひこぼしをみあげて』
③『かわせみのみちくさ』

あらすじ・読みどころ

●千春ちゃんの成長

学校は知り合えない「おとな」や、学校で見せる姿とは別のクラスメイトの男の子、自分とは正反対の性格のお友達、ちょっといいなと思える異性の先輩、そして離れて暮らすおばあちゃんなどなど。

成長過程において千春ちゃんは友だち・家族、先生、近所の人といった、いろいろな人たちを通して「自分自身」とむきあっていきます。

身近な存在でありながらも、実はよく知らない周りの人たちからたくさんのことを教わり、千春ちゃんはどんどん成長していきます。

今までの普通でいい、注目されたくない千春だったら、あきらめてしまうこと、なんとなく流されてしまうことに、きちんと向かいあっていく千春の成長していく姿はとっても頼もしく、読んでいる私たちにもパワーを与えてくれます。

悩みながらも,どんどん大人になっていく素直で優しい千春ちゃんの成長を楽しめます。

●大切な人からのアドバイス

今日はたまねぎ、明日ははちみつ

「ハートは熱く、脳みそはクールに」

「キビブハベハ」

修理屋さんのおじさん、天文部の仲間、おばあちゃんが悩める千春にかけてくれる言葉。

どんな意味なのか、本を読むとわかります。

対象年齢

児童書なので、小学高学年生から読めます。

入試出題情報

1作目『たまねぎとはちみつ』

入試出題メモ

2020年度、学習院女子中等部・晃華学園中学校の中学入試で出題されました。
2022年度、成城学園中学の中学入試で出題されました



2作目『ひこぼしをみあげて』

入試出題メモ

2023年度、大分県立高校の高校入試で出題されました。

千春ちゃんシリーズ1冊目『たまねぎとはちみつ』


たまねぎとはちみつ

●あらすじ
小学5年生の千春は、ふとしたことから修理屋のおじさんと知り合う。そのお店には同じクラスの俊太がいた。何かが変わった3人の特別な1年。
【アマゾン本紹介より引用】

お友達の誕生日会の開催、中学受験に対する価値観の相違、運動会のリレーのバトンが怖い、お母さんに自分の気持ちが上手に伝えられないなど。
千春の悩みはリアルな小学生生活で悩んでしまうことばかりで共感できるはずです。
信頼できて自分を認めてくれる人には、素直に自分の弱い部分もさらけ出して、困ったことや悩みを打ち明けられて、助けてもらえるようになれるのも成長のひとつなんだと思いました。
クラスメイトの俊太くんが何気にかっこよくて、私なら好きになっちゃうな~。

千春ちゃんシリーズ2冊目『ひこぼしをみあげて』


ひこぼしをみあげて

●あらすじ
中学生になった千春は、友人の那彩にひっぱられて天文部にはいる。
そこには、熱血星オタクの二階堂先輩、寡黙でミステリアスな片瀬先輩、話のわかる顧問の葉山先生など、個性豊かな面々がそろっていた。
千春は、次第に片瀬先輩のことが気になっていく……。
等身大の女子中学生を描いた成長物語、第2弾。
【アマゾン本紹介より引用】

学校生活は普通に楽しいし、友達もいるし、部活もイヤじゃない、家族に不満はない。

でも、どこにいてもなんだか居心地がわるいような、中学1年生になった千春ちゃんの物語です。

これといって不満や不安があるわけじゃないのに、周りの人たちが気になったり、自分がどう思われているのかが気になったり

みんなはすごく楽しそうなのに、自分は心から楽しめてないと落ち込んじゃったり。

私といてもみんな楽しくないんじゃないかな~と卑屈になったり。

友達と自分を比べてみたり。

いろんなこと考えて、ひとりでモヤモヤしてしまう千春ちゃんですが、新しい友達と新しい部活、生活、仲間、先生を通して、いろんなことを経験していきます。

今回は、ほのかな恋心を抱いたり、友達にきちんと言葉で自分の気持ちを伝えられるようになる、ちょっぴり大人になった千春ちゃんの物語です。

千春ちゃんシリーズ3冊目『かわせみのみちくさ』


かわせみのみちくさ

●あらすじ

夏休み、高校生の千春は、父親の実家でお盆をすごすことになった。
到着早々、伯父さんから、最近おばあちゃんのようすがおかしいと聞かされる。
そんな折、海外にいる従姉の出産に立ち会うため、叔母さんが数週間、家をあけることになった。伯父さんは、おばあちゃんの面倒をだれかに頼もうとするのだが、みんな、首を縦に振ろうとしない。
「千春ちゃんは?」
おばさんが問いかけた一言に父親が返事をした。
「ちょっと無理じゃないか?」
勝手に決めつけられ、むっとした千春は、おばさんにむかって答えた。
「いいよ、わたしは」
千春の成長を描く物語、高校生編。
【アマゾン本紹介より引用】

あの千春ちゃんが高校生になって帰ってきた!!
以前よりも自分のことを自分自身がわかって、周りの大人たちのことも客観的にみられるようになっているみたいでむちゃくちゃ成長してるじゃないかと感激でした。
大学進学に向けて将来に悩む千春ちゃんの心を動かすのはおばあちゃんです。
おばあちゃんだってとつぜんおばあちゃんになったわけじゃなくて、若いころがあったんだよなと当たり前のことに気づく千春ちゃん。
おばあちゃんの生き方をリスペクトする千春ちゃん。
ああ、千春ちゃん。
小学生からのまま、人の気持ちを考えてあげられる優しさと、人を信じられる素直な心はそのまま素敵な大人になってほしい気持ちでいっぱいになりました。

瀧羽麻子 紹介した”千春ちゃんシリーズ”はこちら

千春ちゃんと友だちになりたい!と思ったらぜひ読んでみてください
大人が読んでも楽しめるので、親子で読むのもおすすめです。

☟この記事で紹介した本はこちら

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