「中学受験してみようかな」「中学受験の問題ってどんな感じなのかしら」と思ったら、ぜったいに読んでみてほしいにおすすめ本10冊を紹介します。
中学受験「国語」では、鉄板ともいえる本です。
受験で取り上げられるだけあって、日本語もきちんとしていて、読みやすいので、本を読むのに慣れていない子どもたちでも楽しく読めるはずですよ。
児童書、ヤングアダルト(YA)ブック、中学受験出題本のおもしろさにどっぷりにハマっている私が、実際に読んでおすすめしたい本10冊を紹介します。
『給食アンサンブル(1)』
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【著者】如月 かずさ
【出版社】光村図書出版
【出版年】2018年9月
毎日同じ教室で顔を合わせて一緒に勉強して、給食を食べている友達・クラスメイトたちにも、それぞれの人生があります。
自分と同じと思っていたら、大間違い!
みんなそれぞれの悩みを抱え、それぞれの家庭環境があり、それぞれの楽しみをもっているんですよね。
当たり前だけど、ずっと同じ教室にいると、みんな同じ、みんな自分と同じ考え方をしていると思いがちになってしまいます。
そんな子どもたちに、ガツンと頭を叩いてくれる本です。
ちょっとした恋愛ものもあり、子どもぽさはなく、読みやすい本です。
- 主人公:6人の中学1年生
- 連作短編集
- 同じクラスの仲間の給食を通してひとりひとりに注目。知っているようで知らないクラスメイトたちのそれぞれがのぞける物語
- 2022年パート2が出版された
中学2年生の自分に自信の持てないクラスメイト6人の物語集
転校先の学校に馴染むのを拒む美貴、子どもっぽいのがコンプレックスの桃、親友の姉に恋をする満、悩める人気者の雅人、孤独な優等生の清野、姉御肌で給食が大好きな梢。
6人の中学生たちの揺れる心が、給食をきっかけに変わっていく。
やさしく胸に響くアンサンブルストーリー。
「七夕ゼリー」「マーボー豆腐」「黒糖パン」「ABCスープ」「ミルメーク」「卒業メニュー」の6品がつなぐ連作短編集です。
『十四歳日和』
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【著者】水野瑠見
【出版社】講談社
【単行本出版年】2019年8月
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『一四歳日和』は、ひとつ前に紹介した『給食アンサンブル』よりも、ちょっと大人びた中学生たちが登場します。
中学2年の一見さわやかに見える彼らがもつ、もぞもぞしたすっきりしない気持ちが書かれた作品です。
友人との微妙な距離に悩んだり、恋に悩んだり、SNSにふれまわされて自分自身に悩んだり、どうしてもテストで1位を取れなくて悩んだり、は現代のリアルな中学生たちが登場する
だれかをうとましく思ったり、だれかと自分を比べてしまったり、本当の自分を出せなかったり、自分が今までの自分ではない気がしたり。
物語の主人公たちは、だれもが一度はぶち当たる悩みに陥ります。
「だれが正しいわけではない、じゃ、自分はどうなの?」
自分ではない登場人物たちの気持ちを想像しながら読むのがおすすめです。
ちなみに私は最後の物語「星光る」で号泣しました。
- 主人公:中学二年生14歳 4人の男女
- 連作短編集
- 悩めるお年頃14歳のナイーブでありさわやかな青春物語であり、自分自身もよくわからないんだからクラスメイトのことなんて、もっとわからないナイーブな心をもつ中学生たちの物語集
- 2020年の名門私立中学校、慶應湘南中等部の入試で出題された
- 『十四歳日和』は第59回講談社児童文学新人賞受賞
本当の自分を探しに行く! 十四歳の一年間を瑞々しく描く、オムニバス。
男子も、女子も、みんないろいろ抱えてる。
1 「ボーダレスガール」 いけてるグループに入れた葉子だが、本当の自分の居場所はここではないって気づいてる。でも、現実は甘くなくて…。
2 「夏色プール」 たけるは、水泳クラブで小さなころからずっと芙美といっしょだった。でも芙美に好きな人できてから、調子がおかしくなったのだが!?
3 「十四歳エスケープ」 すごく軽い気持ちで応募したオーディションの一次審査に通った、律。その日から世界が変わってしまった。でも私、本当にアイドルになりたいの?
4 「星光る」人当たりは悪くないし、勉強だって頑張っている、大地。でも謎めいた学年1位にどうしても勝てない…。だれなんだ、1位は?
『キャプテンマークと銭湯』
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【著者】佐藤いつ子
【出版社】角川書店
【単行本出版年】2019年3月
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スポーツ好きの男の子ならぜったいに読んでほしい一冊です。
サッカーのキャプテンマークを、他のチームから移籍してきた大地くんにあっさりうばわれてしまった主人公の周斗くんは、くやしい気持ちが空回りして、チームメイトから孤立してしまいます。
中学生が人生の壁にぶち当たったときのモヤモヤ感が、手に取るようにわかります。
プライドもあるし、恥ずかしさもあるし、周りの大人にギャーギャー騒がれても嫌だし……。
なかなか誰かに相談もできず、一人で悶々と考えこんでしまうんですよね~。
そんな周斗くんを助けてくれたのは銭湯で知り合った大人たち!
子どもにとって、親や先生とは違う大人とふれあうチャンスって、少ないけれど貴重なんですよね。
人を見た目で判断していた周斗くんは、銭湯仲間とふれあい成長をしていきます。
ライバルと敵対心を燃やしていた大地くんとの友情も見逃せません。
友達との関係、学校以外の社会での人たちとの付き合い、自分の壁にぶち会ったときの対処法、チームワークの築き方、親との関係、青春時代の悩みがギュッとつまっている。
相手の気持ちを想像する大切さを教えてくれる本です。
- 主人公:中学1年生の周斗(しゅうと) サッカークラブのキャプテンだった
- 長編小説
- ”友情 家族 成長” 中学入試に取り上げられるテーマが満載の男子中学生の物語
- 学校や家庭以外の大人とふれあうことで成長をする少年の物語であり、男の友情物語でもある。
- 2020年の名門私立中学校、筑波大附属や鴎友学園女子、横浜共立学園中学校の入試で出題され、一気に注目本になった
- 作者の佐藤さんのはデビュー作は『駅伝ランナー』
『駅伝ランナー』は中学入試問題に引用され、平成28年度神奈川県優良図書に選ばれている
「キャプテンは、」 耳の奥がきんとした。
「大地にお願いしたい」
背筋は伸びきったまま、制止した。息も止まった。周りがかすかにざわついた。
そのざわつきを押さえるように、「はい!」
威勢のよい声が、後ろからまっすぐ飛んできた。
「よし。大地、頼んだぞ」
「そうだ、周斗。キャプテンマーク、あとで大地にわたしといてくれ」
ずっとつけていたサッカーのキャプテンマークを、他のチームから移籍してきた大地に渡さなくてはいけなかった周斗。くやしくて、チームメイトからも孤立してしまう。自分がいやになっていた周斗が出会ったのは古ぼけた時代遅れの銭湯だった。
あさのあつこ氏の推薦デビューの著者が描く、切なく温かい感動の物語。
『朔と新』
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【著者】いとうみく
【出版社】講談社
【単行本出版年】2020年6月
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一昨年の高速バス事故で失目してしまった兄の朔と、事故にあった原因が自分にあると思い続けている弟の新は、久しぶりに兄と顔を合わせるシーンから物語は始まります。
なかなかヘビーな状況の家族の物語です。
ぎこちなさがのこる兄弟、家族。
「あ~家族って難しいな」と思い出すのが小学高学年生くらいからですよね。
自分の主張を上手く伝えられない兄弟同士、親から見ると思い通りにならない子ども、自分(子ども)を理解してくれない親、家族って近くて遠い存在だわと感じる時があるはずです。
家族間の問題や、罪の意識にさいなまれている弟の新(あき)の気持ちを、どう読めるかがポイントになります。
そして兄の朔(さく)の気持ちの強さと弱さのバランスもきちんと理解できると、この本はさらに読みごたえがでてきます。
じっくりと読みこんでほしい一冊です。
- 主人公:視覚障害をもつ兄の朔(さく)と、兄の視覚障害は自分のせいだと思っている弟の新(あき)
- 長編小説
- お互いを思いやり遠慮しあう兄弟の思いの深さ、家族といえども気持ちを通わせる難しさが読める物語
- 視覚障害について知る
- 作者のいとうみくさんは2012年『糸子の体重計』で第46回日本児童文学者協会新人賞、2014年『空へ』で第39回日本児童文芸家協会賞を受賞している
2年連続で夏の読書感想文全国コンクールの課題図書『チキン』(2017年)『天使のにもつ』(2018年)に作品が選出された児童文学界屈指の書き手である
2022年には『つくしちゃんとおねえちゃん』が選ばれた - 2020年、野間児童文芸賞受賞作品
- 2021年の難関私立中学校の、ラサール中学、栄光学園中学、浦和明の星中学、淑徳与野中学の国語の入試問題として出題された
兄の朔(さく)が1年ぶりに家へと帰ってきた。朔と弟の新(あき)は、一昨年の大晦日、父親の故郷で正月を迎えるために高速バスで仙台に向かい、バスが横転する事故に巻き込まれた。朔は視力を失い、盲学校での生活を送っていたのだ。大晦日に帰省することになったのは、新が母親と衝突したことが原因だった。本来の予定より一日遅れでバスに乗ったのが、運命を変えたのだ。
中学時代、新は長距離走者として注目を浴びていたが、ランナーとしての未来を自ら閉ざし、高校に進学した後も走ることをやめた。
そんな新に、突然、朔が願いを伝える。
「伴走者になってもらいたいんだ、オレの」
激しく抵抗する新だったが、バスの事故に巻き込まれたことへの自責の念もあり、その願いを断ることはできなかった。かくして兄と弟は、1本のロープをにぎり、コースへと踏み出してゆく――。
『クラスメイツ 〈前期〉〈後期〉』
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【著者】森絵都
【出版社】偕成社
【単行本出版年】2014年5月
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なんとクラス全員が主人公になっていく面白い物語が『クラスメイツ』です。
生徒24人ひとりひとりが主人公になった短編のリレー形式で、4月のクラス替えからはじまり2年生に進級する前までの1年間が書かれています。
学業よりも、友情、恋愛、自分のキャラ立ち、親からのプレッシャーなど中学生は悩みが多くてたいへん!
ごくふつうと思われている中学生たちも、それぞれ自分の学校生活を満喫するため、無事に過ごすために必死なのです。
深刻すぎず、どこかユーモラスな物語になっているので、だれもが読みやすく、「悩んでいるのは自分だけじゃないからね!」と励ましてくれる物語です。
自分と似た子どもを探しながら読むのがおすすめ!
『クラスメイツ』前期・後期は、2015年からさまざまな中学校の入試で出題されていますが、私が調べた12中学校のなかで、出題人気があったのは<後期>に入っている短編「プラタナスの葉が落ちるころ このちゃん」(老人ホームにボランティア体験に行く物語)でした。
- 主人公:中学1年A組、男女あわせて24人
- 連作短編物語
- クラス全員、ひとりひとりにスポットが当たる物語
- クラスで起こった出来事に対して、クラスメイツそれぞれの見方や考え方があるところが面白い
- 作者の森絵都さんが、直木賞受賞後はじめて描く中学生群像物語
- 2015年から、さまざまな中学の国語入試問題で出題されている
中学1年生24人のクラスメイトたち、その1人1人を主人公にした24のストーリーで思春期の1年間を描いた連作短編集。
前期・後期の全2巻。
うれしい出会いや、ささいなきっかけの仲違い、初めての恋のときめき、仲間はずれの不安、自意識過剰の恥ずかしさや、通じあった気持ちのあたたかさ。子どもじゃないけど大人でもない、そんな特別な時間の中にいる中学生たちの1年間。
だれもが身にしみるリアル。シリアスなのに笑えて、コミカルなのにしみじみとしたユーモアでくるんだ作品集。
『奮闘するたすく』
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【著者】まはら 三桃
【出版社】講談社
【単行本出版年】2017年6月
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お年寄りと接する機会が少ない子どもたちにぜひおすすめの物語です。
主人公の佑くんは、認知症がすすむ祖父を目の当たりにする現実の辛さとともに、子どもに逆戻りしたような老人たちと接する楽しさなど、デイサービスでいろんなことを経験していきます。
この物語の一番読みどころは、おじいちゃん自身が認知症になってしまったことを辛く思っているシーンだと思いました。
実は、わたしの祖母も同じように認知症になったけれど、こんな風に気持ちを聞くような会話もできなかったし、当時は祖母の気持ちをまったくわかってあげられなかったな~とたすく君と同じように、胸がギュっとしました。
介護する側とされる側、認知症を受け入れる家族と認知症を発症する本人。
どちらの側の気持ちも読み解くことができる、貴重な一冊です。
大切なことが書かれている物語ですが、決してシリアスな内容ではなく、前向きでユーモアや愛情たっぷりの内容なので、子どもも読みやすいですよ。
- 主人公:小学生5年生の佑(たすく)
- 長編小説
- 介護、認知症について考えるきっかけになる物語
- 2018年の青少年読書感想文全国コンクールの課題図書に選定された
- 作者のまはら三桃さんは2011年に『おとうさんの手』(講談社)が、2016年には『白をつなぐ』(小学館)が読書感想画中央コンクール指定図書に選定
『鉄のしぶきがはねる』(講談社)で2012年坪田譲治文学賞、2013年にJBBY賞を受賞している - 2018年栄光学園中学の国語入試問題として出題された
最近、佑のおじいちゃんの様子がおかしい。自宅の近所で道に迷ったかのように歩いていたり、やかんをコンロにかけっぱなしにしてボヤ騒ぎを起こしたり、お風呂の水が廊下まであふれているのに立ち尽くしていたり……。佑のおじいちゃんは、やはり認知症だった。
「行きたくない」としぶるおじいちゃんをなだめすかして、佑はデイサービス(通所介護)に連れて行くことになった。しかも、あまりに強い目力で逆らうことのできない早田先生は、デイサービスで見たこと、聞いたことをレポートして、それを夏休みの自由研究として提出しなさいと、うれしくない提案までしてくれた。
友だちの一平と“ケアハウス こもれび”に通うことになった佑は、たくさんのお年寄りたち、介護福祉士の資格を取るためにインドネシアから来たリニさんをはじめとした介護職の人たちとふれ合いながら、介護される人と介護する人、それぞれの気持ちに気づいていく。
『雲を紡ぐ』
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【著者】伊吹有喜
【出版社】文芸春秋社
【出版年】2020年1月
【文庫本出版】2022年9月
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「親子だって相性があるのかな?」と思うことありませんか?
登場人物みんながみんな、ナイーブで大きな弱さを心に秘めもっている
そして、みんながみんな心に思っていることが上手に表現できない
ある意味似たもの家族の物語です。
小学高学年生にはちょっと大人びているかな~と思う物語ですが、家族の意思疎通がうまくいってないなと感じた時などにぜひ読んでほしい本です。
愛情を家族に示す難しさが感じられる、そしてその家族の愛情は尊いものだと気づけるはずです。
- 主人公:いじめが原因で学校に行けなくなった高校生の美緒
- 長編小説
- 家族の再生物語、親子の葛藤、女子高校生の成長が書かれた感動物語
- 第163回直木賞候補作
- 2021年都立高校入試(国語)で出題、2021年私立中学の横浜雙葉中学、本郷中学の入試(国語)でも出題された
高校生たちが選ぶ「今年の1冊」――第8回高校生直木賞、受賞作!
「分かり合えない母と娘」
壊れかけた家族は、もう一度、一つになれるか?
羊毛を手仕事で染め、紡ぎ、織りあげられた「時を越える布・ホームスパン」をめぐる親子三代の「心の糸」の物語。
いじめが原因で学校に行けなくなった高校生・美緒の唯一の心のよりどころは、祖父母がくれた赤いホームスパンのショールだった。
ところが、このショールをめぐって、母と口論になり、少女は岩手県盛岡市の祖父の元へ家出をしてしまう。
美緒は、ホームスパンの職人である祖父とともに働くことで、職人たちの思いの尊さを知る。
一方、美緒が不在となった東京では、父と母の間にも離婚話が持ち上がり……。
実は、とてもみじかい「家族の時間」が終わろうとしていた――。
『君たちは今が世界』
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【著者】朝比奈あすか
【出版社】KADOKAWA
【単行本出版年】2019年6月
【文庫本】あり
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小学生でさえもつ、素直でピュアばかりじゃない、どこか意地悪な気持ちが入り混じったリアルな感情が丁寧に書かれた物語です。
弱気な面がある男子、学校と塾では違う一面をのぞかせる優等生少女、落ちこぼれ気味だが心優しい男子、自分を上手く表現できない少女といった、ありのままの小学生が、本の中から現れるような感覚に陥るほどリアル感たっぷりの物語集です。
そして、クラスの同じ事件ひとつにしても、ある子の視線でみればイヤなことでも、違う子の視線でみればイイことにもみえる。
子どもといえども、ひとそれぞれの考え方や価値観をもっていることに「は!」と気づかされるはずです。
「自分のいる世界が心苦しいな」と思っているのは、自分だけじゃないと思うとちょっと楽になるかもしれません。
- 主人公:小学校6年生のひとつのクラスの仲間4人がそれぞれ主役になる
- 連作短編小説
- 家庭・学校・塾といった限られた場所が”すべて”だと思ってしまう子ども時代を上手く表現した物語。小学生なら「コレ自分かも」と共感できるシーンがたくさんあるリアルな学校生活物語
- それぞれの子の強さや弱さが見えてくるようになっている
- 2020年の開成中学、海城中学など超難関校の入試で出題された小説として有名
2020年、難関中学の入試で出題多数!教室で渦巻く、悪意と希望の物語。
「文ちん、やれるよな?」人気者とつるむようになってから、文也は自分がクラスの中心にいるような気分がする。担任の幾田先生は地味で怖くないし、友達と認定してくれるみんなと一緒にいるのが一番大切だ。ある日、クラスを崩壊させる大事件に関わってしまうまでは――。(「みんなといたいみんな」)
今の自分は仮の姿だ。六年生の杏美は、おとなしい友人の間で息をひそめて学級崩壊したクラスをやりすごし、私立中学に進学する日を心待ちにしている。宿題を写したいときだけ都合よく話しかけてくる”女王”香奈枝のことも諦めているが、彼女と親友同士だった幼い記憶がよみがえり……。(「こんなものは、全部通り過ぎる」)
学校も家庭も、子どもは生きる世界を選べない。胸が苦しくなるような葛藤と、その先にある光とは。
2020年、難関中学校の入試問題に数多く取り上げられた話題作に、文庫でしか読めない特別篇「仄かな一歩」を加えた決定版!
『あと少し、もう少し』
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【著者】瀬尾まいこ
【出版社】新潮社
【単行本出版年】2022年8月
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仲間がいてこそ、本当の自分に気づけた。
そんな仲間がいるからこそ、走り続けたい!
青春がキラキラまぶしい物語です。
それぞれが自分の存在に自信が無くて、他の人の目が気になる自意識過剰の中学男子の気持ちや、寄せ集めのユニークな駅伝部員たちが、お互いの性格や生き方を認め合い気持ちがひとつにまとまっていく様子など、読みごたえたっぷりです。
仲間をもち本気でぶつかりあうことで、自分ではわからなかった自分のことが他の人を通じて気づくことができる、仲間のありがたさが感じられる友情物語でもあります。
- 主人公:寄せ集めの中学駅伝部のメンバー6人
- 連作短編集
- 駅伝の区間が章になっていて章ごとに、主人公が変わる。同じ場面でも、主人公になった側から語られ、さらに違う章では他の人側から語られるのでお互いの気持ちがわかるのがおもしろい
- 問題を抱えていても、ユニークでも、落ちこぼれでも、だれもがどこか優しい純粋な中学男子たちの青春物語
- 続編、スピンオフともいえる駅伝メンバーの中のひとり不良少年太田君が活躍する『君が夏を走らせる』がある
- 2016年から多数の私立中学校の国語の入試問題で出題されている
ちぎれそうな身体だって、おれの走りをするんだ。
頼りない顧問のもと、寄せ集めのメンバーがぶつかり合いながら挑む中学最後の駅伝大会。襷(たすき)が繫いだ想いに、溢れる涙が止まらない傑作青春小説。
陸上部の名物顧問が転勤となり、代わりにやってきたのは頼りない美術教師。部長の桝井は、中学最後の駅伝大会に向けてメンバーを募り練習をはじめるが……。元いじめられっ子の設楽、不良の太田、頼みを断れないジロー、プライドの高い渡部、後輩の俊介。寄せ集めの6人は県大会出場を目指して、襷をつなぐ。あと少し、もう少し、みんなと走りたい。涙が止まらない、傑作青春小説。きっと男子もいろんなことに悩んで、いろいろいろいろ考えていたんだろうな~。
『しずかな日々』
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【著者】椰月 美智子
【出版社】講談社
【文庫本出版年】2010年6月
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母親と二人暮らしをしていた大人しい男の子の、祖父と暮らし、はじめて友人となった仲間と過ごしたひと夏の物語。
物語のタイトルどおり、ごく普通の小学生の「しずかな夏の日々」が書かれているのですが、なぜか心にしみいるのです。
”このひと夏が人生のターニングポイントとなる”
主人公の光輝くんの忘れられないひと夏を、体感してみませんか。
- 主人公:小学5年生、枝田光輝 母親と二人暮らし
- 長編小説
- 祖父と過ごした、ひと夏の成長物語
- 野間児童文芸賞、坪田譲治文学賞をダブル受賞
- 2008年から多数の中学校で受験問題として出題されている
おじいさんの家で過ごした日々。
それは、ぼくにとって唯一無二の帰る場所だ。ぼくは時おり、あの頃のことを丁寧に思い出す。ぼくはいつだって戻ることができる。あの、はじまりの夏に―。
おとなになってゆく少年の姿をやさしくすこやかに描きあげ、野間児童文芸賞、坪田譲治文学賞をダブル受賞した感動作。
今回紹介した本リスト
「中学受験してみようかな」「中学受験の問題ってどんな感じなのかしら」と思ったら、ぜったいに読んでみてほしいにおすすめ本10冊を紹介しました。
鉄板本なので、ぜひ読んでみてくださいね。
まずは好みの本を選んで読んでみてね。
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